第8話 蹂躙開始
遅れまして申し訳ございません!
大学の課題が・・・終わらないんです・・・!
「こ、殺せぇっ!お前ら、今すぐこの化け物を!」
「うるせぇよ、雑魚が。」
そう言いながら、一瞬で間合いを詰めて魔法使いの顔面に拳を一発叩き込む。こんなやつにわざわざ『次元歩行』を使うまでもない。縮地を使って接近したのだ。
顔面モロに拳を受けた魔法使いは、頭部がスイカのように赤い液体を撒き散らかしながら爆ぜた。
前までなら人の顔を殴っても当然こんなことにはなっていなかったが、今の俺は人間とは基礎スペックの違う魔物であり、『格闘術』の能力まで上乗せされている。そんな状態で人の頭を全力でぶん殴ればこうなるだろう。
頭部を失った魔法使いの頭がゆっくりと倒れこみ、地面にベシャッと赤い血を撒き散らかす。
「う、嘘だろ!?メルスも一撃で!?」
弓を持った男がそう叫んだ。ふむ、この男そんな名前だったのか。まぁどうでもいいんだが。
振り返って残りの人数を確認すると、さっきの弓使いのやつ含めてまだ四人残っている。
せっかくならばと思い、試しに『心眼鑑定』を使用してみる。
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名 ニール
種族 人族
性別 男
年齢 21
所持能力
『弓術』
称号
『Cランク冒険者』
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なるほど、ニールというこの男は所持能力が『弓術』の1つだけか。称号の『Cランク冒険者』というのも気になるが、後回しだ。他の三人にも『心眼鑑定』を施してみると
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名 ミナ
種族 人族
性別 女
年齢 18
所持能力
『ダガー術』『体術』
称号
『Cランク冒険者』
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名 ガレア
種族 人族
性別 男
年齢 27
所持能力
『斧術』『盾術』『鉄壁戦士』
称号
『Cランク冒険者』
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名 アリア
種族 人族
性別 女
年齢 14
所持能力
『治癒魔法』
称号
『Dランク冒険者』『癒しの導き手』
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全員似たり寄ったりだな。この中だと、あのガレアという男が少し強いかもしれない、といったところか。
そのガレアの、とある能力が少し気になり、さらに詳しく見てみる。
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『鉄壁戦士』
戦闘時に自身の防御力を上昇させ、ダメージを軽減させる。
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ほほう、戦闘時に限り防御が上がるか。面白い。
ならば、と俺が戦闘の構えを取ると、四人が後ずさりをする。
俺がヤる気だと悟ったのだろう。奴らも武器を構えて応戦する気だ。
俺はそんな奴ら目掛けて縮地を使い、一瞬で後方にいた弓使いへと接近する。『次元歩行』はこいつらに使うのがもったいないからな。
「なっ!?」
弓使いがあわてて距離を取ろうとするがもう遅い。
俺が奴の鳩尾に、加速した勢いで拳をストレートにくらわした。
俺の拳が弓使いの鳩尾を貫いて背中を突き破る。
「ごぼぉっ!」
口から夥しい量の血を吐いたそいつの腹から腕を抜き取り、無造作に放り捨てる。流石に致命傷だったのか、ピクリとも動かない。
「ニールッ!お前ぇぇぇぇぇっ!!!」
「ダメだミナ!戻れっ!」
ダガーを持った女が、斧と盾を持った男の制止を聞かずに突っ込んでくる。
怒りで前が見えなくなったか。愚かだな。
ダガーを持って突っ込んできた女の突進を難なく避ける。
「死ねぇぇぇぇぇっ!!!!」
「お前がな。」
能力『体術』の補正もあってか、女が身を華麗に翻して俺にダガーを突き立てようとしてくるがそんなものなど簡単に予測できる。
まず、ダガーを振りかざしてきた方の女の手首を握って軽くひねり、思わず反射で手から離してしまったダガーを俺が空中でキャッチ。そしてその勢いのまま女の心臓めがけてダガーを突き立てる。
女はいきなりの反撃とこの状況に理解が追いつかないのか、ありえないという表情をしばがら血泡を吹いて口をパクパクさせ、すぐに絶命した。
「さてと、残るは・・・」
ちらりと残りの二人を確認する。
「・・・アリア、今すぐ私を置いて逃げろ。」
「なっ、嫌ですっ!そんなことできませんっ!」
「見て分からねぇのか!このまま二人で奴と戦っても死ぬだけだぞ!早く走れ!お前だけでも生き延びろ!」
「そんな・・・そんな・・・!」
このままどう戦っても勝てないと悟って、自分より年下の少女を生かすために自分が犠牲となるつもりか。なるほど、いい覚悟だ。
「俺が時間を稼ぐ!長くは持たない!早く走って逃げろ、そしてこのことをいち早く冒険者ギルドに報告しろ!早く!」
「う、うわぁぁぁぁぁぁっ!!!」
少女が杖を持って、元来た道を走り去る。
「おいおい、仲間を想うその心意気と覚悟は尊敬するが、さすがに無謀すぎねぇか?」
「・・・どうせお前と戦っても勝てないのはさっきのを見て分かってる。だがな、ただただ死んだら、死んだあいつらとあの子に顔向けできない。だから、せめてお前の手足の1本ぐらいは切らせてもらうぞ!」
そういって、男が盾と斧を構えて突進してくる。
俺は奴の突進に合わせて、正拳突きを食らわす。
「ふんっ!!」
男が盾を素早く展開させ、俺の正拳突きを受け止めようとする。
ガキンっと甲高い金属音が鳴り響く。その時、少し違和感を感じたがその正体はすぐに分かった。
やつの能力『鉄壁戦士』だ。道理でなんか異常に硬いと思った。
そのせいか、男はまだピンピンしている。盾術と高い防御力、普通ならこの攻略は難しいだろう。たしかに時間稼ぎするにはもってこいの構成だな。
しかし、俺にはもう攻略の道筋は見えている。
「うおおおおおおおっ!!!」
男が再び盾と斧を持って突進してくる。
俺はそれに合わせてやつの顔面に向かって、正拳突きをかまそうとする。当然、相手はそれを防ごうと盾を構えて来た。
読み通りだ。
正拳突きをすると見せかけ、男のおろそかになった脚部に鋭い蹴りを放つ。俺が狙ったのはやつの半月板のあたりだ。
ガツンと骨の鳴る音が響く。
「ぐぅっ!?」
さすがに全身硬いといえども、関節は脆いようだな。
怯んだその瞬間は致命的な隙となる。思わず膝をついた男の背後に素早く回り込み、思いっきり蹴りを回す。
狙うは奴の頚椎、そのつなぎ目だ。
格闘術の補正も入ったそれは見事に男の頚椎に深刻なダメージを与え、当たった瞬間に何か骨の折れる感触が蹴り足を伝って感じる。当然、俺の骨ではない。
頚椎に蹴りが入ってしまった男は何も発さず、ただその身体を地面に沈めた。恐らく即死だ。死んだその瞬間も何が起こったのか分からなかったのだろう。
「さて、あの少女は、と・・・」
少女の逃げた方向を見ると、もう流石にその姿は見えなかった。
「逃げる時間稼ぎは成功したって訳か。大した男だ、こいつは。」
自分の命を投げ打って仲間を救うのは言葉で言うだけならば簡単だが、実際にやり遂げるのはそう簡単にできることではない。
俺はただ素直にこの男、ガレアを称賛した。
「まぁ、死体はほっとけば動物か魔物が食ってくれるだろ。問題は・・・」
未だに倒れ伏して傷だらけな狐の魔物の元へ歩き、確認する。
「・・・よし、とりあえず生きている。呼吸も大丈夫そうだな。だが傷は早く手当てをしないと。」
大きな狐の魔物を担ぎ上げ、とりあえず人目につかなそうな場所へと移動するが、1つ重大なことに気づく。
「そういえば、魔物の治療ってどうすればいいんだ・・・?」
全くもって前途多難である。
第8話を読んでいただき、ありがとうございます!
「先生・・・課題が、終わりません・・・」
教授「頑張りましょう」(追加課題をポイ)
「アスラ強すぎるンゴww」
「狐の魔物ちゃんが心配!」
「続きが気になる!」
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