第六話
ニーナが連れて行ってくれたところは、表通りから少し外れたところにある、お店にしては小さく普通の一軒家のようだった。よく見てみると小さく看板があった。森の恵亭って言うんだ。
「ここです。さあ、入りましょう。」
中に入ってみると外見と同じくこぢんまりとしていた。カウンターに四席と四人掛けのテーブルが二か所。店内は明るくて小綺麗で雰囲気のよさそうな店だった。窓があんまり無さそうだったのに明るいな。あ、天窓があるんだ。
「いい雰囲気だねぇ。」
「いいお店でしょう?ご飯もおいしいですから早く食べましょう。メニューは私に任せてもらってもいいですか?」
そう言うと店員さんを呼んで注文を始めるニーナ。なんだかよく分からない単語が聞こえたが、まあ任せてみよう。
「何を頼んだの?」
「この店おすすめのお肉の料理とサラダとパンです。」
「なんのお肉?」
「オークです。美味しいんですよ。食べたことありませんか?」
にっこりといい笑顔で言うニーナ。そうか、魔物か。大丈夫かな?魔物肉初なんだけど。小説なんかでは豚肉みたいとかそれよりも旨いとかあったけどな。ちょっと心配だ。まあ食わず嫌いは駄目だな。食ってから考えよう。
「食べた事は無いなぁ。豚とか牛とか鳥とかはあるけど・・・。」
「そっちのほうが高いですよ!育てているところが少ないんですから!」
ニーナと話ながらそんなことを考えていたら料理が来た!ジュウジュウと音を立てている。見た目は普通のステーキだ。味付けは塩のみか?付け合わせにはマッシュポテトっぽいものが添えられている。美味しそうだが、よし、実食だ。
オークの肉だというステーキをナイフとフォークで一口サイズに切り分け、口に運ぶ。塩はちょっと濃いめで噛んでみると歯応えは固めだ。でも噛むと肉の旨味が一気に広がって焼いた肉の香ばしい匂いが鼻に抜けていく。豚とも牛とも違う何とも言えないがこれだけは確実だ。美味い!これは美味いぞ。忙しなくナイフとフォークを動かし次々と口に運ぶ。あぁ、もう無くなってしまった。おかわりを頼もう。
「ふふ、どうですか? 美味しいでしょう?」
「うん!美味いよ!今まで食べた肉でいちばん美味いかもしれない。」
「ですよね!私ここのお料理大好きなんです。何を頼んでも全部美味しいんですよ。」
にこにこと嬉しそうに食べているニーナ。おかわりを待っている間にその可愛い様子を微笑みながら見ていると此方まで嬉しくなってくる。
「?、どうかしましたか?早く食べないと冷めちゃいますよ。」
「そうだね、こんな美味しいご飯は冷めないうちに食べないと勿体ないな。」
ニーナに見惚れていたとは言えず、残りを食べる。確かに付け合わせも美味しいし、サラダも新鮮だ。いい店だなぁ。
「この後はどうするの?」
「リュウジさん、宿の当てはありますか? 私と同じ宿でよければ空きがあったと思います。」
「宿のことは何も考えていなかったなぁ。一緒の所が空いてるといいな。」
「じゃあ、食べ終わったら行きましょうか。でも、早くしないと埋まってしまうかもしれません。」
「そりゃいかん。早くいこうか。」
そんなに急ぐこともなく食べ終わった僕たちは、早速ニーナの宿泊している宿屋へ向かうことにした。
こんな美味しい料理は味わって食べないと勿体ないからね。