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45歳元おっさんの異世界冒険記  作者: はちたろう
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第百六十話

いつも読んでいただいてありがとうございます!

しかも誤字脱字まで本当にありがとうございます!

読者の皆さんには頭が上がりません。最大級の感謝を!

 服を買ったあと街で買い物というか、色々と物資を補充しなんとなく足が向いた組合にやってきた。


「なんで休みの日までここに来るかな?」

「いやぁ、なんとなく?」

「ふふふ、リュウジさんらしいですね」

「使徒様は働き者ですからね。また教会で施しをしてくださいね」

「まあ、暇なときにね」


 ちょうど昼頃で、組合の中はあまり人がいない。今の時間、冒険者は仕事してるからな。ここにいる人たちは僕たちと同じで休養を取っているんだろう。

 

「ちょうどお昼だし、ここで食べてく?」

「いいですよ」

「あたしはもっといいところがいいけど…まあいいか」

「あそこがあいてますね。行きましょう」


 組合の酒場は丸テーブルだ。パーティの人数は四人から五人が多い。僕たちも五人パーティだしね。だから椅子がたくさん置ける丸テーブルになっているらしい。

 ここのメニューはあまり多くない。基本肉と酒、以上。な感じ。メニューにサラダはあるが、ほかの人が食べてるところを見たことがない。女性の冒険者も食べてるところをあまり見ないなぁ。みんな肉食系だ。僕は四十歳を過ぎたころあたりから無性に野菜が食べたくなってよく食べたなぁ。


「皆さん何にしますか?今の時間帯だとこの三種類しかないみたいです」


 ニーナが見せてくれたメニューには、三種類の絵が描いてある。何の肉か書いてないけどステーキとパンとスープ、太くて長いフランクフルトを挟んだホットドッグ二本ととスープ、あとは山盛りの焼肉とパンとスープという肉祭りだ。


「私は、このさんどいっち、でしたっけ、にします」

「わたしもそれがいいです」

「あたしは山盛り焼肉だな」

「俺も」

「僕は、どうしようかな?」


 どれも美味しそうだ。うーん、ホットドッグがいいかな。こいつのメニュー名は、パンの腸詰肉はさみ焼きと言うみたいだ。見たまんまだな、わかりやすくていい。


「僕も二人と同じものにしようかな」

「私頼んできますね。えーとパンの腸詰肉はさみ焼きが三個と山盛り焼肉が二つですね」

「あたしも行くよ」


 ニーナとタニアが席を立ち、注文受付しているところへ行って少し待って受け取ってきてくれた。


「お待たせしました」

「美味しそうだよねー。味が濃そうだけど」


 皆で「いただきます」と言ったら、周りの人たちが一斉にこっちを見てきてちょっと吃驚したよ。今まで野営のときとかくらいしか言ってなかったし、もう慣れちゃってたから気にしてなかったけど、こっちでは珍しい挨拶だったな。


「周りから一斉に見られて吃驚しましたね」

「本当ですね」

「あたしたちは慣れちゃったけど、珍しいことだったね」

「うむ、美味い」


 ガルトは周りの視線なんか気にせずに本当に山盛りな焼き肉を頬張る。僕も食べよ。目一杯口を開けて頬張ると腸詰の皮がパキッと音を立てて嚙み切れる。良い歯ごたえだし、香辛料がよく効いていてとても旨い。


「お、リュウジ、珍しいな、こんなとこで飯食ってんのか」

「ん?ああ、ライルか。まあ、なんとなくね。って、そんなこと言ったら怒られるぞ」

「ここはそこそこ美味いんだけどよ、味が大雑把であんまり好きじゃねぇんだよな」

「そうか?少なくともこれは美味いと思うぞ」

「まあそんなことはいいんだよ。いい時に会えた。あのよ、ちと俺たちと一緒に迷宮行かねぇか?」

「迷宮ってどこの?深森?」

「いや、あの海側にあるやつ」


 海側の迷宮?ああ、海底迷宮だったっけ。


「なんで僕たちを誘うんだ?」

「あー、ルーの奴がよ、お前たちと行きたいって言ってきかないんだ」


 ルータニアさん、移籍の話まだ諦めてないのかな?あの時、納得してくれたと思ったんだけどなぁ。

 しかし、海底迷宮か。情報を何も仕入れてないぞ。タニアは知ってるかな?


「海底迷宮ってあれでしょ?真珠が高く売れるからでしょ?」

「真珠が取れるの?」

「うん。手に入る確率は低いんだけど、一粒でも確か金貨十枚くらいで売れるんじゃなかったっけ?」

「金貨十枚!?一粒で?」

「これくらいの大きさだったらね」


 タニアが指で示したのは、直径が一センチくらいの大きさだった。そんなでかいのも取れるってこと?


「でも、魔物は手強いっていう話だよ。あたしたちでも大丈夫かはわかんないのよね」

「なに、俺たちとお前らで行けば大丈夫だろ」

「うーん、そうだなぁ、どうする?」


 手持ちのお金はまだ余裕はある。だけど、あって困るものじゃないし、新しい迷宮に行くのも怖さはあるけど、ワクワクする。行くのもありか。


「行きたいです!沢山手に入れて首飾りを作ってもらいたいです!」


 ニーナは行く気満々だ。エリシャも目が輝いているな。タニアはちょっと迷ってる感じだな。


「ニーナ、行ってもいいけどそんなに沢山は手に入らないと思うよ」

「それでもいいですよ?少しでも手に入ればお金も手に入るんですよね?ね?ライルさん」

「おう。確か小さくても買い取ってもらえると思うぞ」

「それって組合の依頼なのか?」


 最近、組合の依頼を見たときにはなかったような気がする。新しく張り出されたのかな?


「ああ、この依頼は冒険者組合じゃなくて商業組合から出た奴なんだ。確かここにも張り出されてるはずだぞ」

「ちょっと前に見たことあるよ。確かに商業組合からって書いてあったね。この国の貴族からの依頼じゃなかったっけ?」

「おう!それだ!それ!納品したらした数の分だけ払ってくれるって書いてあったからな。この間のことがあって俺たちも懐がちっと寂しくてよ。この依頼で潤そうって魂胆だ」

「わかった。ガルトにも相談してみるけど、おそらく行けると思うよ」

「ありがてぇ!んじゃ、明後日の朝でいいか?現地集合だな」

「わかった」


 依頼って冒険者組合だけのものじゃないんだな。あー、まあそうか窓口はたくさんあったほうがいいね。

 ライルはよろしくなーって言いながら帰っていった。明後日から迷宮探索だ。明日はまた買い出しだな。今日のうちに剣とか研いでおくか。


「リュウジ、明日買い出し行くでしょ?」

「うん。行こうと思ってたところだよ」

「あたし行ってくるよ、リュック貸してね」

「いいけど、一人で行くの?」

「んにゃ、ニーナとエリシャ連れてくよ」

「わかった。よろしく」




 海底迷宮に潜る日。

 タニアたちが仕入れてくれたのは、まず食料。そして、解毒ポーションだった。回復ポーションは、治癒魔法が使える僕とエリシャがいるから今持っている数で十分だ。

 実は、昨日解毒の神聖魔法を使えるようになったんだけど、まだ一度も試してないからエリシャにしか言ってない。タニアに感謝だ。

 海底迷宮には、魚介系の魔物が数多くいるという話だ。今回狙うのはその中の大口貝(ビッグシェル)という貝の魔物だそうだ。半魚人や人魚などの人型の魔物もいてなかなか攻略が難しいらしい。中には魚の体に人間の手足が生えているのもいるということだ。漫画とかで描かれているのは見たことはあるが、実際に目にすると気持ち悪いんだろうなぁ。


 ライルたちを待たせるのも悪いので、朝早くやってきて海底迷宮の入り口を見る。

 海底迷宮の入り口は、岩場にあった。岩場に突然雪で作るかまくらのような入り口があるからなんだかとてもシュールだ。手前には普通に砂浜が広がっていて暑い時期なら海水浴が出来そうだ。


「おお、見た目は洞窟だな」

「下に降りる階段がありますよ」

「ほんとだ」

「なんだか生臭いですね」


 エリシャが指で鼻を摘まんでいる。そんなに臭いかな?


「海の臭いだよ。慣れてないとちょっと辛いかもね」


 僕たちの中で海を見たことがあるのは、タニアとガルト、あとはこの世界のじゃないけど僕。ニーナとエリシャは初めてらしい。ニーナはわかるけど、エリシャも行く機会がなくて、見たことがなかったんだって。


「わりぃ、遅くなった」

「すいません。ライルが寝坊してしまって来るのが遅れてしまいました」

「いでっ」

「あんたは反省しなさい!」


 ライルは悪びれもせずに片手を挙げて苦笑いしている。そしたら後ろからシアさんが、ライルの後頭部を剣の鞘で殴りつけてた。勿論防具の上からだ。それでも結構派手な音がしたな。


「ライルはシアに任せて、俺たちはこの迷宮の情報を話そうか」

「ああ、よろしく頼む」


 暁の風の斥候役のスレインが話しかけてきた。昨日タニアに大まかなことは聞いたけど、誘うってことはもっと詳しいことを知ってるはずだな。


「今回の狙いは大口貝が落とす真珠だ。落とす確率はかなり低いという話だ。大体二十から三十匹倒すと一個落とすくらいだと言われている」

「あたしが聞いてきた話もそれくらいだったよ」


 確率的には三パーセントから五パーセントくらいってことか。なかなか低いな。


「しかも今は依頼が出たことで潜る人が多くなってるから大口貝の取り合いが起きてるらしい」

「この迷宮の概要は?」

「洞窟形態の迷宮で、中は広くて二人並んで剣を振れる。蟻の巣みたいな形状になっていて一応地下五階までは確認されている。階層主の部屋の扉までで、そこから先はまだ誰も行ったことがない」

「大口貝が出るのは?」

「地下一階から三階までだね」

「そうだ。それ以降でも出ることはあるが極端に少なくなる」

「そこには何が出るんだ?」

「半魚人や人魚が多いな。あとは巨大蟹、粘性生物(スライム)もでる」

「粘性生物かぁ。それはまた危険な奴が出るんだな。あたしは行きたくないなぁ」

「俺もだ。だから今回は四階層以降には行かない。真珠を狙うのに専念する。そうそう、この迷宮の魔物は毒を使ってくる奴が多いから気をつけてな」


 今回誘ってくれたのはいい金策になるからだそうだ。有難い。

 解毒ポーションは、昨日の買い出しで揃えてある。さすがタニアだ。


「よし、情報共有はこれくらいでいいと思う。行くか。おーい、ライル、シアじゃれてないで行くぞ」

「うしっ!行くか!」

「しっかりやってよ」

「わかってるって」

「リュウジさんー、一緒に行きましょー?」


 早速ルータニアさんが腕を組んできた。積極的だな。


「あ!駄目ですよ、ルータニアさん!自分たちのところで頑張ってください!」

「そうです!リュウジさんには、わたしたちがいますから」


 ニーナとエリシャがルータニアさんを剝がしにかかる。うん、歩きづらい。大丈夫かな?迷宮探索。ちょっと心配になってきた。


 

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