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プロローグ 『目覚め、そして待つ』
辿り着く場所は決まっている。
極点は既に確定された。
終わりは見えている。遠くない未来の話……捉え方によっては過去ともいえる。いや、言える者もいると言うのが正しいだろうか。
「――あぁ…。何年振りだ、起きるの…。五百年は経ったか…?」
闇く、黯く、晦く、暗い。
一片の光もない檻。
閉じられ、隔絶された空間。
まさか彼らは自分たちの足が踏みつける大地の下に彼のような存在がいるとは思うまい。
「…動いてるな。動いてる。世界が変化してる」
世界は流転する。
常に変化をし続けている。
人間などよりよほど面白い。
だから壊れる。壊される。
「久々に外の空気を吸いたいが…」
もう一体何万年ここにいるのわからない。
「――――近づいてきてるな。オレ様が起きた理由はそれか」
知っている気配を感じとった。
あまりにも馴染み深い気配だ。
「世界の不要物…」
生み出された者ではなく、自分と同じ生まれてしまった者。
「――来い、オレ様の半身」
王都編開幕




