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第六回星新一賞ジュニア部門応募作品「ダイアモンド」

作者: マタライシュウ

<皆さん!なんでもいいから粉々にして、ジュースみたいにしてやりたい!って思った事ありませんか?>

<そんな時はこれ。ダイアモンドミキサー!!刃には世界最硬と言われていたダイアモンドが入っていて、ダイアモンドだってこの通り粉々に出来てしまうんですね>

<定価40万円のところをな、な、なんと!28万4000円!28万4000円です>

「ねぇお父さん、こんなの誰が買うの?」

「うーん、誰も買わないんじゃないか?ダイアモンドを粉々にしたい奴なんていないだろうし」

今の日本は発明の時代。様々な発明品により、日本は発展してきた。しかし、どんな時代にも意味不明な発明品や無駄な発明品は必ずある。ダイアモンドミキサーもその一つだ。だがそんな物ばかり作っていても赤字になるだけ。ダイアモンドミキサーの開発社、ダイアオフィスはこれからどうするつもりなのだろうか。

<ニュースです。日本各地の公園などで、不審な機械が見つかりました。近くには粉末状のダイアモンドが付着しており、おそらくそのダイヤモンドを噴射する機械とのことです>

「ねぇ母さん、これってもしかして」

「ええ、ダイアモンドミキサーを使った機械のようね」

「でも、何の意味があるんだろ。ダイアモンドが人工的に作れるようになったとはいえまだまだ高価なはずなのに」

「世の中には不思議なことをする奴がいるもんだな」

その機械は連日、様々な場所で発見された。

数日後、始めに違和感に気づいたのは耳の良い子供達だった。

「ねぇお母さん、耳が聞こえにくいの」

「そうそう。耳に硬い何かが詰まってるんだ」

「耳あかじゃないの?」

「でも、いくら耳かきしても取れないんだって」

次に気づいたのはいつも爪の手入れを欠かさないお母さんだった。

「ガリガリガリ」

「あれ、あまりけずれないわね」

「母ざん、どうじだの?」

「なんだか爪がけずれにくいの。硬くなったのかしら?それより、少し声が変よ」

「ああ僕、耳の次は鼻がづまっでぎだんだ」

最後に気づいたのは毎朝ヒゲを剃るお父さんだった。

「いてててて!!なんだよこのヒゲ!いつもより硬くて剃りにくい」

「どうじだの?父さん」

「ああ、なんだかヒゲがコーティングされたみたいに硬いんだ」

「ふーん」

<ニュースです。不審な機械により、被害が出ました。粉末状のダイアモンドが空気中に散布され人体に付着することで、硬くて取れない耳あか、鼻くそ、硬くて切れない爪、硬くて剃れないヒゲ、などの被害が出ています。なお、犯人は現在も捜査中です>

「あーー!!」

「世の中には酷いことをする奴もいるんだな」

この家族が感じていた違和感の正体は、ダイアモンドによる被害だった。誰が、何の為にしているのだろうか。

数ヶ月後。

「ヒゲが剃れないのがこんなにキツイなんて。邪魔で邪魔でしょうがない」

「それなら私の爪なんてこんなに長くなっちゃって。生活が本当に不便だわ」

「わだじなんで、もうはなもみみもぜんぜんづがえないのよ」

どこの家族にも、イライラした空気が漂っていた。そんな時だった。

「お父ざん達!!ごの動画を見て!」

「ん?なんだ?」

<皆さんにダイアオフィスから新商品のご紹介です。まずはこれ、ダイアモンド耳かきとダイアモンドピンセット。どんな硬い耳あか、鼻くそもこれでOK。次はダイアモンド爪切り。どんなに硬い爪も、らくらく切れちゃいます。最後はダイアモンドヒゲ剃り。どんなに硬いヒゲもこの通り、ジョリジョリいけちゃいます。お値段の方は、4点合わせて5万9800円!5万9800円です>

「この会社、結構いい会社だね」

「いや、これってもしかして……」

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