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犬豪伝〜ミナモトノウズマサ異聞録〜  作者: 星一悟
第二幕 西方世界編
28/81

兵糧無くば兵は動かず

「飯がないだと⁉」

ティリウス将軍との作戦会議に、実はディナシーの騎士団長を務めているグウェインの進言によって、ウズマサとドンウクも会議に参加する様計らってくれたのは良いが、そこで得た現実は想定以上に厳しいものだった。


「そうだ。戦に破れ、運良く国や街や村から逃げてきた難民らの分まで食糧を配給している結果、前線は今食糧難にぶち当たっている。」

幸いにも、とティリウスは続けた。

「ポータル交易で大量生産されたジャガイモが食えるし、オーツ麦や固パンなど保存が効くものが備蓄されており、当面はまだ大丈夫だ。」

「どれだけの期間凌ぐことが出来るとお思いか?」

「軍への優先を嘆願して得た食糧で、今の全ての兵を動かすというなら一月はもつ。」

「たった一月分しか兵糧が無いのか」ウズマサは愕然としつつも、隣を見るとドンウクもグウェインも同じ顔をしていた。

「一回に食べる量を減らせばもっともつ。最期は根性で戦い抜くしかない。」

ティリウスがとうとう精神論を持ち出した時、ウズマサはこの国盗りの大戦は平定はおろか、勝てない戦をする羽目になると判断した。


気合いで腹は膨れない。


「北のドワーフ達の国々は山の中に有るのだったな?」ドンウクが提案する。

「戦線でドワーフ達と合流する様に、モンテンノーザの配下になった国々を開放していけば、まだ一縷の望みがあるのではないか?」

「気位の高く、また気難しいドワーフ共がエルフの味方をするかだな。また、そもそもドワーフ達の王国が残っているかが問題だ。」ティリウスは悲観した。

「鉱山の為に河川を汚し森林を伐採してきたドワーフと、森に住んでいた(ハイ)エルフとで、かつて争いがあって、森を捨てた平地エルフにもその禍根や遺恨の様なものが残っているのだ。」

「しかし、ドンウク殿の言うとおり、賭けに出るしかありませんぞ。あるいはモンテンノーザの兵から兵糧を頂く位しか思いつかぬ。」ウズマサが犬頭の下顎に手を当てて思案する。

「それについて悲観的な噂がある。グウェイン殿はご存知でしょう?」

「ああ。」ティリウスの含みのある言葉にグウェインは返事しつつ顔を歪ませた。

「奴らの食糧は俺たち妖精の肉だ。獣人も食う。戦に勝って、乱暴狼藉を散々働いた後、死体を人食いをすることでモンテンノーザの勢力は食糧難から逃れてきたと言われている。ただ、ゴブリン連中が人を食ってる所を見たことは殆どないがな。」

「何てこった、最悪じゃないか」ウズマサはショックを隠せなかった。

ドンウクは天を仰いで、何か策がないかと考えているようだったが、最初の策以外何も浮かんでは来なかった。


「都市開放させつつ、最短距離でドワーフ達の王国を目指すべきだ。一か八かでも賭ける価値はある。」

ティリウスはドンウクの主張が自分のものであるかのような口ぶりで言った。

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