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0bitからの挑戦状

正体不明のハッカー『0bit』によってPravosはハッキングされ、続けて黒の父についての話を持ち掛けてきた

「何故お父さんの事を?」

そう思った黒は0bitが残していった物を手掛かりに正体を追求する!

「一体、なんだったんだ」


深夜の2時


ボクは静まりきった空間の中で口を開けた


一体0bitは何者なのか、そして何故0bitはボクの父親の事を知っているのか


ひたすら謎だ


そんな事をさっきの出来事の後からずっと考えている


「0bit、黒は何か心当たり無いのか?」


そうしていると白賭も口を開けた


「いや.........無いな。」


思い当たる節をとことん探したが全くをもって見つからなかった


「まぁ考えててもしょうがないな、わからないものはわからないんだし。」


白賭はそう言いキーボードに手を置いた


「あと片付けしようぜ、散々0bitに荒らされたんだし」


「.......そうだね」


ボクも遅れてキーボードに手を置き、移動途中のデータファイルの移動を始めた


しばらくしてある事に気づいた


「あ.......そういえばスパイウェアとか仕込まれてそうだから探しとくわ」


スパイウェアとは個人情報などを監視し、外部に漏洩させるウイルスの一種だ


あれだけの技術者だったんだから恐らくスパイウェアの一つや二つくらい仕込んでいるのではと思ったのだ


ボクはシステムファイル辺りの調査を始めた




「ん?....どういうことだ?....」


しばらくして白賭が口を開いた


「どうしたんだ?」


「いや、ほらこれ」


白賭は巨大スクリーンに画面をミラーリングした


「これ、俺が見せたコマンドログのファイルなんだけど、データをダウンロードした形跡が無いんだ...コマンドのログを消したっていう可能性もあるが、そうだとしたらおかしい...ログを消したコマンドがまたログに残ってイタチごっこになるはずだ...」


「ほんとだ...どういうこと...?」


確かにログには全くダウンロードコマンドが無い


ボクは別のログファイルを開き、矛盾やおかしい点があるか比較するように見た


「ダメだ、変な所が無い...」


だが、何もおかしい所は無かった


「根本的にデータを盗みに侵入してきたっていう考えが間違ってるのかもなぁ...ほら、システムの詳細を知りたいっていう知的好奇心ハッカーもいる訳だしさ」


ボクがそう言うと白賭は首を傾げてこう言った


「だとしたら変だな...0bitはターミナルに『君の情報は全て特定したよ』って打ち込んだ。これはデータを盗む目的の方向の言い方な気がする」


「あぁ...確かに...」


その通りだ


だからこそ矛盾が生じて違和感を感じているのかもしれない


「まぁ今は作業に集中しよう?流石にこれが終わるまで寝れないよ...てか、今2時だし...」


うんざりする中、作業を再開しようとしたその時だった


ファイルを列挙すると謎のテキストファイルがある事に気が付いた


「ん...?いつ作ったっけこんなファイル...」


何の疑いも掛けずにテキストファイルを開いた


エディタが開かれた瞬間ボクはこれが誰が書いた物がわかった


文は簡潔にこう書かれていた


『やぁ、ハッカーのIXVI君


君の実力を見せてもらったけどお世辞にも僕みたいな凄腕とは言えないね。まぁせいぜい頑張ってくれよ。


ところで君の父親の事だけど本当に残念だったね。本当に運が悪かったよ。そんで、君にとっておきのプレゼントがあるんだ!


それはね、これだよ


http://0bit-code.onion


その時が来るまで楽しみに待っててね』


「なんだよこれ...」


はっきり言って本気で0bitを潰したいと思っている


ボクの父親の事やハッキングの技術をバカにしてきたり、本当に怒っている


「プレゼント...?」


ダークウェブに繋がるリンクを押してみると渋谷のライブ映像が表示された


その下には『The beginning of the end is near.』つまり『終末の始まりは近い』と書かれていた


(こいつもしかして、テロ事件の犯人じゃ...!?)


「白賭!0bitはもしかしたら0bitはボクが追ってるテロ事件の犯人かもしれない!」


ボクはすぐさま巨大スクリーンに画面をミラーリングした


「はぁ?急にどういう事だよ」


白賭はボクの方を見て動揺しながら言った


「さっき0bitが残していったテキストファイルを見つけたんだ!その中にダークウェブに繋がるリンクがあった。」


ボクがそう言ってスクリーンの方へ指を指すと白賭もスクリーンの方に目をやった


「それがこれ、渋谷スクランブルのライブカメラだ。そしてその下に『終末の始まりは近い』って英語で書いてる、ボクのお父さんの事を話に持ち出したのも、全部あのテロ事件を匂わす様な物だ。」


「『終末の始まりは近い』.....確かにそう言われればそうかもな...」


やっぱり何か関係がある気しかしない


もし0bitがテロ事件の犯人なら、『終末の始まりは近い』はもしかしたらまたあのテロを再び起こそうとしている可能性がある


「何か嫌な予感がしてきた...」


ボクは小さな声で零した


立ち上がり、腰に手を当てふと時計を見ると丑三つ時だった


「もうこんな時間か...お風呂にも入ってないや...」


「まぁどうせ明日休みなんだし良いだろ、だから俺も深夜に来たわけだし。」


「まぁそうだな」


ボクはデスクの下にあるミニ冷蔵庫からいちごミルクを取り出し一気に飲んだ


「っつはぁぁぁ...さ、作業に戻るか...」


「そうだな」


ボクは今度こそ作業を再開した






「ふあぁぁぁ...」


朝だが鳥のさえずりは聞こえない


基地は地下だからだ


時計を見ると午後の1時


作業を終わらせお風呂を済まして就寝が午前の6時


「ってことは...?7時間しか寝てないのか...うぅぅぅん...」


「寝よ...」


ボクは再び眠りに付いた




ピコン♪


「うぅぅん...」


「知らない天井だ...」


もちろん冗談だ


ボクは体を起こし、スマホを手に取った


「白賭かな...?」


電源を付けると通知は学校からだった


「あれ、学校...?」


内容を見た瞬間、絶望が全身に走った


『重要なお知らせがあるため本日は登校をお願いします。』


「ぎ...ぎゃぁぁぁ!!!嫌だァァァァ!!!」


最悪だ


(折角の休みって言うのに話をする為だけに学校に投稿しに行かないといけないとかマジで終わってるわ!てか話ならメール経由で書けばいいじゃんなんでわざわざ学校まで行かないといけないんだよ!遠いよ!)


散々文句を言うも、特に行けない理由も無いので準備をし、渋々学校へ向かった




「え〜今回皆さんに体育館に集まってもらった理由は、近年サイバー攻撃の被害に遭った学校が多発している為、皆さんもお持ちであろうメディアについての使い方について、詳しく話そうと思います。」


体育館のステージにポツンと一人校長が立って話している


マイクの調子が悪く、ノイズ等もたまに混じり、聞き取りずらい


(てかそもそもこの学校のサーバー侵入した時恐ろしいほど脆弱だったし、そんな奴がセキュリティ語るな、そこボクに変われ)


お経の様に一定のリズムで語り続ける校長に眠気を覚えた


(あ...やばいなこれ...寝る...)


頭が重くて持ち上がらない


体に力が入らず体育座りの手を離し、完全に後ろに倒れ意識を飛ばした






(死ね!死ね!あんたなんか産むんじゃなかった!あぁぁぁぁぁもう消えろよ!!!)


(やめてよ!痛い!痛い!助けて!く...うぅぅぅ......お兄......ちゃ─────)


「ハッ!」


何時間意識を飛ばしていただろうか


カァーカァーカァーカァー


カラスのうるさい鳴き声で目を覚ました


「マジで知らない天井だ...」


窓に目をやるとオレンジ色の空


太陽が沈んでいくのが見える


「あ〜 ...やったわ〜」


完全に一日を潰してしまった


恐らく今まで溜め込んでいた疲れが倒れた時に一気に解放されたのだろう


そのまま死んだように寝ていた様だ


「もう、せっかくだし今日は帰って寝よ...」


ボクは保健室の先生に心配されながらも帰った




ピピピ♪


目覚ましが鳴った


「はぁぁぁ...!グッドモーニングだぁ...」


何年ぶりだろうか、久しぶりにぐっすり寝られた


もはや実家にいる様な安心感が、今ボクを包み込んでいる


「なんという幸せだ...」


体が軽い、目が良くなった気がする


ボクは伸びをし、ベッドから降り、パソコンの前に座った


「さぁ、地獄の始まりだ...」


ボクはキーボードに手を置き、頭を回し始めた


「えっと、確かログには0bitのIPアドレスは暗号化された物が書き込まれてたっけ」


ボクはログファイルを開き再度確認した


「そういえばこの暗号...見た事ない暗号方式だ...」


IPアドレスはひらがなで恐らく決められた規則を元に変換されていた


(これは多分...ログが書き換えられたんじゃなくてそういう暗号方式を0bit自身が作り出したんだろう)


(だとしたら0bitのIPアドレスを特定することはほぼ不可能だ)


なぜならその法則がわからない、いや、そもそもどういう仕組みかがわからないからだ


(そもそもIPアドレスがひらがなで変換されるのならファイアウォールや侵入時の通信はどうしたんだろうか?)


新しい暗号に頭が追いつけない


また新しい課題が出来てしまった


(とりあえずIPアドレスの特定は置いておいて、恐らく0bitが立てたであろうスクランブル交差点のライブサイトを調査しよう)


ボクは再びサイトを訪れた


(相変わらずだな...)


特に変わった様子もなくサイトは健在


ライブ映像も止まらず、耐えることの無いスクランブル交差点を行き交う人々を映していた


(終わりの始まりって一体いつなんだ...?)


もしもテロ事件と同じ日ならばあと10ヶ月後だ


まだ遠い様に聞こえるが10ヶ月後なんて0bit程の者の調査をしていればあっという間だ


いや...これは他のハッカーもそうなのではなく0bitだから10ヶ月が短く感じるのだ


新たな暗号を編み出され、こっち側はまだ足元にも辿り着いていないのに課題が増えたし...急がないと本当に間に合わない


ボクは深呼吸をゆっくりとした


「よし、システム解体開始!」


(まずポートスキャンからだ)


ボクはターミナルにいつも通りスキャンを開始した


(頼む何か弱点の一つや二つくらいあってくれ...!!!)


ボクはそう思いながらも待っている訳にもいかず、別の調査を始めた


(このサーバーの構成、かなり厳しめに作られてて欠点が無い)


白賭のサーバーを調査した時とは比べ物にならない程ガチガチで腕が鳴る


(いやいや楽しんでらんねぇわ...東京の命運が掛かってんだもんな)


ポートスキャンの結果がターミナルに表示された


(ダメだ...不要なポートは全部閉じられてる...ウェブサーバーにも欠点は無しか...)


流石に一筋縄では行かない様だ


「他の脆弱性は無いかな...?」


ボクは只管キーボードを叩いては手を止め、試行錯誤をしキーボードを叩くのを繰り返した


何時間経ったか


キーボードを叩く手を止めた


「やっと進んだ...!....ちょっとだけど.....いや!けどまぁ進んだだけ良い」


見つけたのはこのサーバーの所有者が別で運営しているサブサーバー、所謂サブドメインだ


「ようやく突き止めた」


サブドメインを覗くにははアクセス権が必要でサイト内容は見ることが出来ない


いや、サブサーバーじゃなくこれが本命のサーバーなのかもしれない


サブサーバーを調査しようとしたその時、また前と同じ様な表示が画面を奪う


『検出ナンバー7!ボット攻撃を推測!』


「く、また"アイツ"か...!!!────


0bit!!!」


ボクは息を呑んだ


するとスマホが鳴り出した


「こんな時に...もしかして...!」


スマホには0bitと表示されていた


「やっぱりな...!」


当たり前だ


アイツはボクの全ての情報を全て盗んでいる


もちろんそれは電話番号も含む


ボクはスマホの応答ボタンを恐る恐る押した


「ジージージージーザザザザッ...」


スマホからノイズが響いた


まるで何かを仕掛けたかのように...


「何だ何だ!?」


驚きのあまりスマホを手から落としそうになった


「...やぁ、月宵黒...IXVI君。」


スマホからは男っぽい声でほんの少し掠れたような声が聞こえた


その後ろで絶えずノイズがなり続けている


恐らく、ノイズを混じらせる事によって周波数から居場所を特定されないようにしているのだろう


「あれ、返事が無いみたいだけど...まぁいい、返事なんて無くても聞いてくれれば良いのさ。」


0bitは続けた


「君、僕のサブドメインを見つけられたなんて凄いね。」


(こいつ...ボクの動きを監視してる...?)


「そんで権限不足で行きずまっちゃったでしょ?そんな君に進む為のヒントをあげよう。」


顔は見えないが恐らく笑っているはずだ、喋り方に口角の上がりが感じられる


「かな暗号で僕のIPアドレスを解読出来たら権限を与えよう」


「かな暗号...!?それって───」


「ふふふ...喋った喋ったふふふ!」


「くっ......あんたが0bitなのか?」


ボクは聞いた


「答えませ〜ん、ふふふふふふ。」


0bitは微笑んだ後に一息つきこう言った


「それじゃあ最後にかな暗号の解読方法を教えるよ」


今までとは違く、少し低く掠れずハッキリとした声だった


「かな暗号は方程式の解を2進数でアルファベットに変換し、最後にみかか暗号でさらに変換したものだ。」


「ん?何だ...複雑でわかりずらいな...」


「それじゃ、楽しんで。」


「おいちょっとま───」


プツ...ツーツーツー────


電話が切られた


「あっと...えっと...なんだっけな...」


ボクはまたセッションログを表示させた


「え〜っと...この暗号はみかか文字で変換されてるから...直してっと」


「次に2進数でデコード...で最後に方程式...?わからないよ数学苦手なんだから...」


動いていた手が止まり頭を抱えた


それも面倒な三次方程式で最早これ自体が暗号にしか見えない


「こんなの無理だろまだ習ってねぇよ!ってあ、そう言わば計算機とかいう代物があるじゃないですか〜」


ボクは計算機のアプリを開き方程式を書き込んだ


「これで、いけ!」


結果はエラーだ


何故かエラー


「何故エラー...?はい?」


最後の希望が失われ絶望していると、頭に違和感を覚えた


何となく視界も赤っぽくなってきた


すると急激に頭に痛みが襲う


「っつぁ...痛ってぇ...くっ...何だこれ...」


視界が"赤っぽく"から濃い赤へと変わった


視界がぼやける


「くっ...意識が...」──────

第4話を読んでいただきありがとうございます!

私は投稿頻度がだんだん落ちていって焦っています(´・ω・`)

0bitの謎の暗号、突如気を失う黒、益々謎が増えていくばかり

次回の展開も乞うご期待!

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