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45歳元おっさんの異世界冒険記  作者: はちたろう
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第十四話

 いつの間にか寝てたみたいだ。ベッドから起きて窓を開けるとまだ日の出前だ。結構早起きしたな。

 朝ご飯食べるか。

 リュックからタオルを出して中庭へ向かい、井戸から水を汲み、(たらい)に移して寝ぐせ直しと顔と歯を洗う。歯ブラシは元は普通のプラスチック製だったが、木と何かの毛に変わっている。歯磨き粉は無くなっていた。こちらでは指を使って塩で磨くか、木の枝を噛んで解したもので擦るらしい。僕は歯ブラシを使って塩で磨いてる。めっちゃしょっぱいから、よく(すす)がないとだめなんだけどね。

 身だしなみが整ったらニーナと朝ご飯を食べ、組合に向かう。採取依頼をやるんだけど、他にはどんな依頼があるか見てみたいしね。


「あ、見てニーナ。角ウサギの依頼が出てる。昨日はあった?」


「昨日はなかったですね。どうします受けますか?」


「角ウサギ求む!一匹から受け付けます。報酬は一匹につき大銅貨三枚と銅貨五枚。だって。」


「わあ、かなり条件の良い依頼ですね。」


「角って何に使うんだっけ?鏃?だったっけ。」


「そうです。一本の角から三個くらいできるそうですよ。でもなんでそんなに大量に欲しいんでしょうか。」


「急に矢がいっぱいいる状況になったってこと?何があったんだろう?」


「ちょっとケイトさんに聞いてきます。」


「あ、僕も行くよ。」


 依頼ボードから角ウサギの依頼を剥がし、ケイトさんのいる受付へ行き尋ねてみた。


「ケイトさん、この依頼受けようと思ってるんですが、なんでこんなに角ウサギが要るんですか?」


「あ、ニーナさんとリュウジさん、おはようございます。この依頼はですね、狩人組合からのもの

で、なんでも南の森に魔物化した大きな猪が出たそうなんです。この猪には普通の木の矢では歯が立たないそうで、鉄の矢を使えばいいんですが高いでしょう?なので安いわりに貫通力に優れる角ウサギの角が欲しいそうなんです。」


「そうなんですか。じゃあその猪も討伐依頼が出てるんですか?」


「はい、出てますよ。でも鉄級以上の依頼になってますから銅級のニーナさんたちは受けれませんよ。」


「それはわかってます。でも角ウサギなら僕たちでも狩れるからこの依頼受けていいですか?」


「はい、わかりました。いいですよ。薬草採取のついででいいので受けてくださるとこちらもありがたいです。」


 狩人組合なんてのもあるんだ。他には何があるんだろうね。職業毎にあるんだろうか。

 兎にも角にも依頼も受けれたし、今日も一生懸命頑張りますか!

 今日は町の北側の森にやってきた。セトルの町は東西と南に街道が通っていて、北には道はあるが街道というほどではなく、小型の荷車なら通れるが馬車では無理なくらいだった。この道に沿って二日くらい行くと村がいくつかあるらしい。

 今日は、その途中にある森で薬草を採りに行くことにした。薬草は根っこを残しておくと二週間くらいでまた採れるくらいまでに育つらしい。仲間のいなかったニーナは、いろんな森の群生地を順番に回ってたんだって。


「今日行く森には、薬草はあまり生えていないかもしれませんが、角ウサギは結構いると思います。北の森は近くに村がありませんし、強い魔物や狩れる動物もあまりいないので冒険者の人たちや狩人の人たちもあまり来ないんです。だから私も北の森にはよく行きます。」


「そうなんだ。でもあの依頼があるから結構人がいたりして。」


「んー、それはあるかもしれませんが、ほかの森でも角ウサギはいますからね。あまりいないと思いますよ。」


 北の森に着いてニーナがよく薬草を採取する場所に来たが、あんまり生えていなかったんでもう少し森の奥へ行くことにした。


「やっぱりまだ育ち切っていなかったですね。今から行くところは、ここよりはいいと思いますよ。」


「ここにはどれぐらい前に来たの?」


「十日くらい前ですね。なので薬草は育ち切ってませんでした。」

 ニーナと歩いていたら前方の茂みがカサカサと揺れた。


「お?今、向こうの木が揺れたよ?なんかいる?」


「角ウサギかもしれません。警戒していきましょう。」


 僕が先行し、剣鉈を構え揺れた木のほうに近づいていく。ニーナは、二歩分くらい後ろだ。

 木まであと二メートルくらいのところで左前方から白い塊が飛んできた!角ウサギだ!

 角ウサギは、僕に向かって真っすぐに飛んできた。警戒してたから動きがよく見える。左足を引いて半身になったところで、体のすぐ近くにいる角ウサギに向かって剣鉈を振ると握っていた右拳に角ウサギの背中の固い部分が当たり、角ウサギは地面に叩きつけられて動かなくなった。

 手が滅茶苦茶痛くて、剣鉈を落としてしまった。


「いってぇ!」


「大丈夫ですか?」


「ああ、大丈夫。痛ててて、剣鉈じゃなくて握ってた手で思いっきり殴りつけたからね。角ウサギど

うなった?」


「死んでますよ。背骨が折れてます。」


「骨に当たったのか。そりゃあ痛いはずだ。ま、でも角ウサギ一匹目だね。」


「そうですね。では、リュウジさんの指が大丈夫なら薬草採りましょうか。」


 結構強く当たったからなぁ。指は痛かったけど、ちゃんと曲げ伸ばしできて腫れてこないからとりあえず大丈夫かな。本当は剣鉈でズバッといきたかったんだが、中々格好良くはいかないなぁ。まだ、剣の練習初めて一日目だから、そうそう上手くは出来ないか。

 さて、薬草採りますか。

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