第5話 女神の説明、そして始まる転生
今回も見てくださりありがとうございます。前半は女神による各能力の説明なのですっ飛ばしても構いませんよ()
それでは第5話の方、どうぞ!
「それじゃあ、何か聞きたいことはありますか?」
「むしろ聞きたいことだらけなんだが?」
こんなんどう扱えっていうんだよ。もし説明の通りならばクソ強い能力であることは分かるんだが・・・
「それでは、一番聞きたいであろう能力の説明に入りますね。『格闘術』はさっき説明した通りの効果ですので説明は省くよ。『次元歩行』なんだけど、これもそこの説明の通りで、目の届く範囲内の場所に一瞬でテレポートできる。視界範囲内限定のワープといったところかな。」
なるほど、縮地をより高速にさせた感じ、という印象だな。あれは前傾姿勢で重力を利用して加速しながら相手の視覚外に素早く入り込んで接近し、懐に潜り込むという武術の1つなんだが。
何はともあれ、『次元歩行』があると対人戦ではかなり楽そうだな。
「次に『魔法破壊』。『格闘術』や『剣術』といった戦闘系の能力に上乗せさせて発動させることで相手の魔法を打ち消す効果を持つ。剣士なら剣で、あなたのような格闘家なら拳や脚で魔法を無効化できるってわけね。でも、『魔法破壊』の能力は戦闘系の能力がないと何も効果が発揮されないという一面もあるわ。あなたには関係ないでしょうけど。」
完全に魔法使い涙目レベルの能力じゃねーか。魔法にどんなやつがあるか知らないが、これがあるだけで対魔法使いでの戦闘は段違いに動きやすそうだな。
「次に『超速再生』なんだけど、これは読んで字の如くよ。どんな怪我を負っても一瞬で再生できます。でも一撃で頭を吹き飛ばされたり、一瞬で心臓潰されたみたいに即死したら発動できないわ。」
それはそうだろう。たとえ死んでも蘇れるとか強すぎるからな。今のままでも十分すぎるほど強いが。
1対1の戦いならともかく、対集団戦ではどうしても傷を負うことが多くなる故、これも意外と使うかもしれんな。
「最後に『心眼鑑定』について、といってもこれも読んで字の如くね。物だけじゃなく、人間や魔物の色んな情報も読み取れる。相手が所持している能力も筒抜けに分かっちゃうわよ。」
最後のこれもまた強いな。たしかに殴り合いも重要だが、相手の情報をいち早く知れるというのは対人戦においては何よりもアドだからな。そうすることで対策を立てやすくなる。
「どうですかこの選出! 『格闘術』は普通ですが、それ以外の能力は超絶レアなやつばかりよ! 超絶レアスキル大放出!」
「まぁそうだろうなとは思った。」
こんな能力を所持した人間がゴロゴロいる世界とかカオスにもほどがあるだろうしな。
女神は何故か説明を終えた途端に上機嫌だし。
・・・あれか?普段はレアなやつを出し渋っておいて、ここぞという時に全開放したらハイテンションになるタイプのやつか?
「でもまぁ、能力が強いからといってそれで全てが決まるわけでもないのですが。」
「それはそうだろう。鎧をつけた武術の素人と何も着ていない達人、装備に差はあれど結果として達人が勝つ。それは能力でも同じことだろ?」
片方が強い能力を持っていても修練度が低ければ普通に負けるだろう。
「それもあるのですが、種族としての特徴も大きく関わってきます。」
種族としての特徴だと?
「魔物と一括りいっても、様々な種族があります。たとえば、あなたが転生する予定の種族は物理攻撃にこそ秀でていますが、魔力が少ないため魔法系能力はほぼ無意味と化します。」
魔物にも色々とあるのだな。つまりさっきのゴブリンにも何か種族としての特性を持っていたのか。
それはそれとして、俺は魔法をあまり使わないほうがいいのか。まぁ使う予定もないから別にいいのだが。
「人間にも同じことが言えますよ。人間には人族やエルフ族などの種族がありますが、人族は全体的に万遍ないステータスを持ち、戦闘や経験によって剣士や魔法使いなど様々な生き方ができます。何にでもなれるってことですね。エルフは物理攻撃こそ低いのですが、人族よりも魔力を多く所持しているので魔法系を中心とした能力が望まれます。」
異世界にはエルフもいるのかよ。ますますファンタジー感が強くなっているんだが・・・
それはそうと、種族というだけでそれだけの違いがあるのか。たしかに、物理的に力の弱い種族が強い物理攻撃系の能力を覚えたところで大したダメージは出ないよな。
「こんな感じでしょうか。ざっと説明はしましたが、何か分からないところとかありますか?」
「いや、ない。十分理解した。」
これ以上聞いたところで大した情報は得られそうにもないな。
「それでは、早速転生の儀を始めたいと思います。いいかな?」
「分かった。これ以上質問したいことも思いつかんからな。」
ようやく転生が始まるのか。でもなんだかんだでワクワクしている自分がいる。
そうか、もう自分を抑える必要はないんだな・・・好きに人間をぶん殴ったり殺したりしてもいいんだな・・・!
そう考えただけで心が踊る。
女神が指を鳴らすと俺の足元が光り輝き、吸い込まれるような感覚に陥る。これが転生するっていう感覚か、妙な気分だな。
「それじゃあ、増えすぎて調子に乗ってきてる人間たちを派手にぶっ殺してきてくださいね♪ 頼みましたよ♪」
おいおい、まるで女神とは言ってるとは思えない言葉だな。そんだけ鬱憤溜まってたってことか。
そうやって内心苦笑していると、俺の目の前が光で真っ白になる。
あぁ、ついに始まるのか。俺は全身が浮遊感に包まれるのを感じた。
「ふぅ、ようやく送り出せたわ。」
明日楽を送り出し、自分以外誰もいなくなった天界で、女神は独り言を呟いていた。
「あの人が楽しく暴れまわってくれるのが楽しみね。
あの人、能力もそうだけど、素がすでに最強クラスだもの。何はともあれ・・・」
女神がビジョンを通してとある景色を見る。
そこには森の中心で人型の生物が眩い光を放ちながら出現する様子が写っていた。その生物のおでこからは黒い角が2本生えており、魔物であることが分かる。
そんな魔物が現れたのを確認して、女神は誰にも見られることなく薄ら笑いを浮かべた。
「頼んだわよ♪ 黒角の最強種くん♪」
最後まで読んでいただきありがとうございます!
これにてプロローグは終了です!
次回からはアスラが魔物として転生したところからになります!
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