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犬豪伝〜ミナモトノウズマサ異聞録〜  作者: 星一悟
第二幕 西方世界編
38/81

遊撃隊編成

判断に一ヶ月を要したが、ティリウスは遊撃隊を編成した。


尋問で得た成果として、マグの情報は多岐に渡り役立つものだった。

正規軍の運営は、助け合いをするか分からないドワーフに闇雲に後詰めを求めるより、魔王軍から今ある家畜や農作物を少しでも守る方へシフトし、情報を元に久しぶりに勝利した。


暗黒領内でも反抗軍があり、まだ戦っているらしい都市や村々は魔王軍側の情報として知れた。

それはマグ自身がウズマサ達を心から信頼した証だったため、ティリウスもウズマサ達のやり方に一定の効果を認めた。

そして、約束として遊撃隊を編成する運びになったのだが、マグが交渉材料として、自分を連れて行く様に自己アピールした。ゴブリンを凋落したいなら、当然ゴブリンある俺を使ってくれ、と。

ティリウスは貴重な情報源を失うことを危惧したが、あらん限りの情報を口にしたマグの立場を考え、司令官としての優秀性をみせ遊撃隊への編成を許した。

遊撃隊は、言い出した獣人達とグウェイン、トランザまで同行していたエルフ兵の志願兵とゴブリン駐留部隊の一部隊員で構成された。

防衛戦で負傷していた虎族の中には怪我から回復できず破傷風が悪化して亡くなる一幕もあったが、皆概ね回復した。

ドンウクは影がさした暗い顔をすることが増えた。


対等外交を目指す革新派のシウォンと、大陸の属国を良しとする王の思想に共鳴する王党派との軋轢はどうなったのか?


防衛隊長であり近衛でもあったドンウクにとって、子供の時から見守ってきたシウォンの派兵の命は絶対であり喜びだったが、それでもにじみ出る憂鬱でウズマサやグウェインを遠ざけた。

隊長の憂鬱が部下にも伝わるのか、虎族の間で厭戦気分が広がっていた。


ウズマサは稽古により、大太刀一つで敵を突破し活を得る方法を探求していった。

物理的に長い刀身を右肩の柄を掴み鞘から抜いてそのまま斬りかかるのを一動作で素早く行うのは困難だ。

ウズマサは肩抜きに一つの解決方法を見出した。

柄を投げ飛ばすように抜く通常の曲抜きに加えて、鞘を回転させながら相手に斬りかかる運足をするウズマサ独自の剣が生まれた。

隕鉄銀の硬さ、丈夫さ、粘り、鋭さに任せて、突くより確実に斬り倒す事におもむきを置いた剛剣を、身につけた全ての剣術を統合させ遂に編み出した。

今までの戦い方として、敵の攻撃をかわすだけでなく、大太刀なら西洋剣術の様に剣を合わせてパインド(刀身による鍔迫り合い)した後、体をかえて相手を制するやり方を取り入れた。


各流派の守、破、離に成功したのである。


(これは刃こぼれのしない藤一文字でしか、なし得ないだろう。この永遠不完全未完成な型を『フジノカタ』と呼ぼう。)

ウズマサは型を身分や立場を超えて慕ってくれていたフジからとった。


フジワラノフジツチカノカミは今日でいうトランスジェンダーで、ウズマサに親愛以上の情を寄せていた。ウズマサはそれを知っていたが、どうしても愛せず、さりとてフジの思いを無下には出来ず、嫁取りを頑なに拒否する事で操を立てていた。

古の着物や家宝であるはずの藤一文字をウズマサに与えたのも、フジの愛のメッセージでもあった。それをウズマサは戦働きで応えよう返そうとしたのである。


この世をば 想ひおこせよ 藤の花 暮れる阿島に 垂れて匂わん


ウズマサはホームシックにかかって、拙いながら貴族の和歌を真似た。

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