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犬豪伝〜ミナモトノウズマサ異聞録〜  作者: 星一悟
第二幕 西方世界編
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ストーンブラスト

「ハイヤシンスは遊撃隊なしでも我々が勝利する。」

遊撃隊が進軍しないのをみて、ストロム中将は功を焦った。

正規軍が先行した。


「来たね。」

ネームレスは後ろにオーガを控え、一人でたっていた。

ネームレスの両脇には拳大の石が幾山と積まれている。


ドドドドドドドドドド…


騎馬隊が勢いよく先陣を切ろうと走る。

「オーガ達。今日のご馳走をたんまりと食べるんだよ。」

腹をすかせたオーガが、待ちきれぬと大地を叩きヨダレとツバを撒き散らして興奮する。


「まずは馬肉が前菜。」


ストーン!


ネームレスが石の山を指さして叫ぶと、石達が重力を無視して浮いた。


ブラスト!


突撃する騎馬隊に指を向け直すと、石は一旦無重力になると、魔素を受け亜音速に加速し騎馬隊に襲いかかった。

馬は即死し、鋼の鎧は簡単に貫通し、騎馬隊は停止線を引いたように倒れ死んでいく。

後方に続く歩兵にも血痕のついた石の群れが襲いかかったが、距離があって身体を打つ程度だった。


「ま、魔法か。弓隊、横列にて走れ!」ストルム中将が慌てた。

弓隊が命令に従い射程圏内まで走った。

「構え!撃て!」

弓の揃ってないまばら撃ちになったが、ネームレスに矢雨があたろうとした。

「はいはい。」

シッシッと手を振ると、矢がネームレスの身体を勝手に避けた。

「く、くそ。聖戦だ!突っ込めぇ!」

眼の前で騎士が虐殺されるのを目にし、士気を失うかに見えたが、聖戦の一言に熱狂して突っ込んでいく兵士達をみて、ネームレスは嘲笑する。

「聖戦。響きいいね。オーガの腹をわざわざ満たしに来たよ。」


兵士達はストーンブラストの餌食と化した。


ヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュヒュ…


音の速度に達する風切音と、兵士の身体を貫通する鈍い音が戦場に響く。

兵士達は上空からみて半円を描くように死体の山となった。

「ヒ、ヒィ。」

熱狂から恐慌に変わった兵士が、ストルムのことなどお構いなしに逃げ出した。


「オーガ達!お食事だよ!かかれ!」


「「グワァァァァァァ」」


オーガの群れが肉を求めて群がる。


うわぁぁぁぁぁ!


雄叫びが、悲鳴がそこかしこで響く。

「退却!退却だ!」

ストルム中将は乗ってる白馬で一番に逃げ出した。

「ウズマサいないじゃないか。次はウズマサを連れておいで。『本気』で遊んであげるよ。」

ストルム達に、ネームレス・チートの甘い声が地獄の囁きに聞こえた。

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