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雨で声楽レッスン中止(2023.6.2)

 困った。声楽のレッスンが大雨で休講になったのだ。

 せっかく教室があるデパートまで来たというのに。そこそこやる気に満ちていただけに悔しいが、仕方ない。練習室も予約していたがキャンセルになってしまい、利用料の返金を受けた。さてどうするか。

 とりあえず一階のフードコートに来てモスバーガーのアイスティーを注文した。ここのアイスティーは茶葉にこだわっていて美味しいのだ。アイスティーをすすりながらスマホをいじっているとLINEの通知音が鳴った。

『レッスン休講になっちゃったよー(泣)』

同じ先生に習っているレッスン仲間のアイちゃんからだ。私も泣き顔のスタンプを返し、同じだと返信を打つ。すぐに既読がついて、またメッセージが来た。

『今どこー?(アイ)』

『一階のフードコートにいるよ』

『私も行くからお茶しないー? せっかく自主練頑張って気合い入ってたのに悔しいよー雨だから仕方ないんだけどさー(アイ)』

 私は思わずふふっと笑った。アイちゃんが頑張り屋さんで、熱心に自主練をして、でもたまにサボっているのを知っているから。たまに一緒に行くカラオケで聴かせてくれる発展途上のソプラノがとても美しいことも。アイちゃんとしては、妖艶な美女や美少年を歌うことも多いメゾソプラノに憧れているみたいだけど。私も、バリトンに憧れていたけどカウンターテナーの卵としてレッスンを受けている。

 いつものゴミ箱の隣の席にいるよ、と返信を打ってしばらくして、アイちゃんがやって来た。

「お待たせー! もー雨の奴ったら憎いよー」

LINEと同じく語尾を少し伸ばす話し方が可愛いな、と思った。アイちゃんも私と同じモスバーガーのアイスティーを注文して、ミルクティーにしてすすった。

「ねえ、アイちゃん」

「何ー?」

「アイちゃんは頑張り屋さんだね。今だって練習室借りて練習しようとしてたんでしょ?」

「うん! 私、まだまだ下手くそだから、上手くなっていくのが楽しくてさー!」

「そう感じられるのは素敵なことだね。私も見習わないと」

「ユウくんだって頑張ってるの知ってるよー。聴けば分かるもん」

「ありがとう。たまにサボってるけどね」

「それは私も同じだよー」

 アイスミルクティーをすするアイちゃんの屈託のない笑顔。

 心強いレッスン仲間の存在に、私は、次のレッスンまでまた頑張ろうと思えるのだった。

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