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45歳元おっさんの異世界冒険記  作者: はちたろう
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第百十一話

誤字脱字報告ありがとうございます!!

最近、手の負傷で早く書けませんが着実にいきますので、どうぞよろしくお願いします。

 あと一日歩けばフルテームの町までの距離まで来た。


 暁の風と赤の牙の魔法使いたちは一生懸命練習してたけどものに出来た人はいなかった。今は周りが草原になって火球ファイヤーボールは火事の危険がるから練習中止になっている。


 それにしてもニーナって才能があったんだなぁ。いや才能だけじゃないか、才能もあったかもしれないけどずっと努力してきたんだ。アユーミル様に感謝だなぁ。フルテームに着いたらまた神殿に行こう。


 この辺りはもう魔物もあまりでなくて動物が時々出るだけだから護衛の僕たちは山に入る前と同じく隊列の両側と後ろにいる。


「あと一日でこの仕事も終わりだな。盗賊に襲われたけど被害が無くて良かったな」


 こっちに来たライルが暇そうに話しかけてくる。


「そうだね。もっと大変かと思ったけどそんなでもなかったから良かったよ」


「あの、ニーナの火球には驚いたなぁ。なんであんなことが出来るんだ?ルーにちらっと聞いたけど俺にはさっぱりだぜ」


「あー、あれはすぐに出来るようにはならんと思うぞ。ニーナもかなり練習したみたいだからな」


 あの話をいつしたか確り覚えてないけど鉄級になる前だった気がする。僕にしたら難しい話じゃないんだ、僕にはできないけどね。火球に紐を付ける感じで魔力の紐を付けておいて任意の場所で破裂させるっていう感じで話した。有線式の爆弾みたいなもんだろうか。ニーナも良く習得できたなぁ。


「ルーに言わせるとよ、火球に紐を付けるって言うのが良く分からんかったらしいぞ。今は紐を付けるってとこまで出来たらしいけど、放つとそれが切れちまうって言ってた」


「ルータニアさん凄いですね。そこまでできればあともう少しでできますよ」


 僕の横で話を聞いていたニーナが嬉しそうにしている。


「ちょっとルータニアさんの所に行ってきますね。すぐに帰って来ますから」


 ニーナが隊列の反対側にいる暁の風の方に行ってしまった。アドバイスしに行ったんだろう。


「ルータニアさんも才能あるんだなぁ。ノルエラさんはどうなんだ?」


「ノルエラはまだ全然だって言ってたぞ。あいつは火属性より風属性の方が得意だったはずだからな。苦戦してるみたいだ」


 おお、得意属性とかってあるんだ。じゃあニーナは火属性が得意ってことか?


「あたしはニーナは火属性が得意なんだと思う。今は他の属性魔法が使えないから分からないけど、他の属性があんなに上手く出来ないと思うよ」


「確かに。ってことはルーは火属性にも適性があるってことか!?」


「いや、魔法は想像力だって言うんだろ?じゃあ得意不得意って話じゃなくて、どこまで細かく想像できるかってことにならないか?」


「そうなる…のか」


 ライルは首を捻りながら考えている。タニアも顎に手を当てて考えている。


「もし魔法が想像力で変わるんなら、それで使える魔法が増えるってことか?あたしは使えないからわかんないけど」


「そうそう。あと慣れれば詠唱が無くても発動できるかもしれないぞ」


「ええー?それは無理だよ。詠唱しないと発動しないって」


「ニーナなら出来ちゃったりして」


 そりゃあいくら何でも無理だろって、ライルもタニアも呆れてたな。そのうちニーナに話してみるか。出来たら面白いよな。


「リュウジ、また悪い顔してるぞ。あんまニーナに変なこと吹き込むなよ。苦労するのはあたしなんだぞ」


 付き合うほうの身にもなってくれ、もう…なんてぶつくさ言いながら脛を蹴飛ばしてくるタニア。


「そろそろ休憩します。護衛の人達は安全確保をお願いしまーす」


 商隊の人がこっちを見ながら休憩だと教えてくれる。先行して休憩場所を見てくるか。


「ライル、今回は僕たちが行ってくるよ」


 今までもライルたちのパーティの誰かがやってくれていた。人数が多いから任せてくれと言っていたからそうさせて貰ってたけど、任せてばかりなのも悪いので今回は僕たちが行くことにしよう。


「そうか?じゃあよろしく頼む。ガウラスー!今回はリュウジたちが行ってくれるってよ!」


 ライルが反対側にいる仲間に声をかけると、「わかりましたー!」と返事が返ってきた。


「よし、タニア、ニーナ行こうか」


「はい!」


「あたしだけで行ってこようか?」


 あ、三人で行くと護衛ができないか。どうしよう。タニアに行ってもらおうかな。


「ああ、リュウジたちが行ってる間は俺たちが分かれて見ておくよ」


 ここは甘えておくか。


「じゃあよろしく頼むよ。行ってくる」




 駆け足で進んでいくと馬車を三台停めても余裕のある馬車が見えてきた。


「ここか」


「あたしはあっちを見てくるよ。リュウジとニーナで向こうを見てきてくれる?」


「はいわかりました。行きましょう、リュウジさん」


 ニーナに手を引かれて連れていかれる。いい笑顔で。


「ニーナ、こういう時は何を見ればいいんだ?」


「え?…ああ、こういう休憩場所はいろんな人が利用しますから利用者がいたら場所の交渉とか出発する時間、その人達を見定めること、でしょうか」


「今は誰もいないから周りの安全確認か」


「そうですね。ここは見通しが良いのでそんなに警戒しなくてもいいですね」


 山の街道を越えてから周りは見事な草原が広がっている。これなら襲ってきても隠れる所が無いからすぐにわかるな。


「異常はないですね。ぐるっと回ってから戻りましょう」


「わかった」


 急ぎ足で見て回り、休憩場所まで戻ってきたらちょうどタニアも戻ってきた。


「お疲れ。大丈夫だった?」


「はい、問題なかったです」


「よし、戻って報告しようか」


「あ、リュウジはここで待機ね。あたしとニーナで報告してくるから場所取っといて」


「ああ、わかった。気を付けてな」


 タニアとニーナは、手を振りながら来た道を戻っていく。


 あ、そうか、みんなで戻ったらいない間に誰か来たらいけないからな。


 向こうを見ながら待っていようか。誰かくるかもしれないからな。




 暇だなぁと思って待ってたら、ガラガラと馬車が進んでくる音が聞こえてきた。


「お待たせー」


 先頭にはタニアとニーナがいて先導してきたらしい。ニーナが手を振っている。相変わらず小っちゃくて可愛いな。


 こっちも手を振り返すとニーナが走ってこっちに来る。


「ただいまです。何もありませんでしたか?」


「そっちも無事で何より。何もなかったよ。ここは景色がよくていいね」


 ニーナに遅れて本体が到着する。


「リュウジさん、安全確認ありがとうございます。今日はここで野営します。戻っていいですよ」


「はい、わかりました。ニーナ、戻ろう」


 タニアを探すと隊列の後ろのほうにいたので、そっちに歩いていく。


「リュウジ、ちょっとおなか減ったよ。何かない?」


「もうすぐ夕ご飯だからなぁ…もうちょっと我慢して夕ご飯にしない?」


 今から何か食べると夕飯が入らなくなっちゃいそうだなぁ。


「リュウジさん、なんだかお母さんみたいですね」


「ニーナのお母さんってどんな人だったの?」


「私のお母さんですか?そうですね…厳しかったですけど、今思えばとっても子供思いだったのがよくわかります。いつも礼儀正しくしなさい、食事は静かに食べなさいって言われてました。孤児院の院長先生です」


 あ…そうだった。


「ごめんニーナ、悪いこと聞いちゃったね」


「いえいえ!私の母は院長先生ですから大丈夫です」


 そう言うニーナの表情には暗いところは全くなく、いつもと変わらないほわほわした笑顔だった。そうか、もうそれが普通のことになってるんだな。


「でも時々寂しくなるんですよ?そういう時は抱きしめてくださいね?」


 上目遣いに見上げてそんなことを言ってくる。これは破壊力抜群だなぁ。


「いつでも言って。しっかり抱きしめてあげるからね」


「んー、ゴホン!リュウジ、ニーナいちゃつくのはそれぐらいにして準備しようよ。あたし早くご飯が食べたいんだけどー」


 辺りはまだ明るいけど、のんびりしてたらすぐに暗くなっちゃうからな。周りに明りがないと真っ暗だ。


「ああ、ごめん。ほらニーナちゃっちゃと準備しよう」


「はい!やりましょう、リュウジさん」


「はいはい…もう勝手にやってくださいな…」


 僕とニーナが夕飯の支度を始めようと二人でやりだしたらタニアに呆れられちゃったよ。




「ごちそうさまでした!あー美味しかった!」


「今日も美味しかったですね。リュウジさんが作ってくれるものはどれも美味しいです」


「そんな大したものは作ってないんだけどな。やっぱり調味料かな」


 焚火での料理なんで基本的に焼くか煮るかくらいしかしてない。食用油はあるけどまだ揚げ物はやってない。慣れてないから失敗しそうでね。でも、挑戦してみようかな。


「この依頼が終わったら揚げ物でもやってみようか」


 オーク肉の揚げ物ってとんかつでいいのかな?オークかつ?


 ステーキがあれだけ美味しいんだからやってみる価値はある。


「揚げ物かぁ。あれあんまり美味しくないからなぁ。あたしはいいや」


「そうですね。私もあまり好きじゃないんです。油のにおいがきつくて…」


「あー、油の質の問題かぁ。どっかにオリーブオイルってないかなぁ」


 オリーブオイルじゃなくてもいいから植物油があるといいな。この世界のラードだとちょっと臭いんだよなぁ。


「リュウジ、今夜の夜番はどうなってんの?」


 そう言えば聞いてないなぁ。ライルに聞いてこよう。


「ちょっと聞いてくるよ。待ってて」


 暁の風がいる方がなんだか騒がしい。なんだろ?行ってみよう。


「おーい、ライルー、夜番のことなんだけど…」


「だからぁ!私たちが使うの!」


「今回は俺たちの番だろ!お前らは昨日も使ったじゃないか!」


 ルータニアさんとライルが言い争っている。何かを取り合ってるのか?


「男なら一日ぐらい我慢しなさいよ。ここは女子に譲るのがいいと思うけどね」


 シアさんも輪の中に入ってるんだ。珍しい。あ、スレインさんがいた。ちょっと話を聞いてみよう。


「スレインさん、みんな何を争ってるんですか?」


「ん?ああ、リュウジか。いや、貸してもらったマットレスをどっちが使うかでね」


 ええ!?そんなことで?


「そうですか…なんかすみません」


「いやいや、リュウジは謝らなくてもいいさ。こいつらが意地汚いだけって話だからね。で?なんか用事あったんだろう?」


「そうでした。夜番をどうするのか聞きにきたんでした」


「それなら、こいつらにやらせるからいいぞ。悪いが、赤の牙にも伝えてくれないか?」


 こいつらって、ライルとルータニアさんとシアさんか?


「わかりました。伝えておきます。ありがとうございました」


「おう、頼む。ごめんな、騒がしくて」


 三人はまだギャーギャーと騒いでいる。そのうち殴り合いにならないだろうか?ま、なんにせよ、頑張ってくれ、ライルたち。

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