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45歳元おっさんの異世界冒険記  作者: はちたろう
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第四話

 セトルの町に着いた。町は高さ三メートルくらいの石壁で囲われ、四方に門があるらしい。門の前には町に入る人たちが数人並んでいた。僕たちも最後尾に並ぶ。


「ニーナ、この町は大きい方なの?」


「この辺りでは一番大きいですよ。もっと南にある港町ほどではないですけどね。」


「そうなんだ。じゃあ美味しいものも一杯あるね。」


「ありますよ。一緒に食べましょう!」


 瞳をキラキラさせながら嬉しそうにそう言って笑う。そんな話をしながら待っていると順番が来た。


「次。」


 門番の人に呼ばれる。金属の胸当てを着けて手には身長ぐらいある槍を持っている。腰には剣も装備していて格好いいなぁ。でもちょっと怖い感じの人だ。右の頬に傷がある。


「身分証を見せろ。」


「はい。お願いします。」


 ニーナは、冒険者証を見せる。名刺サイズより一回り大きい金属でできたカードだ。後で見せてもらおう。カードを確認した門番の人は、カードを見て許可を出す。


「通って良し。そっちの男は?」


「持ってないんです。田舎から出てきたもんで。」


 僕は、咄嗟に嘘を吐いた。まあ、何もない森から来たからね。嘘じゃないか。


「そうか、それならこの建物の中で手続しろ。大銅貨一枚で許可証を発行できる。おい、案内して手続してやれ。手持ちの武器は外して預けろ。」


 そう言って門の横にある扉を開けて中にいる兵士に指示する。僕は、言われた通りに剣鉈を外して出てきた兵士さんに預けた。


「ありがとうございます。では、手続きをするのでこちらに来てください。」


 そう言って爽やかに微笑む兵士さん。この人は怖い感じがしないな。僕がカウンターの所まで行くと兵士さんは、カウンターの下から何やら取り出して上に置いた。薄い石板と半球形の石が付いた道具?、道具だ。


「まずこの石に手を置いてください。はい、それでいいです。」


「これは何ですか?」


 何となくわかるが聞いてみた。


「これは、犯罪歴とか危険な思想を持った人がわかる魔道具です。この石板の部分に結果が出ます。はい、いいですよ。結果は青です。問題ありませんでした。」


 石板に文字が浮かび上がってきた。犯罪歴なし、精神性問題なしって出てる。


 やっぱりあるんだ。魔道具。ワクワクする。他にどんなのがあるんだろう。


「それでは、まずこの書類を渡しておきます。こちらが町に入るための許可証になりますので大切にお持ちください。再発行は出来ません。有効期限は七日間、費用は大銅貨一枚です。その間に冒険者組合、商人組合などの組合に登録して身分証を作成してください。作成が済んだら許可証を返却に来てください。その時に半額の銅貨五枚をお返しします。それではこちらに名前の記入をお願いします。」


 名前かぁ、日本語でいいかな?取り敢えず書いてみよう。羽ペンか?初めて使うな。用紙も皮?羊皮紙か!書き難いな。お?おお?日本語で書いてるつもりなのに変な文字になってる!良かった。喋れるし文字も書けるし、そう言えば普通に読むこともできるな。どうなってるんだろう?ま、いいか。


 後はお金の問題か。十円玉みたいなのとか五百円玉みたいなのが何枚かあったからそれでいいのか。


「? どうかしましたか?」


「あ、いえ、何でもありません。ちょっと考え事をしてました。大銅貨はこれでいいですか?」


 財布から五百円玉大くらいの銅貨を取り出して渡す。


「はい結構です。これで手続きは終わりです。それでは、セトルの町を楽しんでください。あ、許可証は無くさないでくださいね。」


 笑顔の兵士さんに促されもう一方にある扉から外にでる。


 そこは、石畳が敷かれた大通りがある街だった。大通りの両側には商店が立ち並び、たくさんの人が買い物をしていた。 


 あ、馬車が走っている!馬車だよ!幌のある馬車や荷車が走っている。結構ゆっくりだな。あ、町の中だからか。


建物を見ると柱は木で壁は石のブロックで作ってある。石のブロックだけで建てられたのもあるんだ。面白いなぁ。


「リュウジさん、こっちです。まずは、冒険者組合に行きますよ。」


 僕がきょろきょろと周りを見ていたらニーナが歩き出す。案内してくれるみたいだ。


「ここは大通りです。屋台や食事処、雑貨屋さんや服屋さんなんかが並んでいます。組合の方に行くと武器屋さんや防具屋さんがありますよ。リュウジさんは身分証を作らないと駄目ですから、組合に行ってまず手続きをしましょう。」


「そうだね、まずは身分証がいるね。よし、行こう行こう。」


「あ、待ってください!」


 僕が大股で歩き出すと、ニーナが慌てて追いかけてくる。


「もう!場所がわからないんだから先に行かないでください。迷子になっちゃいますよ。」


「そうだった。ごめんごめん。大人しくついていくよ、案内よろしくね。」

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