8 セーラームーン
最終回は、主催者であるたこす様のリクエストです。
1992年放映のアニメ「美少女戦士セーラームーン」は、「セーラームーンR」「セーラームーンS」「セーラームーンSS」「セーラームーンSSS」と、5年間にわたって制作された、女児玩具の売上最高記録を誇る人気シリーズの1作目です。
原作付きではありますが、アニメオリジナルの部分も多く、原作コミックとは別物と考えた方がいいでしょう。
声優・三石琴乃さんの出世作でもありますね。近年リメイクされましたが、旧声優陣から唯一続投となり、セーラームーン=三石琴乃というイメージの強さがうかがえました。
三石さんは、月野うさぎの演技にはかなり(テンション的に)苦労していたそうで、スタジオに向かう途中、電車の中とかから気分を上げていたそうです。
「お昼だお昼だ、お腹のラッパがプーだわさ」なんてネジの緩んだアドリブとか、もうとんでもないですよね。
「セーラームーン」といえば、大きなお友達(男性)を虜にしたのが変身シーンでした。
特に、ムーン以外の4人の、ほとんど裸の変身シーンは、熱狂的な支持を受けましたね。
「プリキュア」シリーズでは、その辺厳しくなっていますが、「セーラームーン」当時は緩かったみたいです。
ただ、ことセーラームーン本人に関する限り、変身から名乗りまで、体の動きが繋がっているのですよ!
カメラがくるくる回っているからわかりにくいですが、「ムーンプリズムパワー・メイクアップ!」で上げた右手を下ろしたところから、膝を上げ、背中を反らし、両手を回して左手を腰に、右手を目の前に持って行くまで、全部繋がっているのです。
視点がちょこちょこ変わるので、別々の動きに見えますが、自分で実際に動くとわかります。
このシーン、画面では、セーラームーンが中心で回っている(カメラがセーラームーンの周りを回っている)ので、位置関係が把握しづらいですが、実際には、こんな単純な動きなのです。
変身大好きな鷹羽からすると、演出的にも動き的にも、とてもいいものに感じられたのです。
どちらかというと、コメディ色の強い作品です。
まぁ、「月のウサギ」などというふざけた名前の主人公ですし、当然でしょう。
1作目の「美少女戦士セーラームーン」は、シリーズものの常で「無印」と呼ばれることが多いですが、この「無印」前半は、ムーン、マーキュリー、マーズの3人だけで戦います。
OPは、1人加わるごとに絵がプラスされる手の込みようで、カット割りのテンポの良さもあってなかなかのものですね。
主要登場人物には、それぞれ対応する星があり、名前に取り入れられています。
主人公が月野、ヒーローが地場(地球)、水星が水野、火星が火野、木星が木野、という具合です。
後のシリーズに登場するキャラも、土星は土萌、天王星は天王、海王星は海王、冥王星は冥王となっています。
唯一の例外が金星の愛野美奈子です。
「金野」でいいじゃん、と思うんですけどねぇ。
彼女の場合は、美奈子と、名前の方で語呂合わせされています。
鷹羽の仲間内では、「金野ちゃん」と呼ばれてましたけどね。
主人公だけ惑星でなく衛星と規模が小さいのはご愛敬。ちなみに、この当時、冥王星は惑星でした。
序盤から揃っていたムーン、マーキュリー、マーズに比べ、中途参加のジュピター、ビーナスの個性が少々弱かったのが残念です。
戦闘経験豊富で攻撃力高めのビーナスはまだしも、ジュピターのキャラ立ちは弱かったです。
いきおい、毎回のようにゲストキャラに「(昔フラれた)先輩に似てる」と、訳のわからない共通点を見つけ出すイタい人になってしまいました。姉御肌っぽかったり、別の活かし方があったと思うんですけどねぇ。
特筆すべきなのが、マーキュリーの立ち位置です。
マーキュリーには、なんと、攻撃力がありません!
プリキュアと違って殴る蹴るはあまりしない(ショーだとキックとパンチがメインだけど)のに、攻撃用の技がないのです。
マーキュリーの技はシャボンスプレーで、シャボン玉を大量に飛ばして敵の視界を奪うというものでした。
このほかに、ヘッド部分からアンテナを伸ばし、ハンドヘルドコンピュータで敵の能力などを分析するという戦闘補助がメインだったのでした。
支援に徹するメンバーというのは、グループものには大抵いますが、支援特化で戦闘能力ほぼゼロというのは、とても珍しいのです。
周りに比べて極端に戦闘能力の低いホワイトスワン(ジェットマン)も、メガピンク(メガレンジャー)も、周りと同じ武装を持ち、弱いなりにちゃんと戦えるのです。
「なろう」での追放もので、支援型のキャラが主人公になることが多いように、一見“戦闘で役に立たない”ようだし、活躍もさせづらいから。
「機甲戦記ドラグナー」では、電子戦特化型のD3も、マシンガンを手に普通に戦闘しています。
たとえば、スーパー戦隊で、戦闘能力がないヒーロー・ヒロインって存在しますか? ということなのです。
マーキュリー:水野亜美が知性派ということもあって、役割分担ができていたこと、マーキュリーには男性ファンが多く、どちらかというと“守ってあげたい”系のキャラだったこともプラスにはたらいていると思います。
さて、そんなマーキュリーですが、最終決戦では単独戦闘をやっています。
最終決戦では、「南総里見八犬伝」以来の伝統「俺に任せて先に行け!」な展開を見せます。
少年漫画でよくあるパターンですね。
戦力の分散であり、各個撃破の餌食なんですが、燃える展開なのも確かです。
なので、少年漫画とかでは、“因縁の対決”だとか“宿命のライバル”とか、何かしら理由を付けて一対一に持ち込みます。
たとえば、「聖闘士星矢」12宮編では、氷河とカミュ(師弟対決)、氷河とミロ(カミュの親友)、星矢とアイオリア(元々知り合い)、瞬とアフロディーテ(師匠の仇)、紫龍とデスマスク(廬山での因縁)のように、因縁対決が半分を占めます。
「天空戦記シュラト」須弥山編では、一定以上のソーマを使うとその後戦闘不能になるという設定により、ソーマを使うのを1人ずつにすることで、脱落者が一戦につき1人となるようにしていました。
その点、「セーラームーン」ラストバトルでは、なんというか無駄に戦力を分割して、1人ずつ死んでいます。しかも、いちいちムーンがぎゃあぎゃあ泣きわめくので、鬱陶しいのです。
一斉に掛かった方が勝てるように感じさせてしまうのが、このラストバトルの欠点と言えるでしょう。
特に、攻撃力のないマーキュリーを1人で戦わせる(隙を突いてコンピュータで殴り、アイテムを破壊して死亡)とか、殺すつもりだったとしか思えません。
ちなみに、このラストバトルの頃は、うさぎ=ムーンの声は三石琴乃さんではなく荒木香恵さんでした(荒木さんは、この縁でちびうさ役を射止めました)。
当時、テロップでは三石さんが急病になったとされていましたね。
てっきり盲腸かと思っていたんですが、後に、どこかで、当時三石さんはプレッシャーで病んでいたというような話を見かけました。
三石さん自身、痛恨ではあったようです。
ともあれ、仲間が全滅し、タキシード仮面も死に、ムーンも敵首領と相討ちで死んでしまいます。
その後、うさぎの最期の願いによって時間が物語の始まる前まで巻き戻り、うさぎ達6人も生き返って記憶を失います。
…のですが、翌週から始まる「美少女戦士セーラームーンR」で、すぐに記憶が戻ってしまいます。
それより、時間が巻き戻ったのに敵は生き返らないのかとか、自分たちは1年分の記憶(授業とかも)を取り戻したのに、周囲は1年前のままで齟齬は生じないの?とか、疑問は尽きません。
まぁ、「セーラームーン」シリーズは、どうも話の盛り上げがその場凌ぎな感じが強いんですよね。
いい悪いではなく、そういう作品ということで、気楽に見る作品です。
コメディ系と思えば、相当楽しめます。
とりあえず、「セーラームーン」シリーズ最大のツッコミどころは、“クイーンセレニティになっても、うさぎは勉強できないままだった”というところでしょうか。
オマケ
三石さんといえばセーラームーン、というわけで、こんなパロディが。
1991年放映のアニメ「ゲンジ通信あげだま」のヒロイン:平家いぶきの声を三石さんが演じていたが、物語終盤、ヒーローである“あげだマン”の変身に必要なロボット:ワープ郎が故障したため、変身不能になった。
その際、いぶきは町人の力に目覚め、変身した。
変身シーンはまんまセーラームーンで、名乗りは
「ワープ郎ちゃんが怒ってる! 変換できないって怒ってる! 愛と気合いの小学生美少女戦士ワンダーいぶき(仮名)! あげだマンに代わっておしおきよ!」
だった。
ちなみに、名乗りの中の「(仮名)」は、「かっこかめい」と発音している。
更に、翌週は名前が変わっていたそうな。
「ワンダーいぶき 変身」でぐぐると、動画が見られる。