第7話 初めて魔法を見たからぶっ壊したわ
1週間ぶりです!
また来週が忙しくなりそうなので、今週は色々と書いていきたい所存・・・!
「あ〜、まさかこんな形で人を初めて殺すとはな・・・」
狐の魔物が気を失ったのを確認して後ろを振り返り、首が変な方向に折れて倒れた男を見る。
だが、初めて人間を殺した感想は
「ふぅ〜、スッとしたぜぇ!」
ただただその気持ち良さに心が悦びの声を上げていた。その理由として、ただ人を殺せたからだけではない。
「まったくこんなに可愛い動物に剣とか弓で斬りつけるとか、どういう神経してんだよこいつらは・・・」
そうこの男、実は動物好きである。人間相手には容赦ないくせに動物相手には甘々な一面があるのだ。
男たちが狐の魔物に手を出した瞬間に怒りでぶん殴って殺そうと思っていた。
「ア、アレン!!?」
「な、何が起こった!? あれはなんなのだ!」
「よくもアレンを・・・!許さねぇ!!」
気を失った狐の魔物を優しく撫でていると、突然のことで呆然としていたこの死んだ男の仲間らしき奴らが騒ぎ始める。
ある者はアレンのいきなりの死に驚愕し、ある者は未だに現実を把握できておらず、ある者は男を殺した俺に憤怒と殺意を向けてくる。
俺がそいつらの方に体を向けると、先ほどまで騒ぎ立てていた奴らが今度は別の意味で騒ぎ立て始めた。
「・・・ひ、人? いや違う、角が生えてるから魔物の一種よ!」
「おい待て!人の姿をした魔物の時点でかなりレアだが、黒い角の魔物とか見たことねぇぞ!」
「・・・私聞いたことある。・・・『黒い角を持った魔物が降臨した時、世界は破壊の危機に晒される。それは全ての魔物の頂点に君臨する存在である。』っていう話を・・・」
「それはおとぎ話での世界の話だろうが!お前だけじゃなくて全員その話知ってるレベルのおとぎ話だ! 第一、そんな魔物がいるわけねぇだろが。仮に本当にいたとしてもこんな場所に現れるわけねぇ!」
ギャーギャーと俺を睨みながら口論している奴らを眺めていると、そいつらの奥の方から黒いローブを羽織ったいかにも賢そうな顔をした男が出てくる。
「あなたに聞きたいことがあります。答えなさい。まず、あなたは何者ですか?いやそれ以前に、どうやってここに現れたのですか?」
男が警戒心を露わにして俺に話しかけてきた。
ふむ、どうしようか。こいつらに俺が何者かを明かす必要性などないし、現れた方法も話す必要性がない。
まぁ簡単な方法だがな。あの剣を持った男が剣を振りかざしたのを見て、『次元歩行』の能力を使って一瞬で正面に移動。あとは両手で男の首の骨をポッキリと折った。な、簡単だろ?
俺が頭の中でうんうんと一人解説していると、そんな俺の様子にイライラした男がしびれを切らして手に持っていた杖を俺に向けてくる。
「この私に対してその舐め腐った態度が気に食いませんねぇ・・・! もういい、あなたが人間だろうが魔物だろうが関係ありません。私のパーティーの仲間を殺したあなたには死で償ってもらう!《紅蓮の炎よ!》」
いや、短気すぎんか? これくらいスッと受け流せよ。
男が杖を持って何かを唱え始めると、男の杖の先に火の玉が現れる。
そうか、これが魔法というやつなのだな。
一人で答えを導いていると、男の呪文が終わろうとしていた。ていうか遅いな。こんなに時間かけてたら襲ってくれって言ってるようなもんじゃねぇか。
「《骨の髄まで燃え焦がせ!インフェルノフレイム!》」
呪文を言い終えたらしい男が、俺に向かって先ほど杖の先に現れた火球が巨大化して飛んでくる。大体直径2mほどの大きさの火球だ、当たれば炎が俺を飲み込み、ただでは済まないだろう。
だが俺はそこまで焦ってはいない。むしろいい機会だと思ってすらいる。あの能力を試すには絶好の機会であろう。
「ふははははは!全て燃えてしまえ!灰も残さず消し飛ぶがいい!」
あの男、名前は分からんから魔法使いと呼ぼう。その魔法使いがでっかい火球を俺に撃ってきて何かハイになってやがる。多分あれで俺は死んだと思ってるんだろうな。だが、実験台にさせてもらうぞ。
「・・・はぁっ!!」
掛け声と共に俺は飛んできた巨大火球に一発正拳突きをぶち込んだ。
すると火球が俺の拳を飲みこ・・・まなかった。
拳に触れた途端にあのでかい火球がパァンッと弾けるように飛び散って消えたのだ。
上手くいったと内心感動していると、火球を撃ってきた魔法使いが有り得ないという驚愕の表情をしていた。
「う、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ!!この私が放った最高の魔法を消しただと!?貴様ぁっ、何をしたぁっ!!!」
うっわ怖、さっきと全然口調違うじゃねぇかと思いながら、さっきのやつを思い返す。
何も難しいことではない。飛んできた火球に対して正拳突きを放って、能力の『格闘術』と『魔法破壊』を発動させただけだ。しっかりと火球が消し飛んだのを見るに、この2つの能力も発動できたことを確認できた。
というわけで、確認したいことも終わった。ならやるべきことはただ1つ。
ギロリと未だ喚き散らす魔法使いを睨むと、ウッと呻いて後ずさった。
そして魔法使いを含む、人間相手に俺は牙を見せて嗤い、こう告げた。
「さぁ、楽しい蹂躙タイムの始まりだぜ!」
「主人公スゲー」
「魔法壊せるとかチートや!チーターや!」
「次回蹂躙おなしゃす!」
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