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犬豪伝〜ミナモトノウズマサ異聞録〜  作者: 星一悟
第二幕 西方世界編
67/81

捕縛

百人以上は切っただろうか。

気という概念を魔素に置き換えて体を動かすと、驚くほどの類似性があり、スタミナがもった。

人肉食を欲する類人猿のおぞましいオーガが、もはや萎縮し怯えていた。


「まだ、まだだ。」

ウズマサは肩で息をしながら、顔についた返り血を、血のついた手で拭う。武人は殺人者であり、血まみれになるのに慣れていたが、これ程までに血を浴びた事はなかった。


「やると思ったけど、ここまでとはね。」

ネームレスが段々呆れ始めていた。

「でも、もう飽きてきたよ。キミみたいな馬鹿は散々見てきた。死に至るぎりぎりまで自分を追い込む様な馬鹿は、戦場ではすぐに散っていくのによく今まで生きてきたもんだ。幸運を噛み締めて死にたまえ。」

ネームレスの周囲で石が浮かぶ。


ストーン‥


「今だダンキチ!」

「はいな御主人様!」


アピーアランス!


路傍の石のように気にされない魔法をかけ、近くまで接近していたダンキチが、ネームレスの前に突如現れた。


ストーンブラスト!


魔法力学的に浮いた石を利用して、ダンキチが石をネームレスにぶつけるベクトルをマナに込めた。


ゴゴゴゴゴゴッゴッ


鈍い音と共に手足に石が襲いかかり、ネームレスの四肢が骨が砕けた。

「ぐおおおおお!」

激痛と衝撃でネームレスは動けなくなった。

ダンキチがネームレスを魔素で補強した縄で捕らえ、首までくびって巻きつけ気絶させた。


「ディナシー!突撃だ!今なら石はこない!」


ウズマサの叫びに呼応して、グウェインは戦いの高揚ももどかしく霊馬を駆って突っ込んだ。


ケインの太鼓は突撃を表す激しい連打を打ち鳴らし、遊撃隊は大音声を挙げて走った。


加勢の槍となったグウェインのランスはオーガを一撃で絶命させ、壊れたランスを捨ててウズマサの近くで剣を抜いた。

「こういうつもりなら、早く言え!」

グウェインは怒りながら、オーガに剣を振り下ろす。

弓隊は走りながら弓を撃ち、臆していたオーガの中には逃げようとするものまでいた。


ネームレスを捕らえたダンキチを襲おうとするオーガだったが、グウェインとウズマサがそれを阻んだ。


そして、ウズマサはまた舞った。それは剣の舞だった。


フジノカタ マイオロシ!


上段から下段まで大太刀を身体にまとう別の生き物の様に回転させ、触れた敵の首から内腿から、急所を次々撫で切っていく。


オーガは烏合の衆であり、遊撃隊は纏まった軍だった。

ディナシーの次に陸騎士のグレゴリー騎士団が着き、戦局が決定した。


ウズマサの策は自身が囮となり、ネームレスがマナを扱う隙を狙ってダンキチに捕らえさせるというものだった。

弓隊も槍もない部隊に騎士や弓が負ける要素はない。正規部隊が負けたのは単にネームレス一人の異常性にあった。


ウズマサは賭けた。そして、勝機を命懸けでまち、勝った。


阿島武者の『一所懸命』の勝利だった。

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