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45歳元おっさんの異世界冒険記  作者: はちたろう
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第八十話

誤字脱字報告ありがとうございました!今後ともよろしくお願いします。

3/1 ルビ振り直しました。報告ありがとうございます!

また、何かあったら報告して下さい。よろしくお願いします。

 二日後の昼過ぎに防具屋へ行き、もう一度試着して不具合がないか確認して盾も受け取って宿へ帰ってきた。


「おかえり、リュウジ。新しい鎧着て見せてよ。」


「いいよ。じゃあ僕の部屋に行こうか。」


「新しい鎧、楽しみですねタニアさん。」


 そんなにいいもんでもないと思うけどなぁ。


「ただの鎧だぞ?そう珍しくもないんじゃないか?」


「だって金属使った鎧なんでしょ?見てみたいじゃん。」


「そうです!リュウジさんが着ているところが見たいんです。」


「僕が着たところって…」


 そんなにいいもんじゃないんだけどまあ、見たいっていうんなら着ますか。


「じゃあ、手伝ってね。一人じゃ難しいんだ。」


「ん、任せて。」


 部屋に入って上着を脱いで肌着姿になる。


「おお!リュウジ良い体つきになったね。肩幅広いし。」


「ん?そうか?」


 裾を捲って腹筋を見ると、前世では考えられなかったシックスパックが!ウェストも細くなってる!やっぱり運動って大事なんだなぁ。


「おお!ほんとだ!こんなに腹筋割れてるの初めてだよ!」


「きゃ!」


 裾を捲ったまま振り返るとニーナが小さく悲鳴を上げて目を覆っていた。


「どうした?ニーナ」


 声をかけると指の隙間からこっちを覗くニーナと目が合う。


「だって急にこっち向いたから…吃驚して。」


 あら可愛い。若いなぁ。でも背中ならいいんだ、その違いがよく分からないなぁ。


「ごめんね。マッチョになってたのが嬉しくてつい。」


「あ、いいんです!私が勝手に吃驚しただけですから!」


 タニアが「まっちょ?」って首を傾げてる。ああ、マッチョも通じないのか。マッチョってなんて言えばいいんだろう?


「あ、筋肉質ね。筋肉質。毎日鍛錬してるからかな?そういえば腕も太くなってるような気がする。」


「そうですね。服の袖がきつそうですもんね。」


「マッチョ……マッチョ!いいね!それ!」


 タニアがマッチョを気に入った!?まあいいか。害があるわけじゃないし、好きなようにさせておこう。とにかく鎧を着てしまおう。


「ニーナ、こことここやって。」


 一人ではどうしても脇の下の所と二の腕の所ができない。


「ここですね。…よっと。出来ましたよ。」


「ありがとう。どう?こんな感じ。」


「おー!防御力高そう。これでちょっと安心できるねニーナ。」


「そうですね。革鎧よりいいですね。」


「まあ、革鎧もこれに比べたら軽くて動きやすかったから良かったんだけどね。ホブゴブリンとの戦闘であんなにあっさり壊されるとは思わなかったし。ただ、重いんだよね。」


「重いのは慣れるよ。そのうちさ。大丈夫だって。じゃあ明日から依頼受けようか。」


「そうだな。明日からまた働くか。鉄級にもなりたいしね。」


「はい、私もなりたいです!一緒になりましょうね。」


 あとどれくらい依頼を熟せば昇格できるか分からないけどやらないと上がれないからなぁ。


「で、相談なんだけど、僕とニーナが鉄級になったらタニアが前にいた港町?に行こうと思うんだけど、どうかな?」


「フルテームね。あたしは、賛成だよ。あっちの方が依頼の種類も数も多いし、近くに迷宮もあるからね。いいと思う。」


「私も港町に行ってみたいです。この町から出たことがないので他の町も見てみたいです。」


「よし、じゃあ明日から沢山依頼をやろう!」


「はい!」


「おう!」




 ちなみに防具屋の店主はしっかり仕事をしてくれていた。ベルトは表側じゃなくて裏側についていて両脇の開いているところで調整出来るようになっていた。さらに左右の腰の裏側には綿で保護されてるポケットが付いていてポーションの瓶が三本ほど入れておけるようになっている。いいなこれ。僕はポーションを入れて置けるものを付けてくれって頼んだんだ。ポケットじゃ通じなかったからこんな言い方になったんだけどイーゴさんはすぐに衣嚢(いのう)かぁって言ってたな。ポケットって衣嚢っていうんだ…


 で、後から考えてみたら違和感が凄くなりそうだなと思ったんだけど綿が入ってるし、腰に当たる部分にはちょっと硬めの皮で覆ってあるからあまりそれがない。あとは割れないかどうかだけど…まあ、割れるだろうな。その時はしょうがないか。最低限で入れておこう。ウェストポーチも使いやすいんだけど、この鎧では着けれないからなぁ。


 新しい装備を手に入れるとワクワクしてくるな!ゴブリンか角ウサギで防御力の違いを試してみよう。






「ほっ!」


 蒼のショートソードで前にある茂みから飛び出してきた角ウサギの首を刎ねる。本日の三匹目。相変わらず良く切れる剣だ。整備に出したけどちょっと砥いだくらいであまりやることがなかったそうだ。


「ダメじゃん、リュウジ攻撃受けてみなきゃ。」


「あ。」


 そうだった。盾も新しくしたし、鎧の性能も試してみるつもりなんだった。


「でもわざと受けなくてもいいんじゃないでしょうか。」


 ニーナが角ウサギの処理をしながらフォローしてくれる。


「そうだね。ゴブリンが出たら考えてみるよ。」


「ゴブリンはあんまりいないかもよ。巣を潰したでしょ?この辺りにいたやつはみんなあそこにいたんじゃなかな。」


「じゃあ、またちょっと遠くの村にでも行って探してみる?」


「そっちの方が良いかもしれないけど、そこまでする?」


 確かにそこまですることはないか。依頼があったら受けてもいいか程度でいいかな。


「鉄級に上がるのにどれだけ依頼を熟せばいいか教えてくれないので、いいのがあれば受けましょう。」


 そう、あとどれだけ受ければ上がれるか教えてくれないんだよな。間違いなく組合には基準があるはずなんだけどね。


「そうするしかないんだよなぁ。まあ、あとちょっとって教えてくれただけでも有難かったと思おう。」


「あたしは、もう上がったからのんびりでもいいよ?」


「くそう、余裕だな。」


「タニアさんは実績があったので昇格できましたからね。私たちも頑張りましょう。」


 今日は、薬草採取依頼を受けてきたんだけど、巣を潰したあとゴブリンが減ったみたいで森に入っても遭遇することがほとんどなくなっている。薬草採取依頼なら危険度が低くなってやりやすいんだけど、功績を稼ぎたい僕達にはやり辛い現状だ。


「銅級のままで港町に行ってもいいんだけど、もうちょっとって聞かされると鉄級になってからが良いよね?」


「そうですね。私もそう思います。」


 何というか区切りみたいなもので、自分の気持ち一つなんだけどやっぱり鉄級になりたいなぁ。


「リュウジ、薬草どれぐらい採れた?」


「ちょっと待ってね………二十五束だね。」


 背中から背嚢を下して中にあるリュックサックに手を突っ込む。そうすると頭の中に、入っているもののリストが浮かんでくるから、採った薬草と思うと数が分かる。ここで取り出そうと思うと手に感触がきて掴んで引き抜くと取り出そうと思ったものが出てくるんだ。


「そうか。結構歩いたけどあんまりないね。踏み荒らされてたりしてたもんね。」


 この間の強制依頼でたくさん冒険者が森に入って戦闘したもんだから踏み荒らされたり、切り開かれたりして薬草もあまりなかった。


「もうすぐお昼だし、角ウサギも三匹狩れたし一度帰る?」


「そうだね、一回帰って新しい討伐依頼がないか見に行こうよ。」


「もう帰るんですか?もうちょっと探しませんか?」


 ニーナはまだやりたいみたいだな。どうしよう。


「じゃあさ、もう一か所行ってみてから帰ろうか。タニアもそれでいい?」


「ん、わかった。どっちに行くの?ニーナ。」


「はい!こっちに行ってみましょう!」


 この森の薬草群生地はニーナの頭の中に入っているから、すでに次の場所を決めてたみたいだ。僕達はタニアを先頭にしてニーナが指した方へ歩いて行った。




「おお!ここは踏み荒らされてない。良かったなニーナ。」


「はい!さあ、採りましょう。」


 ニーナが決めた場所に行ったら、いっぱい生えていた。剣鉈を取り出して薬草を刈り取っていく。


「ふう、こんなもんかな?」


「結構あったね。………三十束くらい?」


「そうですね、リュウジさん早く仕舞ってください。鮮度が落ちてしまいます。」


「はいよ。全部で三十二束あったよ。全部で五十七束だね。」


「よーし、帰ろうか。」


 タニアが伸びをして言う。これくらいあれば一人大銅貨三枚くらいにはなるかな?ちょっと少ないけどこれだけ何もないとなぁ。


「何か食べながら帰る?」


 小腹が空いたしな。干し肉でも齧りながら帰るかな?行儀が悪いか。


「町まですぐだからいいんじゃない?」


「それは食べるってこと?」


 どっちだ?


「食べずに行こうってこと。」


「帰ってから屋台で何か買いましょう。」


「そうしようか。そっちのが美味いのが食べれるしな。」




 あれから一時間くらい歩いて町に着いた。もう午後二時過ぎくらいだろう。


「依頼の帰りか?」


 門番の兵士が身分証を見せてくれと言いながら話しかけてきた。


「そうですよ。」


「あんたは、あれだろう?ホブゴブリンを倒した銅級の…」


「ああ、僕一人の功績じゃないですけどね。」


 なんでみんな知ってるんだろう?誰かが宣伝して回ってるのか?


「ありがとよ。あんたたちのおかげでこの町はこんなに平和に生活できてるんだ。力になれなくて申し訳ないな。」


 そう言いながら肩をポンポンと叩かれた。


「いえ、毎日ここを警備してくれるだけで僕達も安心して生活できるんですから、こちらこそお礼を言わせてください。」


「そうですよ?いつもお疲れ様です!」


 では。と一礼して門を抜ける。


「あたしらのことみんな知ってるんだなぁ。なんかいいねこういうの。」


「そうだね。あんまり注目されると嫌だけど、これくらいならまあ、いいかな?」


「ふふ。さあ、組合に行ってお昼を買いに行きましょう。」


 組合に着くと受付にはケイトさんとジェシーナさんがいた。ケイトさんの方はかなり並んでいたからそれよりも少ないジェシーナさんの方に並んで暫く待つ。


「は~い、次の人、どうぞ~」


 少し待つと呼ばれた。町に入る前に取り出していた薬草と角ウサギをカウンターに置く。


「お願いします。」


「あら?リュウジ君じゃない。お疲れさま~。…はい、薬草五十七束と角ウサギ三羽ね~」


 受付カウンターの向こうで羽ペンを動かして何か書いている。


「はい出来ました~。向こうで報酬を貰って下さいね~」


 引き換え用の木札を貰ってアッシュさんの所へ行って報酬を貰う。お礼を言ってニーナたちがいる依頼が張り付けてある板の所へ行く。


「何かいいのあった?」


「あ、リュウジおかえり。」


「これなんかいいと思います。どうでしょうか。」


 ニーナが指さした依頼票は、町の北西の方にある村からの依頼だった。


「カルート村での狼の討伐依頼か。この町の北西にある村なんだ。」


「そうです。目標は森狼(フォレストウルフ)です。」


 狼か。集団で襲ってくるんだろうなぁ。三人で対処ができるかな?僕が前で引き付けてる間にタニアの弓とニーナの魔法で攻撃すれば……うん、行けそうじゃないか。


「依頼票を読むと、最近森狼の数が増えてきて家畜が襲われるようになったみたいですね。」


「あたし達でやれるかな?」


「さっき想像してみたんだけど、いけそうな気がするんだよね。タニアの弓とニーナの魔法が頼りだけどさ。」


「どんなふうに?」


「いや、いつもと変わらないよ?僕が前で狼たちを引きつけといて、その間にタニアの弓とニーナの炎矢ファイヤアローで数を減らす、でどう?」


「それだとリュウジさんが大変ですよ?」


「そうかも。でもま、これも訓練ってことでやってみようか。」


「じゃあ、ポーションもうちょっと買ってこないと数が足らないね。」


「明日買いに行きましょうタニアさん。」


「よし、じゃあこれ受けようか。受付行ってくる。」


 受付で細かいことを教えてもらって受理された。明日からまた頑張るぞ!

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