第9話 衝撃の事実
お久しぶりです!
いやほんとお久しぶりです・・・すいません。
定期テストに追われ、追加課題に追われ、ポケモンアルセウスにも追われ・・・
紆余曲折あって、ようやく更新できました!
それでは第9話どうぞ!
狐の魔物を担ぎ、一先ずは森の人気も獣の気配もない場所へと移動させた。
「ふぅーっ・・・とりあえず、こんなもんでいいだろ。」
回復薬ポーションを傷口に撒き、その上から包帯で強く縛ってしばらく止血する。
え、回復薬ポーションと包帯はどうしたんだって?さっき倒した奴らから追い剥g・・・貰ったのさ!
ちなみに、回復薬ポーションの効果は事前に心眼鑑定で確認済みだ。
回復薬ポーション(中)
特性:自然治癒力を大きく促進させ、開いた傷口や切り傷をごく短時間で塞ぐ効能を持つ。
こんな効能だ。これでしばらく包帯で傷口を塞いで止血しておけばこいつは大丈夫・・・だと思う。
そして一段落つき、狐の魔物が目を覚ますまで俺は隣でさっきの戦闘について考え込む。
先ほどの戦闘で、前世込みで初めて魔法というものを見た。人を飲み込むほどの火球を飛ばしてきたのだ。俺の『魔法破壊』の能力がなければ今頃お陀仏だっただろう。
他にどんな魔法が存在するのか、どんな威力を持つのか、いずれにせよ情報収集は必須だろう。いくら『魔法破壊』があるとはいえ、情報を怠る奴に未来はないのだ。
まぁ、さっきの魔法使いが放った巨大な火球はこの世界の魔法の基準でいえば下の中あたりじゃないか?
そらそうだろう、こんなか弱い狐の動物を嬉々として追いかけ回すようなやつだ、そういう奴はまともな実力なんて伴っていないと相場は決まっている。
え、俺も似たようなもんだろって?・・・ちょっと何言ってるか分からんなガハハ。
そんなこんなで、色々と考え事をしていると、俺の意識は深く微睡みに落ちていき、気づくこともなくぐっすりと木にもたれ掛かって眠っていた。
「やっほ〜♩エンジョイしてる〜?」
「おい、なんであんたがここにいんだよ。・・・てか俺またここにいんのかよ!?」
俺がふと意識を取り戻すと、目の前には俺を転生させたあの女神がおり、今俺は転生の儀式を行ったあの場所へといた。
「大丈夫よ。ここは確かに天界だけど、あなたは死んだわけじゃないわ。あなたが寝てる時にあなたの意識を私がこっちに引っ張ってきたのよ。まぁ、ここは夢の中だと思っていてくれていいわ。」
あぁ、なるほど。俺また死んだわけじゃなかったんだな。よかったよかった・・・じゃなくてだな
「なんで俺はここに呼び出されてんだ?俺何かやらかしたか?」
女神の言われた範囲内のことしかやってないから、とりわけ呼び出される理由も見当たらないが・・・
「違うわよ。別に怒りたいんじゃないわ。むしろ感謝を言いたかったの。」
「え、感謝?」
いや、余計に訳が分からなくなってきたぞ。どういうことだ。
「・・・私の大切な眷属を救っていただき、ありがとうございます。ほら、あの子ですよ。あの狐の子」
え、うそん。あの狐の子って女神の眷属だった訳?
どういう意味だ?
「いや、なんでお前の眷属が魔物・・・?」
「実は、天界で少し事故がありまして、私の眷属の子がその事故の責任者だって言われたの。偉い神様が怒ってその子の記憶を全て消し去り、その子の魂は1匹の魔物の中に埋め込まれた。神としてではなく、獣として生きろっていう重い罰だったの。」
「・・・そんなことがあったのか・・・」
「でも、その子が魔物として送り込まれた後、その子の冤罪が発覚したの。」
おっふ、まじかよ。てことは、そいつは全くの濡れ衣で記憶も消されて無理やり魔物化させられたってことか。天界ドロドロしすぎだろ。
「これには偉い神様たちもてんやわんやと焦ってしまってね、何とかその子を天界に戻そうとしたの。でも一度送り込んだ魂はその生を全うするまでこっちに引き寄せれない。だから、私がせめて、その子に充実した生ができるように見守っていたのだけど・・・結果はさっきの通りよ。」
なるほど。魔物が人類にとって悪の象徴とされている世界に魔物として生まれれば、どうなるかは想像に難くはないな。
「あのままあなたが現れなければ、あの子は何も罪もないまま人間に悪意を向け続けられて殺されるだけの人生になっていたはずよ。・・・本当にありがとう。」
そういって、女神は俺に対して頭を下げた。最初の時のようなふざけた感じではなく、とても真摯に、感謝の気持ちを込めてだ。
「・・・別に感謝されるほどのことでもねぇよ。俺は動物を虐待するような奴が反吐がでるくらい嫌いだった。ただそれだけだ。」
女神はふと頭を上げて俺を見つめると、クスリと笑った。
「ふふっ、本当に分からない方ですね、あなたは。」
「分からない人間、いや魔物で悪かったな」
俺も女神に笑い返すと、女神はクスクスと笑い、俺にこう言った。
「先ほども申し上げた通り、あの子の魂は元々私の眷属、天使なのです。だから見た目は魔物であっても、感情や気持ちは普通の人間とほとんど変わりないんですよ?」
ほぉ、あの狐の魔物もしっかりと人と同じような感情があったんだな。ならば、あの殺されかけた時はさぞかし怖かったんだろうな。可哀想に。
「もし、あなたさえ良ければ・・・あの子と一緒に行動してくれませんか?あなたが近くにいれば少なくともあの子は安全ですから。」
そうか、俺を呼んだ狙いは最初からこれだったか。人間界にいる自分の大切な眷属を守るために、最も強いであろう存在の側にいさせて安全を確保しようってことか。
だが、ここまできたら乗りかかった船ってやつだ。それに治療したとはいえ傷ついた動物を放置するほど俺の性根は腐ってもないしな。
「分かった。あいつは俺に任せろ。」
「・・・ありがとうございます。」
また女神が俺に頭を下げると、視界がだんだんぼやけていくのを感じた。
「それでは、あなたを元の場所に戻しますね・・・あ、そうだ。1つ言い忘れていたわ」
ぼやけていく視界の中で女神が俺に語りかけてくる。
「あなたが私の可愛い眷属を救ってくれた恩、そしてあの子があなたと楽しく過ごせるために、あなたとあの子の二人にとってもいいお礼をあげたわ。」
お礼?なんだそれは?
俺が問いかけようとしても視界のぼやけは止まらず、最後に目の前が真っ白になった。
「どうか、あなたたちの往く道に幸があらんことを」
そう女神の言葉を最後に、俺の視界は晴れてきた。
「・・・ん、戻ってきたか。」
視界が晴れるとそこはさっきまでいた森の中だ。ここで寝落ちしてしまっていたらしい。それはそうとして、俺はさっき女神に言われた言葉を考えていた。
「お礼、か・・・一体なんなんだ?・・・ん?なんだこれ。」
考えていると、何やら自分の膝の上に重みがあることにようやく気付いた。
そこに目を向けると・・・
尻の上から狐尾、頭に狐耳、おでこから赤い角を生やした白髪の少女が俺の膝の上でスヤスヤと眠りこけていた。
「いや誰だお前はぁーーー!?」
定期試験が終わったのもつかの間、今度は定期試験の結果発表に怯えなければいけない時期に・・・