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6 猫じゃらし

 今回は、猫じゃらし様からのリクエストで、お題は「猫じゃらし」。

 ええ、猫じゃらし様から猫じゃらしのリクエストです。ややこしい…(^^;)

 今回は、「梓小話」出張版です。

 あたしは、猫気質だ。

 組織とか上司に対する忠誠心なんて欠片もない。

 とはいえ、縄張りを守ろうという意識は持っているから、無駄に組織に楯突こうって気はない。

 上司は、好き嫌いが出るから、一律には言えないけど。

 一緒に仕事してて楽しい人と、そうでない人では、モチベが全然違うからね。

 あたしは、嫌いな人は顔を見るのも嫌な性質(タチ)なんで、仕事に差し支えが出るからなるべく仕事関係者は嫌いにならないようにしてる。

 だから、職場に好きじゃない人はいっぱいいるけど、嫌いな人はいない。

 前はいたけど、みんな辞めちゃったから、今はいない。別に、いびり出したりしてないよ?




 性格的な部分も、割と猫っぽい。

 小さい頃、一緒に住んでたおじいちゃんが、あたしは大好きだった。

 おじいちゃんの方でも、内孫は可愛かったんだと思う。

 孫なんて10人以上いたけど、あたしのことはかなり可愛がってくれた。

 可愛がり方に少しクセがあったけど。

 おじいちゃんは、ちょっかいをかけて可愛がるタイプの人で、あたしには随分ちょっかいをかけてきた。

 テーブルの下で、あたしの足の裏をくすぐるっていうのが一番の遊び方だったね。

 あたしも、最初はくすぐられてきゃあきゃあ言ってたんだけど、そのうち平気な顔して見せて対抗するようになった。

 幼稚園くらいの頃の話だ。

 おじいちゃんは、あたしが必死に平気な顔をしてるのを見てるのが面白かったみたいでくすぐるのをやめなかった。

 小学校入るくらいまで続いたかな?



 同じように、あたしをからかって、テーブルの上で手をちょこちょこ動かしたりもした。

 人差し指と中指を足のようにして、ちょこちょこ歩かせる。

 んで、あたしがそれを叩きに行くと、ひょいっと避ける。

 まるで猫じゃらしみたい。

 当時、あたしは猫に触れたことがなかったけど、今にして思うと、猫じゃらしみたいだったなぁと思う。

 こんなところまで、あたしは猫っぽかったらしい。

 そのうち、おじいちゃんの手を叩けるようになって、この遊びは終わってしまった。

 痛かったからやめたってわけじゃなかったと思う。

 5~6歳の女の子が叩いたって、そう痛いもんじゃないだろう。

 ただ、逃げられて悔しがるあたしを見られなくなったから、つまらなくなったんだと思う。

 おじいちゃんは、そういうところがある人だった。




 あたしも、翼が小っちゃかった頃に同じことをしてみたけど、翼は本気で嫌がったので、すぐやらなくなった。

 どうやら、翼は猫気質じゃなかったらしい。




 就職して何年も経ったある時、職場の後輩に言われた。


「鷹野さん、何か用ですか?」


 何言われたかわかんなくて訊き返したら


「私が部屋入ってきた時からずっとこっち見てたので。てっきり何か用事があるのかなって」


なんて言われた。

 どうやら、無意識のうちに目で追っていたらしい。

 本当に用事はなかったので、


「ごめん、動くものを目で追う習性があるのよ」


と答えておいた。まぁ、嘘じゃない。自分でも、言ってて“なんじゃそら”と思うけど。

 そうしたら、彼女は


「やだな~、猫ですか?」


って笑った。

 うん、そうなんだよ、あたしは猫なんだ。

 小っちゃい時からずっと。

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― 新着の感想 ―
[一言] 遅ればせながら! やっぱりこのお話好きです(*´꒳`*) 読み返してじんわりとしてしまいました。 おじいちゃん〜っ。 改めて素敵な副賞、どうもありがとうございました( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )
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