表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45歳元おっさんの異世界冒険記  作者: はちたろう
66/173

第六十六話

 町について組合で一人銀貨三枚と大銅貨一枚の報酬(緊急依頼でゴブリンの報酬が増額されてた)を貰い宿への帰り道。


「ちょっと武器屋によっていい?」


 タニアが珍しく武器屋に寄りたいと言い出した。


「いいよ、なんで?」


「なんでって…弓を売らないともったいないでしょ。もう忘れたの?」


 そうだった。ゴブリンが使ってた弓を売ろうって話だったな。


「ああ、そうか。でも武器屋で買取なんてしてるの?」


「武器なら武器屋、防具なら防具屋で買取してくれるよ。なんだかよく分からないものの時は道具屋に持っていくと大抵のものは買い取ってくれるよ。」


「そうなんだね。買い取り専門の店はないの?」


「この町にはないみたい。でも港町にはあるよ。」


 そんな話をしていたら武器屋についていた。扉を開けて中に入る。


「こんにちはー。」


「はいいらっしゃい。」


 いつもの武器屋の主人のロアンさんだ。僕も剣を整備に出そうかな?


 僕の横からタニアが弓を机の上にゴンと置いた。


「おっちゃん、弓買い取って。」


「これかぁ。うーん、これはゴブリンが使ってた奴だろう?」


 武器屋のロアンさんは、弓をちらっと見てゴブリンが使っていたものだとわかったみたいだ。


「えー?そんなこと言わずにさー、頼むよ、おっちゃん。」


 なんだかいつもと喋り方が違うからなのか、タニアが違う人みたいだ。いつもの喋り方とどっちが素なんだろう。


 ロアンさんが弓を手に取り布切れで弓を綺麗にしていた。弓はタニアがいつも使っているショートボウじゃなくてもう少し大きいものだった。こういうのをなんていうんだっけ?ロングボウ?いや、ロングボウは百八十センチくらいの大きさだったと思う。これはもう少し小さくて百五十センチくらいかな?


「これは…ん?こりゃあ珍しい。ゴブリンが使ってたにしては、いい弓じゃないか。どっかの冒険者から奪ったんだな。これなら…うーん…銀貨一枚で買い取ろう。それでいいか?」


 銀貨一枚!?中古の弓の買取でそんな値段が出るんだ。いくらで売るんだろう?


「いい値段付けてくれてありがとうな、おっちゃん。」


「またいいもん拾ったら来てくれよ。」


 銀貨一枚を渡されたタニアは、振り返って僕に渡してくる。


「はいこれ。パーティ資金の足しにして。」


「ありがとう。貰っておくよ。いいの?」


「いいよ。あたしのじゃないしね。拾ったものはパーティのものだよ。」


「そんなもんか?」


「そんなもんよ。」


 ありがたく貰っておくか。パーティ資金はいくらあってもいいからな。


「あたしの用事は終わったよ。もう行く?」


「あ、僕も剣を整備に出しておくよ。お願いします。」


「はいよ。明日の昼過ぎに取りに来てくれ。ばっちり整備しといてやるからな。」


 前にお願いしたときと同じだけ払って店を出る。


「僕は防具屋にも行ってくるよ。革鎧も整備に出したいんだ。」


 ゴブリンに突きを食らったところが凹んだままだから直してもらわないとな。鎧はしっかり直しとかないと命にかかわるからなぁ。


「私は、先に宿に帰りますね。」


「じゃあ、あたしも帰ろうかな。」


「わかった。じゃあ宿でご飯でいい?」


「はいそうしましょう。」


「じゃね。」


 そう言うとニーナとタニアは二人で宿へ向かっていった。よし、防具屋へ行こう。確かこっちだったな。一人で防具屋まで歩いていると、門の方から一組の冒険者パーティが組合の方向へ歩いているのが見えた。


「あっ、『銀の風しろがねのかぜ』だー。かっこいい!」


 近くにいた母親に手を引かれた子供が、その冒険者パーティを見て走り出した。あれが銀の風なんだ。五人パーティか。剣を使うのが二人と大盾を持ったのが一人、神官みたいな人が一人と盗賊の格好をした人が一人。魔法使いはいないんだな。銀級冒険者だけあって装備している鎧は遠くからでも凄そうなのが見て取れる。剣を使う二人と大盾の人は金属鎧だ。虹色に輝いているからミスリル製なんだろうか。やっぱり金属鎧の方が良いのかな?でもあんまり重いと動けなくなりそうだしな。


 僕は近くに行かなかったから見えたのはそこまでだった。彼らの周りにはすぐに人が集まってきたからだ。この町出身者だって話だし、人気があるんだろう。


 彼らが帰ってきたってことは、近々強制依頼が出るな。準備だけはしっかりしておこう。


「さ、防具屋に行くか。」






 防具屋に革鎧と盾を預けて何か足りないものはあったかなぁと考えながら町を歩く。今は陽も暮れて夕焼けが綺麗だ。明日も晴れそうだな。


「防具が出来上がるのが明後日か…結構痛んでたんだな。」


 防具屋のイーゴさんに「防具が役に立ってるようでうれしいよ」って言われた。確かに役に立ってるなぁ。今日の一撃だって鎧が無かったら肋骨が折れて肺まで傷ついていたかもしれないからな。革鎧が無かったらって思うとゾッとするな。この世界には回復魔法があるし、ポーションも薬草だってある。僕達のパーティは回復手段がポーションだけだから、大きな怪我をすると復帰するのに時間がかかってしまうし、教会で回復してもらうとお金もかかってしまう。


「ポーション買って帰ろ。」


 僕には無限収納リュックサックがあるからどんだけ買っても大丈夫だし、幸いなことにお金もある。鍛冶屋のガイダークさんにはお世話になったなぁ。あの人がとんでもない金額でスマホだったものを買ってくれなかったら、今頃金が無くて大変だったな。あれから一度も行ってないから一回行かないといけないな。落ち着いたら行ってみよう。




 宿へ帰る途中で道具屋へ寄って初級のポーションを五本と毒消しポーションを三本買った。毒消しを買ったのは、時々ゴブリンが持ってる武器に毒が塗ってあることがあるらしいからその対処のためだ。三本じゃあ少ないかなとも思ったけど、在庫が無くて販売制限しててそれ以上買えなかったんだ。材料がないんだって。銀の風が帰ってきたからもうすぐにでも強制依頼が出るだろうって話になってるみたいで他の人たちも買い集めているみたいだ。僕達が採ってきた毒消し草が役に立つといいな。






「ただいまー」


「はい、おかえりなさい。」


 緑の憩い亭の扉を開けるときに、つい零れた一言とそれに返してくれたアルテさん。今までも言ったことはあるかもしれないけど、この時は一人だったこともあるのか無性に帰ってきたんだなぁと思ったんだ。僕も大分この世界に慣れた証拠か。


 そんな感傷に浸った後ニーナたちと宿の食堂で晩御飯を食べたあと、僕の部屋で集まって明日からの行動を話し合う。


「そういえば、さっき銀の風を見たよ。」


「ああ、あたしも見た。凄い人気だったな。」


「この町の出身で銀級の冒険者ですからね。人気は抜群です。」


「銀級って凄いね。鎧がミスリル製だったよ。」


「そりゃあそうだよ。あたし達とは相対する魔物や魔獣のランクが違うからね。でもそんな冒険者がこの町にいるんだね。フルテームでも一パーティしかいないのに。」


「フルテームって港町の?大きい町なんでしょ?そこで一パーティしかいないの?」


「王都ならもっとたくさんいると思うけどね。だからこんな田舎の町に銀級がいるなんて。」


「彼らは私たちの自慢なんですよ。でも銀の風が帰ってきたってことはもうすぐ強制依頼が出ますね。」


 そうだ。組合長は銀級パーティが帰ってきたら強制依頼を出すってい言ってたな。


「そうだね。明日にでも出るかな。」


「そうなると思うけど、実行するにしても早くて三日後ぐらいじゃない?」


「なんで?」


「だって帰ってきたばっかりで疲れてるでしょ?物資の補給もしないといけないしね。あたしだったら五日は欲しいね。」


 どんな依頼を受けてたかは分からないけど、銀級なんだから相当難しいんだろうな。


「そうですね。私もそう思います。だから強制依頼だけ出ますね。」


「明日組合に行ってみようか。」


「はい。そのあとはどうしますか?」


「うーん、革鎧が出来上がるのが明後日なんだよね。だからそのあとは自由行動でどう?」


「あたしもそれでいいと思う。ちょっと休息だね。」


「わかりました。私は組合で魔法の訓練しますね。」


 じゃあまた明日ってことになって解散になった。僕も組合に行って体動かそうかな?まあ明日考えよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ