第三十九話
申し訳ありません。三十二話なのですが、間違えて三十一話を二重で投稿していました。修正しましたのでよかったら読んでください。報告していただき、ありがとうございます。
これからもよろしくお願いします。
昨日は魔法が使えるようになって嬉しくて中々寝られなかった。でも今朝はいつも通りに起きることができた。なんだかんだここの生活に慣れてきたってことなのかなぁ。いいことか。
と、いうことで今は三人で朝ご飯を食べながら今日の予定を話し合ってるところだ。
「僕は、今日は教会に行ってみたいんだ。別に何があるってわけじゃないけど、一回は行ってみた方が良いかなって思ってね。」
「あ、それじゃあ私も一緒に行っていいですか?そのあとで買い出しに行きませんか?」
「じゃ、あたしも行こうかな。三人で行こう。」
「教会の場所が分からないから有り難いよ。買い出しに行くならリュックを持っていこうか。」
「それが良いですね。荷物が嵩張らないですし。」
教会には一度行ってみないといけないと思ってたんだ。僕がここに来た時に神様に会っているなら何かあるかもしれないし、何もなくてもそれはそれでいいからな。
「じゃあ、身支度が出来たら行こうか。」
「はい、またあとで。」
「わかった。あとでね。」
教会は、町の中心部にあった。周りの家と比べてかなり大きい立派な建物だった。四角の四隅にはそれぞれ塔が立っていて、その先端部分は見張り台みたいになっていて人影が見える。外見はなんだか教会らしくない造りだな。自由に入れるみたいで結構人の出入りがある。
中に入ると広い空間があった。太い柱が規則正しく並んでいて正面には煌びやかだけど落ち着いた厳かな雰囲気の祭壇がある。その祭壇が見えるように長椅子が並んで置かれている。よく見る教会の感じだ。
「はあぁぁぁ。凄いね。厳粛な気持ちになるな。」
「そうですね。私もあまり来ないんですが、来ると自然と祈りたくなります。」
「あたしはそうでもないけどね。でもやっぱり教会に来ると厳粛な気持ちになるよ。」
ここに来たかった本当の理由は、僕が異世界に来た経緯が分かるかもしれないと思ったからだ。ほら、ラノベだと神様が関係してるときは神殿とかに行くと何かあるでしょう?それを期待したんだ。
「ここの教会が信仰している神様の名前はなんていうの?」
「ここは、アユーミル様という神様を信仰しています。豊穣を司る神様ですね。祭壇の向こう側に像があります。女神さまだといわれています。」
「へぇー、そうなんだね。他に信仰されている神様は?」
「うーんと、まずは創造神ジャルダ様に魔法神ジューラン様、海神ポロン様だったかなニーナ?」
「はい主だった神様はそうだったと思います。私もあまり詳しくありませんが。あとは精霊を信仰しているところもありますし、ドラゴンを信仰しているところもあるそうですよ。」
この世界にもたくさんの神様がいるんだな。きっと日本ほどではないと思うが。まあ、細かいことはいいか。早速祈ろう。
「何か作法はあるの?」
「はい、両方の膝をついて胸の前で手を組んでください。そして目を閉じて頭を垂れて祈ります。」
ニーナが手本を見せてくれたので真似てやってみる。正座みたいにするんじゃなくてつま先を立てたままなんだ。長い時間だと辛い姿勢だな。
暫く祈ってみた。………むう、何も起こらないか。どうしたもんかな?まあ、なんか反応があったらいいなって思ってただけだからダメージはない。ちょっとがっかりしただけだ。両隣を見てみるとニーナとタニアがまだ祈っていた。邪魔したら悪いので二人が祈り終わるまで大人しくしてよう。
「お待たせしましたリュウジさん。」
「待っててくれてありがとな。さ、買い出しに行くか。」
教会を出た僕たちは、必要なものを揃えるために商店が集まっている区画に来た。商店街だな。路地の両側に店が軒を並べている。観光地の土産物の通りみたいだ。
「ここはあんまり来たことがないね。」
「そうですね。いつもは道具屋さんで事が済んでましたからね。」
「結構いい店がありそうじゃないか。」
「でも買うのは鍋と外套だよね?いつもの道具屋さんじゃダメだったの?」
いつもの道具屋は冒険者向けの店なんだけど色々なものを扱ってるから種類はいっぱいある。だけどバリエーションが少ないらしい。それでこっちに来たみたいだ。
それにしてもタニアも女の子だなぁ。商店街に着いたら目がキラキラしてるよ。ニーナと嬉しそうにこれからの買い物について喋っている。
「そうなんだけどね。なんか、買い物できるっていうかこういうところに来るとウキウキするね。あ、あそこの店に行ってみよ?」
まあ、今日の僕は荷物持ちだから二人についていこう。
まず最初に寄ったのが雑貨屋さんだった。買い出しとか関係なくなってない?鍋と外套だったよね……付き合うけれども。
「わ、これ可愛くない?」
「わあ、可愛いですね!タニアさんこっちにも可愛いのが…」
うん…まあいいや…二人が楽しそうだから。僕も店内を見てみるか。
髪飾りやネックレス、腕輪や可愛らしい置物なんかが所狭しと陳列されていた。僕にはあまり縁のなさそうな店だなぁ。ん?これは何だろう。鏡…か?これが?金属の板が磨かれて自分が見えるようになってるのか。銅鏡みたいなもんか。それなりに映ってる。こっちに来て初めて自分の姿を見るな。おー、確かに若返ってる!顔にあったシミがきれいさっぱり無くなってる。いいね鏡。買おうかな?値段は…銀貨五枚!?買えるけど、絶対に要るものじゃないからやめとこうかな。
「リュウジさん、鏡買うんですか?」
「いや、買わないよ。必ずいるものじゃないしね。それより終わった?」
「はい!次に行きましょう!」
「次はどこにしようかなー。」
これは後どれだけかかるんだろう。今日はとことんまで付き合うか。
「あ、ここのお店が可愛いですよ!」
「あっちにもよさそうなところがあるぞ!」
それからお昼の鐘が鳴るまで買い物に付き合った。お昼ご飯を食べて、本来の目的を思い出してもらうように説得したよ。ニーナたちはまだ続けたかったみたいだけどね。
「ここは金物屋か?」
「生活用品を扱うお店ですね。武器とかは置いてませんが刃の薄いナイフや柄のついたお鍋なんかが置いてありますよ。」
それは包丁に片手鍋だな。お玉とかあるだろうか。しゃもじはないだろうなぁ。木を削って自分で作るか。フライパンみたいなのはあるかな。
「こんにちはー。」
「はいいらっしゃい。あら、可愛いお客さんね。ゆっくり見て行ってちょうだいね。」
店主さんは宿屋のアルテさんと同じくらいの女性だった。細身で優しそうな人だ。
店内を見て回る。鍋が置いてある棚があった。さすがに種類が多いが、すべて鉄製だからどれもこれもずっしりと重いし、多くの鍋に足がついている。これはあれだなダッジオーブンだな。蓋は別売りみたいだ。蓋も鉄製で分厚いからこれも重い!でもダッジオーブンなら使ったこともあるしメンテナンスも出来るからこれにするか。大きさは、ちょっと大きめの奴にしよう。これから仲間が増えた時のためにね。
「これにするか。」
「そんなに大きい奴にするのか?あたしたち三人だぞ?」
「大きいけどこれから仲間が増えるかもしれないだろ?小さいのを選んで買い替えるよりはいいと思ってね。」
「少なく作ればいいだけですし、いいと思います。」
「そっか。そうだな。まだ買うものはあるのか?」
「あとはフライパンかな?」
「ふらいぱん?何だそれ?」
あ、そうかこっちではフライパンって言っても通じないのか。なんていえばいいんだろ?
「浅めの平たい柄が付いた鍋?こんな感じのやつ。」
ジェスチャーでフライパンを表現してみた。
「ああ、揚げ焼き鍋ですね。こっちにありましたよ。」
揚げ焼き鍋っていうんだ…まあ、イメージは出来るが…なんていうかそのままだな。じゃあ今選んだこれはなんていう鍋なんだろう。
「これはなんていうの?」
「これは野営鍋っていうんだ。野営の時に焚火の上に置いて使えるように作ってあるんだ。」
「まんまだな。よし、あとは揚げ焼き鍋のちょっと大きめのやつを買おう。」
野営鍋とその蓋、揚げ焼き鍋を大銅貨六枚で買って店を出た。次は外套だな。
 




