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目の見えない少年は混沌とした異世界で  作者: 久我尚
第一章 『リンク』
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第8話 『リンク』

 レイのおかげでガルノからの妨害がないため、アヤトはすぐに少女の傍へと駆けた。


 「大丈夫?」


 「大丈夫です。それよりもアヤト、こちらを向いてしゃがんでくれますか?」


 逃げた方がいいのではと思ったが結局アヤトは彼女の指示に従って屈んだ。

 低い姿勢になったアヤトの胸にエレナは小さな手を当てる。


 「――なにをするの?」


 「――――」


 エレナは聞いてもすぐにはすぐには答えなかった。

 数秒の沈黙の後、口を開く。


 「先に謝っておきます。アヤト、私はあなたを厄介な事情に巻き込んでしまいます」


 申し訳なさそうに彼女は語り始めた。


 「アヤトはおそらく別世界から来たんですよね。どんな使命を背負ってこの世界に来たのかはわかりませんが、ごめんなさい。その使命の邪魔をしてしまうかもしれない」


 「――エレナ、僕が他の世界から…」


 「知っています。でもその話は後です。先に確認を取らせてください」


 「確認?」


 「ええ、確認です」


 いつレイが倒されてガルノがこちらに来るかわからない時間のない状況だと言うのに、エレナは落ち着いていた。


 「今からこの状況を切り抜けるために簡略化した契約を行います。ですがそれをすると先ほども言った様に厄介ごとに巻き込んでアヤトを不幸にするでしょう」


 「つまり契約っていうのをしてもいいかって確認?」


 「…はい」


 彼女の指す契約というのが何なのかはわからない。

 悠長に聞いている時間もない。


 (不幸…か…)


 これまでの人生、盲目以外の不幸なんて味わったことがないかもしれない。生まれてからずっと幸福な環境で育てられてきた。それに、


 (目の見えない不幸を十年以上も背負ってるんだし、今更だよな…)


 今更だ。彼にとって目の見えないこと以上の不幸など存在しない。


 「いいよ。契約っていうのをしよう」


 「…いいんですか?」


 「うん。それで助かるんでしょ?」


 「可能性はあります」


 「ならやろう」


 「使命はいいのですか? 他の世界から来た者は使命を持っていると聞いたのですが…」


 使命。この世界に来る前にあの子供も言っていた。


 「使命ってのを僕は知らないから何とも言えないけど。きっと君と契約をするのが使命なんじゃないかな。なんとなくそんな気がする」


 あの少年の言っていた使命というのは、彼女の言っている契約をするということではないかと思った。明確な根拠はない。何故だかわからないがそんな気がするのだ。


 「――わかりました。始めます」


 胸に当てられた少女の手からは服越しに熱を感じとれた。優しく当てられた手には力が入る。心なしかその手の温度が上がっている気がする。


 「――汝、我が身を宿す存在。

  刻め、我を。

  受け入れよ、この禁忌を。」


 大気が、揺れる。

 エレナの様子も変わった。

 目を閉じ、精神を研ぎ澄ましている。


 「汝は我が運命を背負い、汝の運命を我に委ねよ。」


 溶け込んでくる。アヤトの中で何かが一つになろうとしている。


 「我らは同一。

  我は汝であり、汝は我である――――」

 

*****

 

 『契約の地』


 ――なんだ…


 『XIIIの覚醒」


 ――どう…なったんだ


 沈んでいる。底の見えない闇に沈んでいる。

 その最中、彼に到底人間一人の脳内には収まらないほど大量の情報が流れ込んでくる。


 『黒き剣』


 ――何が起こってるんだ


 『ロスト』


 ――エレナは?


 『神の使い』


 ――契約は…?


 『終焉者』


 文字かも映像かもわからない情報は、際限なく流れ込んでくる。


 『七つの罪』


 ――なん…だ?


 情報の渦の中、彼は感じた。


 『シノチカラ』


 暗い闇の海にアヤト一人を照らすようにして一筋の光が差している。


 ――暖かい…。光…?


 『回帰する世界』


 およそ光と呼べるものを、アヤトは初めて感じ取った。


 『――さぁ、始めよう』


 最後の情報。これだけは声だった。声だとわかった。しかもこれはこちら側に来る前に――


 「――契約を完了する」


 脳内に彼女の声が響く。

 

*****

 

 瞼が上がる。

 それ自体は初めてすることではない。見えていなくても目自体は乾くのでしてはいた。


 「これが…」


 光が…光が世界を包む。

 見えない。初めて見る光が視界を遮っている。


 「………」


 次第に光は薄くなっていく。

 ゆっくりと眩しい光が薄れる。

 そして彼は見た。

 初めて彼の視覚というものが機能する。

 盲目の少年、アヤトが生まれて初めて目にしたのは、自分よりも幼く、雪のように真っ白な頭髪の少女だった。


 初めて見たその銀髪の少女を彼は……ただ、『美しい』と思った。


 「君が…」


 自分と同じ欠落者である少女。

 アヤトが初めて目にした人間にして、何よりも美しいと思った存在。


 「え…?」


 視覚を得てから程なくして、アヤトの目の前にいた少女は光の粒子になった。

 それはやがて彼の体を包んで体に染み込むようにして消える。


 「エレ…ナ…?」


 消えた。

 少女が消えてしまった。


 『いますよ』


 「うわぁっ!?」


 エレナの声が至近距離でして驚きの声を上げた。

 しかしどこを見ても彼女の姿はない。


 『そんな大きな声も出せるんですね。驚きです。ですが今後はあまり出さないでください。あなたの聴力はどうやら常人よりも高いようです。耳がキーンってします』


 「――耳から…じゃないのか」


 『私は今あなたの中にいます。声が近くで聞こえてるのはそういうことです』


 「ごめん、中にいるってどういうこと? それになんで僕の視力が…」


 今まで何も見たことがなかったが故に、大抵のことはそういうものかと理解できていた。

 自分が死んだことをすんなり受け入れられたのも、魔法という超常的な力があるということを理解できたのもそれが主な理由だ。だが、初めて目にした美しい少女が自分の中にいるというのは流石に訳が分からなかった。


 『時間がないので詳しい説明は省きます。――端的に言えば私の能力です。私の能力は他人と繋がり戦闘能力を格段に上昇させるもの。アヤトの目が見えるようになったのはこの能力の副産物だと思われます』


 見える限りで自分の体を見た。初めて見ることができた十六年間自分の使っていた体。

 何も思わないなんてことはなかったが、なぜかその感動はエレナを目にした時よりも小さいものだった。


 「繋がるっていうのは?」


 『同一の存在になるということです。アヤトに私という人間が加えられています』


 「な、なるほど?」


 『理解してもらえたみたいでよかったです。というわけで戦闘態勢に入りますね。またびっくりして大声出さないでください』


 「あ、うん…」


 体が黒と呼ばれる色に包まれた。

 熱のない黒い炎のようなものを、首にマフラーを巻いた少年は羽織っている。


 『これは戦闘用の衣です。硬そうには見えませんが、相当な防御力があります。多分』


 とてもそう思える見た目はしていなかった。


 「多分なんだ」


 『はい。なにぶん私もこの衣を見るのは初めてなので』


 「へぇ、それにしても服ってこういうのもあるんだ。初めて見た」


 所々白い部分もあるが、主に黒色のぼやけた服。アヤトは自分が着ている服を見るのは初めてだった。


 『いえ、これは一般的な服ではありません。この衣は――』


 アヤトの勘違いを正す前に、楽しそうに笑う男が一人。


 「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」


 この笑いは全員聞いたことがある。

 圧倒的な強さを持つ男、ガルノが出した笑い。


 「アヤトォ! やっぱお前おもしろい奴だよ!」


 彼の相手をしていたレイは地に膝をついていた。

 もう動くことは厳しいのだろう。


 「あいつからこんなこと聞いてないぜ! 予言っていうのも外れるもんだなぁ!!」


 笑いが絶えない。予想外の出来事だろうが彼は存分に楽しんでいる。

 面白い。楽しい。壊したい。食らいたい。彼の中でそのような感情が渦巻いている。


 「この人が…ガルノさん」


 この状況を最大限楽しんでいる男――ガルノの姿を目視する。

 左の手の甲には獣の牙のような模様が刻まれていて、右手は斬り下ろされたために存在していなかった。


 「ガルノ、撤退よ! 想定外の出来事が起きた場合は帰還って命令でしょ!」


 「駄目だ…駄目だぞ、メイア。抑えられ、ないんだよっ!」


 「ガルノ!!」


 メイアが名前を呼んだ時にはもう遅い。ガルノは既に正面に立っていた。


 『落ち着いてよく彼の動き見てください。今のあなたなら問題ないはずです』


 アヤトの五感は全て強化されている。そう、例外なく全てだ。彼の使えない視覚さえも。

 加えて『リンク』によって戦闘能力が上がっている。今の彼ならば――


 「――回避できる」


 左足を軸として九十度ほどの回転。

 アヤトは最低限の動きでガルノの攻撃をかわした。


 「へぇ、なかなかやる…な!」


 続いてガルノがしてきたのは横に薙ぎ払うような蹴り。

 切り返しの速度が予想外なほどだった。


 『体動かします』


 アヤトの体は彼の意思とは関係なく動いた。

 しゃがんで蹴りを回避し、跳躍してガルノとの距離をとる。


 「今のは?」


 『アヤトの回避が間に合うかわからなかったので、私が体を動かしました』


 「そっちで動かせるの?」


 それなら戦闘なんてしたことないのでお任せしたいな、などとアヤトは考えた。


 『私も戦闘したことありませんよ』


 「…わかるんだ。考えてること」


 『完全ではないにしても融合しているわけですからある程度は。それで質問についてですが、答えとしては動かせます。ですがおそらくアヤトが動かした方が細かい動きができると思うので、動くのは基本的に自分でお願いします』


 「了解」


 「――何一人で話してるんだ?」


 ガルノは不思議そうに首を傾げていた。


 「ガルノさんには聞こえないのか」


 エレナの言葉はガルノに届いていない。

 彼から見れば、アヤトが一人で喋っているだけだ。


 『秘匿されてきたリンクについて知っているのに、私の声が契約者以外に聞こえないことを知らない…?』


 おかしいと思っても考えている暇はない。先に片付けることがある。


 「ま、どうでもいいか。それよりそろそろお前からきたらどうだ?」


 喧嘩なんてしたことはない。人を傷つけたこともない。けれど彼はやらなければならない。生きるためには、ガルノを倒すしかない。


 「エレナ。どうすればいい?」


 『普通に拳で殴ってみてください。私がサポートします』


 「わかった」


 動く。とりあえず走って一発殴りかかろうと考えていたのだが、エレナのサポートのおかげか既にアヤトはガルノの前に立ち、彼を殴る姿勢になっていた。


 『振り抜いてください』


 指示通り、力を込めて拳を動かす。

 狙う腹部にはガルノの左手。このままでは攻撃を防がれる上に捕まる可能性すらある。


 『やめずにそのまま振り抜いてください!』


 中断すべきか悩んでいた時にかけられた少女の声。拳は止まることなく進む。


 「バカが!」


 続行の判断はミス。これで拳を掴むことができる。

 そうガルノは確信していた。


 「――――!」


 突如ガルノの左腕に走る痛み。見てみればすぐに痛みの原因はすぐに判明した。アヤトの影から鋭く黒い槍のようなモノが伸びて、彼の腕を突き刺していた。


 これで左手は使えない。つまり防御ができない。攻撃が通る。

 そのはずだった。


 「なん…で…?」


 当たった思っていた攻撃は届いておらず、拳は掴まれていた。槍の突き刺さった左手ではなく、レイに斬り離されたはずの右手によって。


 「当たったと思っただろ。少し驚いたが…残念だったな」


 楽しそうに男は笑う。


 『なぜ! 右手は確実にレイは斬り落としていたはずです!』


 「僕の時と同じ魔法…」


 腹部を一瞬で直した魔法。

 それを使用されガルノの手が戻った可能性は高い。


 「――違う。俺の腕が生えてきたのはメイアの魔術じゃない。第一あいつは今取り込み中みたいだしな」


 『となると…』


 「…アビリティ、ですか」


 「かもな?」


 答えを教えずに彼は掴んだ少年を驚異的な力でいとも容易く投げ飛ばした。

 地面の上を数回転したアヤトはうまく勢いを利用して無理やり体を立ち上がらせる。


 「――確かにそんなに痛くない」


 投げ飛ばされたという痛みはほぼ感じなかった。

 唯一痛みを感じた個所は頬。そこだけいつのまにか切れて血が出ていた。


 『よかったです。衣はちゃんと体を護ってくれるみたいですね。顔以外は』


 「顔は覆えないの?」


 よくよく見れば、黒い炎のような鎧で護られていないのは顔だけだ。そこも覆えたら完璧なのだが。


 『無理なようです。これも不完全な契約の代償かもしれません。回復はさせられますが護れはしません。なので拳と脚と顔は我慢してください。あ、痛みをってことじゃないですよ? 私もアヤトと同じで痛みを感じるので、極力傷を負わないようにしましょう。頬の傷がすごい痛いです』


 「だね」


 防御力の確認ができたところで、再びガルノを正面に捉える。

 彼の腕からは影の槍は消えていた。その腕にできた傷をガルノは見つめている。


 「――影を操る…なんて言ってたなそういや。次からは気をつけるか」


 表情にはまだまだ余裕がある。


 『先ほどの黒いのは私のアビリティのようなものです。アヤトも使おうと思えば使えますけど、この攻撃は私が担当します』


 「うん。よろしく」


 アヤトが体を動かし、エレナがアビリティを操る。

 この役割分担はアヤトにとってありがたかった。とても全てを一人でできるとは思えないからだ。


 「――なるほどな。二人で会話してるのか」


 「…バレたけど良かったの?」


 『それがバレたところで今更ですし、別にいいんじゃないですか?』


 他人と融合できる知られている時点で、能力の大半が知られているので今更会話できることが知られてもどうでもいいとエレナは考えた。


 「やっぱすげぇよ、アヤト。お前は俺を飽きさせない」


 また笑う。大声で誰かに聞かせるように喜び、笑う。


 「でもな」


 唐突に出された低い声。彼の表情は数秒前とは打って変わって、糸が切れたかのように落ち着き、冷たい表情になっていた。


 「お前を見てて…気に障ることがあるんだよ」


 「――気に障ること?」


 「そうだ。なんでお前はそんな力を持ってるのにへりくだった態度なんだ? 下手に出る意味がわからない」


 なんで下手にでるのかと聞かれて困る。いつも通りなのだから。


 「と言われても…」


 「…アヤト。欠落姫も敬語を使ってるが、あいつのは多分ただの癖だ。だけどな、お前の場合は完全に初対面の俺やメイアを敬った態度だった。立場関係なくな。まさかとは思うが、お前出会ったやつ全員にそんな態度してるのか?」


 「そうですけど…」


 「だよな。お前はそういうやつだ。それが気に障るんだよ。お前はアビリティなんて力があるのになんで他人より下になろうとする」


 アビリティがあろうがなかろうが結局彼は変わらない。重要なのはそこではないのだ。現にも解いた世界でもこの態度は変わらなかった。


 「――ガルノさんは勘違いしてますけど、僕は実際誰よりも下ですよ」


 「あ?」


 「目が見えない。それは人間として致命的じゃないですか? それに五感がちょっと優れているだけで俺は何の役にも立ちません。どう考えても誰よりも下ですよ」


 「それだよ…それなんだよ。俺がイラつくのは…! 自分の体に欠落があるから誰よりも下だって思ってるやつが俺は昔から大っ嫌いなんだよ!!」


 「――――」


 「はぁ…ダメだ。一回殺してやるよ。そうしないと俺も内側の奴も落ち着きそうにない」


 情緒不安定な男の異様な気配を察知した。殺意だ。


 『来ます』


 エレナの声が脳内に入ってきた瞬間、ガルノの後ろから石のように転がってくる血だらけの人間がいた。


 「――クソ…ッ。駄目か!」


 短い言葉ではあったが今ので彼が誰なのかわかった。


 「ネイトスさん!」


 ネイトスは呼ばれたことに気付くとアヤトの方を見る。


 「お前か…。大分様子が違うようだが…」


 「よかった。ネイトスさんは生きてたんですね」


 「お前に気にかけられるほど親しくもないし関わっていない気がするんだがな」


 「確かにそうですけど…ってそれよりも下がっていてください。危険です」


 喜ぶアヤトとは真逆でガルノは彼が生きていることに苛立っている。


 「何で生きてる…」


 「確認しなかったあなたのミスよ」


 ガルノの肩を叩いたのは薔薇色の髪の女性。浮遊しているメイアだ。


 「それよりも撤退するわよ。あの子の力が不明だわ。危険すぎる」


 「第六感。それと影を操ることができるとかそんなんだろ」


 「だけだと思いたいけど、あの子の首に刻んでおいた方の魔法が破壊された」


 「――お前のが?」


 目の色が変わった。


 「そうよ。どれだけ危険かわかったでしょ?」


 メイアが警戒する理由は理解した。だからガルノは撤退するべきか否かを悩む。


 『――アヤト、状況が変わりました。ゆっくりやっている時間がないようなのでこっちから仕掛けます』


 「こっちから?」


 アヤトは全く気付いていないが時間がないのだ。

 だからエレナは速攻で終わらせるため、こちらから攻めて倒すことにした。


 「残念ながら逃がしてくれないみたいだぜ?」


 「私には逃げるなら早く逃げてくれって感じに見えるけど…。――はぁ…、好きにしなさい。回収はしないから。自力で戻ってきて」


 「あいよ」


 浮遊している美しい女性は、薔薇色の髪を揺らし、アヤトを見た。


 「生きてたらこれから頑張ってね。君のこと応援してるから」


 メイアが指を鳴らすと、その姿はこの場から消え去った。


 「――やっぱりなんだかんだ言って身内には優しい奴だな」


 ガルノはうっすらと笑みを浮かべ、自分の腕を斬られた時の血痕以外何もない地面を見て呟いた。


 「さて、お前らから来るんだろ? ほら来いよ」


 「――何でメイアさんと一緒に行かなかったんですか?」


 影はゆっくりと伸びている。その最中にアヤトは尋ねた。


 「逃げる必要がないだろ。お前は俺を殺したいし、お前も俺を殺したいんだから」


 「別に僕は…」


 「いや、お前は俺を殺したがってる。…間違いなくな」


 アヤトが否定しても、男はその否定を否定する。


 「と、まあそんなのはどうでもいいんだよ。さっきはあんなこと言ったが別に殺しはしない。最低でも半殺しだ。お前は連れていかないといけないからな。欠落姫ごと」


 『…アヤト、行きます』


 影から黒い槍が弾丸の如き速度で突き出された。

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