天狗退治
「妖怪神国阿島!」「帝は退位せよ!」
天狗達はスローガンを口にしつつ、薙刀で襲いかかってきた。
「やかましい!」ウズマサは一喝すると藤一文字で動く人形に切り込んだ。
鴉天狗の人形が切り裂かれ、口から本体の鴉が勢いよく飛び逃げようと翼を広げた。
そこを他の犬士達が網で捕らえた。素早い連携である。
「無念、無念」なおも叫ぶ鴉を無視して次の山伏人形にウズマサが切りかかる。
バサッバサッバサッ
手にした薙刀に意を返す事なく鬼神の様に切り捨てていくウズマサにライゴウは舌を巻いた。
「ウズマサ殿に続け!」今度はライゴウが一喝する。
犬士達が気勢を上げ、次々に鴉を捕らえていく。殺しても良かったが、それでは余計に仇を作ることになってしまい、どんどん激化して面倒なことになるというのが、捕獲の理由だった。
「ええいっ」手にした団扇を投げ捨て、槍を構えた鼻高天狗がウズマサの前に立ちはだかった。かつていたとされるニンゲンの顔で高い鼻と赤ら顔をしている。
「部下の天狗が悉くやられるとは!名を聞こう!」
「ミナモトノウズマサ!」
「ウズマサか!大天狗参る!」
槍の突きを半歩でかわすと、槍と太刀を合わせた。橋かかるという技で、槍の身動きをとれなくする。
「ぬう」そのまま槍の根本に向かって太刀を滑らせていく、泥人形の指が弾け跳び手首を切り裂いた。
「ここまでだ。顔を出せい!」
太刀を突きつけると、観念した様に人形の口から白い鴉が姿を現した。大将らしかった。
「今の阿島が正しいとでもいうのか?」
ウズマサは白鴉の言葉に答えた。
「今の阿島が全て正しいとは思わないが、反乱で混乱を巻き起こすよりもマシだ。」
「大陸から魔法で来る夷敵供に対抗するには、今の朝廷では無理だ。我ら神通力を持った妖怪の力が必要なのだ。」
「大陸から阿島まで来る奴の方が少ないと思うがね。長話は牢屋で散々わめくといい。俺は俺の仕事をするまでだ。」
ウズマサは白鴉を袋に入れると、ライゴウの元へと駆けた。
「大活躍でしたな。ウズマサ殿」ライゴウは袋を部下に手渡しさせると、ウズマサを労った。
「有難うございます。技に磨きがかかったようです。」
ウズマサは大きく息を吐くと、緊張から自分をといた。
「それに山賊と違って誰も殺さなかった。死んでも仕方ない様な外道とはいえ手にかけるのに慣れるのは、きっとあまり良いものではない。」
「命を奪う連中の命を奪うことに慣れてしまっては、そいつらと同じとお考えか?」ライゴウはウズマサの考えを推し量った。
「今まで腰の物にいわせれば何でも、無理まで通ると考えておりました。乱暴な自分に自制心を教えてくれたのは、ライゴウ殿のおかげですよ。」ウズマサはニコリと笑った。




