イライラ
移動系は、ちょこさんの体力の関係で渋々歩く私は、ちょこさんが作った空間を眺めながらちょこさんの後を着いて行った。
ちょこさんは、ひとりで作った空間の説明をしながら歩いている…って言うか、前に進みながら浮いているって言うのが正しいだろう。
それにしても、どれだけ歩いただろうか…?
体力には自信がある私だけどだんだん疲れてきたよ!
てか、私死んでいるのになんでこんなに疲れるのよ!
私「はぁっ、そっか、まだ死んでないんだっけ…はぁっ…。」
ちょこ「ん?何か言った?」
私「えっ!何も。」
無意識に心の声が出てしまった。
ちょこ「そっか!てか、もう森林系飽きたよね?違うのにする?」
本当、この人は能天気な人だな。
この空間作るのにも自分の体力が必要になるって言っているのに全然疲れてなさそうなんだけど?
本当に体力無くなるのか?
本当は、移動系作れないじゃないの?
それか、この時間を楽しみたいからって早くあの世について欲しくないとか?
だから、あんなに楽しそうなのかな?
だとしたら、思い通りになんてなるもんか!
ちょこ「夏夜ちゃん、疲れたの?」
私「わぁっ!」
返事をしなかった私を気になり私の顔を覗き込んで心配そうな顔して聞いてきたちょこさんに私は、驚いた。
私「ちょ、ちょっと、驚かさないでよ!」
ちょこ「ごめんごめん。ハハッ。疲れたなら休憩する?」
歩き疲れてイライラしてる私は、ちょこさんに少し声を出して当たってしまったのに笑って謝ってくるし更に私の事を気を遣って休憩を提案するちょこさん。
ちょこさんは、これから死んでしまう私の事を同情して優しくしてくれているのかもしれないけど、今の私は何でも腹立たしい。
ちょこさんの能天気ぶりも全部ムカつく!
ちょこ「夏夜ちゃん、本当大丈夫?」
下を向いて何も言わない私に更に心配になっているちょこさん。
ちょこ「夏夜ちゃっ!」
私「あ"ぁ!もう、大丈夫って!早く、あの世に行きたいからまだ休まないし、風景もこのままで良い!だから、黙って!疲れてる上にアンタがペラペラ、勝手に喋ってると余計にイライラするから!」
あぁ…
また、ちょこさんに当たってしまった…。
ちょこさんは、何も悪くないのに…。
本当は私は、こんな自分に一番イライラしている。
でも、自分に当たっても更にイライラするだけ。
だから、ちょこさんに当たってしまう。
私は、ちょこさんの顔を見た。
でも、ちょこさんは笑顔だ。
ちょこ「そっか!ごめんね。ペラペラ喋っちゃって。でも、本当疲れた時は教えてね?辛いとか疲れたとかの感情とかは、自分にしかわからないから。いくら、天使な私でも貴女の心までは分からないからさぁ!」
とまた、謝って笑顔でまた私を心配している。
私「分かった。」
ちょこ「よしっ!じゃ、行こうか!」
と言いまた、前に進み始めたちょこさん。
なんで、イラってこないんだ。
なんで、笑っていられるの?
どうして?
私は、そんなちょこさんにイラつきながらちょこさんの後に着いて行った。
それから、またかなりの時間が経ったと思う。
時計がないから、どのぐらい歩いたかは分からない。
でも、ちょこさんか作り上げた風景は朝からもう夜になっている。
これは、ちょこさんの優しさなんだろうか…。
時間も分からないから、せめて一日の流れも作ってくれたんだと思う。
でも、本当そろそろ限界だっ!
私「はぁっ はぁっ はぁっ…。ねぇ…。はぁっ…。」
声を出すのも辛い。
ちょこ「ん?…。そろそろ、ここら辺で休んで行っこっか。ねぇ?」
と私が言い辛そうにしているのを察したのか、ちょこさんが代わりに言ってくれた。
私「う、うん。」
ちょこ「よ〜し、風景が森林だからキャンプ場にあるバンガローでも作ろうかな!」
パチンッ!
そう言い、指を鳴らしバンガローが現れた。
ちょこ「今日は、ここで休んで明日の朝また出発にしようね!」
ちょこさんは、笑顔で私に言ってきた。
私「うん…。」
ちょこ「お腹は、空いてる?何か食べたいのが有れば作るよ?味は保証するから、安心して好きなの言って!」
私「食べ物も作れるの?」
ちょこ「うん!作れるよ!ちゃんと、美味しいしお腹も膨れるよ!でも本物と変わらないけど偽物だから実際、夏夜ちゃんがいるこの空間は最初にきたあの何もない真っ白な空間にいるのは変わらないし。食べものも、実際空気を食べるだけなんだ。だから、せめてあの世に行く前にこの世にいた時みたいに過ごせてあげたいから何でも言ってね。それに、私の体力がなくなると私は動けなくなっちゃうけど寝れば体力戻るから!もし少し時間かかってもいいなら、移動家も作るよ!その時は、遠慮なく言ってね!」
なんだよ…
体力なくなったら、寝れば回復するなら最初から言ってよ。
そしたら、こんな辛い思いしないで済んだのに。
と思っていると。
ちょこ「で、何食べたい?」
とまた笑顔で聞いてきた。
私「あっ、じゃ、豚骨ラーメンと餃子」
ちょこ「了解っ!」
パチンッ!
ちょこさんは、また指を鳴らしテーブルに豚骨ラーメンと餃子を出してくれた。
匂いもちゃんとする、美味しそうな豚骨ラーメンと餃子。
私は、椅子に座り、箸を手に持ち豚骨ラーメンを食べた。
私「美味しい…」
ちょこ「でしょ?」
と自信満々な笑顔で答えるちょこさん。
私「あっ、いただきます。」
私は、お腹が減りすぎでいただきますを言い忘れた事に気づくき手を合わせて言ったのを見たちょこさんは、更に笑顔で
ちょこ「召し上がれっ!」
と応えてくれた。
私は、黙々とラーメンを食べスープまで飲み干した。
ちょこ「いい食べっぷりだね!」
と笑顔で言ってくる。
私「うるさい///朝から何も食べてないから、お腹空いてたの!」
私は恥ずかしいくなり、そっぽを向いて応えた。
そんな、私を見てまた笑っているちょこさんは、餃子のタレを作り始めた。
私「えっ…。な、何で…。」
私は、餃子のタレを作っているちょこさんに驚いた。
だって、私はいつも餃子のタレは酢と胡椒で食べるのが好きで…でも、友達と食べるときは変わってると思われたくないから、家族の時しか食べたことなかったから、ちょこさんか酢と胡椒を作っていた事に驚いてしまった。
ちょこ「えっ?あっ、タレ?私、酢と胡椒で食べるのが一番好きだったから自分の好みで作っちゃった!ごめんね。新しいの作るね!」
と言い新しい物を作ろうとしているのを私は止めた。
私「いい。私もこのタレ好きだからっ!」
私は、また黙々とちょこさんが作ったタレを餃子につけ食べた。
お腹いっぱいになった私は、バンガローにあるシャワーなの入り、ちょこさんなか服を作ってもらいベッドに横たわった。
それにしても、ちょこさんは本当に私の心を読めないのだろうか…?
あの、タレだって最初に作ったのって…
と思っているとスヤスヤと寝に入ってしまった。
ちょこ「起きて。朝だよ。」
とちょこさんが優しく起こしてきた。
私「んっ。もう少し…。」
ちょこ「でも、早くあの世に着きたいなら起きないとだよ?」
私「はっ!」
そうだよ、早くあの世に着いてこの人と早くお別れをっ!
ちょこ「おはようっ!」
ちょこさんはいつのもの笑顔で挨拶してきた。
私「うん…。はよう…。」
私は、ちょこさんの思い通りになるのが嫌でちょこさんの能天気な所も嫌でこの笑顔も嫌でイライラするからちょこさんと早く別れたいと思っているのに何故だろう…
そう思うと、無性に淋しくなってしまう。
そんな私は、ちょこさんの顔を見ているとちょこさんはまた心配そうに私を見て応えてくる。
ちょこ「大丈夫?まだ、疲れてる?」
私「だ、大丈夫!早く、行こう。」
私は、支度をして朝ごはんも食べまたあの世に進み始めた。