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半機械は夢を見る。  作者: warae
第2章
50/197

平和を生み続けた男

遅れました。

楽しんでいただけると幸いです。

ロッカスside……


時は少し遡り……

しかし、全員が子どもときた。 カインの憶測が全て真実だとしたら、いったいどうすればいい……!

「……っ! そう、じゃったのか、カイン!!!」

もしカインの憶測が全て真実と仮定して。 その思考と共にこの子らを相手に戦ったのだとすれば。 あの日の、あの言葉が本当だと言うのならば!

どれほど辛かったのだろうか。 お主は、なんと……

いつの間にか俺の周りを取り囲んでいた半機械達。 立ち向かうように足を広げ構える。

ならばこの子らは、かつて平和な地で生きていた未来を担う子ども達だ。 その小さき蕾を摘み取るなど、大人のするべきことではない。 許されぬことだ。 ましてや、兵器になど、言語道断である。

柄を両手で握る。 数十年振りに両手で戦う日が来た。 身体強化を幾度となく掛け、自分自身を強化する。 まさか、久しく本気を出さねばならぬほどの敵がお主らだとは、悲しくても悲しみきれない。 今は、怒りが我を動かそうとしておるのだから。

「一閃」

取り囲む半機械達が襲いかかろうと動き出した瞬間、小さき体は横に真っ二つにされていた。 純粋な力、大剣を両手で握りしめ腰を、体全体を肩を回し。 真横に斬る。

そんな中、俺は瞼を閉じていた。 顔に薄ら憎悪の影がかかる。 目を見開いた時、周りを囲んでいた半機械達は、胸や腹を横一閃に斬られていた。 俺が斬ったのだ。 こんな光景は見たくはなかった。 だが、これが救済になることを信じて、

「俺を恨むが良い」

そう呟く。 が、それを無視するように、上半身だけなった半機械達は武器を手にそれでも攻撃してこようと迫る。 タイミングバラバラに武器を振り上げて。

「やはり服従紋か」

下半身は落下しているのを見ると、魔力で出血を止め魔力操作で上手く空中で動いているのか。

大剣を鞘に入れるように背に回して背後からの攻撃を防ぐ。 そして蹴りを入れて背後の半機械を飛ばしたあとに、流れるような動作で大剣で右横からの攻撃を防ぎ、剣身でちょうど斜めから迫り来た半機械と共に大剣を振り後方に二体飛ばす。 だがその間に左から三体同時に攻撃が迫る。 武器が俺の体に触れる瞬間、前方の敵との距離を詰め左からの攻撃3つを回避。 そして距離を詰めた前方の半機械の攻撃を体の軸を回転させて避け、手元を蹴り上げ、武器を一閃して破壊する。 すぐにその半機械は背後に手を回し短剣を取り出そうとした。 俺はすぐさまその半機械の胸ぐら掴んで背後から迫る先程の三体の半機械へと勢いよくぶん投げる。

「ふんっ!」

下半身が無い分上手く避けられず投げられた半機械に当たり後方へ四体飛ばされる。 その様子を一瞥し、大剣に魔力を込める。 そして大剣を頭上に掲げ円を描くと魔法陣が描かれる。

「重力操作」

先程囲んでいた上半身だけの半機械達の重力を限界まで増やす。 すると重さに抗うように魔法にかかった半機械達は地上に勢いよく落下していく。

「やはりこの大剣の魔法は防ぎきれないか」

上半身だけの状態なら尚更だろう。

それでも更に数十体もの半機械が押し寄せてくる。

「いったいどこのクズに服従紋を刻まれたんだ」

そう呟き大剣を横に構えると、

『あぁ』

戦艦から声がした。 直後、

「それ、俺だよ」

いきなり眼前に戦艦から発していた同じ声の主が現れる。 その男は口元を歪ませて言った。

瞬間移動でもして来たのだろうか。 そんなことを思った瞬間、その隊長らしき男は笑みを保ったまま手を俺の顔の前に翳して、

「破壊の光」

「なっ!?」

奴の手が一瞬に光る。 全ての物が影を濃くするその一瞬の光。

俺は即座に大剣に魔力と気力を流し込み、その光を斬り裂いた。 だが地上の一部と半機械達の何体かはその光により破壊を受けて見るも無残な姿へと遂げていた。 瓦礫、残骸と言った言葉が合うほど壊れた物と化していた。

大剣を握る手が、足が震える。

「貴様、その技。 どこで覚えたのじゃいぃ」

腹の底から低く唸るように、問う。

「心外だなぁ、知ってるはずだろぉ? 老いぼれ」

笑いながらその問いに答えた直後、俺は両手に力を込めて大剣を握りしめ勢いよく奴の首元を狙って斜めに斬りあげた。

だが……

「おいおい、なにしてるんだ。 奇跡的な再会だろーがよぉ」

俺よりも何倍もの魔力を込めた片手でその大剣を受け止めていた。

「それにぃ、俺よりも先にこのゴミ共と遊んでやれよぉ。 なぁ、元傭兵長ロッカス・ウェンダー」

「その姓はとうの昔に捨てたわい」

受け止められた大剣を真逆を振り、その場で片足を軸に一回転して反対側から奴を斬りつける。 が、大剣は空を斬り奴は姿を消していた。

「戻りよったか……」

戦艦を睨む。 同時に半機械達が多勢で迫り来る。 更に少し離れた所にいる戦艦達も砲撃を開始する。 半機械達に当たることを無視して自分たちの方へ砲口を向けての砲撃だった。

「おのれぇ、簡単に切り捨てるかぁ! 貴様らに人の心はないというのか!」

目の前の悲しい現実に叫ばずにはいられなかった。 一昔前、人のため剣を持ち戦い始め、力を付け大剣片手に神に挑んだあの日。 それから時間は長く過ぎたが、ここまで人というのは愚かな生き物に成り下がったというのか。

目の前には迫り来る多くの半機械達。 それらを無視して足に魔力と力を込め瞬間的に移動を可能とさせた。 そして半機械達の盾になるかのごとく何十発の砲弾を斬っていく。 それでも続く砲撃、背後からは迫り来る半機械達。

「くっ……!」

下手に魔法を放てば半機械達に無効化される可能性がある。 だからと言って、魔法なしの剣だけでの戦いでも、砲弾から半機械達を守りながら戦うのはさすがに難しい。 半機械達をやはり殺すしかないのか? だが、先に俺は数体もの半機械達を戦闘不能にさせた。 地上に落ちた半機械達がまだ生きているか分からない。 だが重力操作がまだ働いているのを感じるから、まだ生きているのだろう。

その時、

『面白いことをするなぁ、なぁらぁば。 そうだな、東の二隻に告ぐ。 砲撃対象を特別警備型戦闘兵器KD半機械人間に切り替えようか』

『ちょっ、マイク入ってますよ!』

『わざと聞かせているのだ。 そろそろ察しろ馬鹿め』

そんな会話が響くと戦艦の砲口が全て半機械達へと向けられる。 そして砲撃が開始され、砲弾は半機械達へ迫り、半機械達は俺へ迫り来る状況となった。

どうすればいい……やはり斬らねばならぬのか。

斬ったら、それが救済となるのか。 知らぬことばかりだ。 半機械人間を理解できていないこの俺が、勝手な考えをしていることくらい分かっている。 だが、しかし!

「……この斬撃が! お主らにとって救済に、なるだろうか!」

問う。

何も分からぬままじゃいつまでたっても足踏み状態だ。

砲弾を斬り裂きながら俺は叫ぶ。

「俺は分からない! お主らが死を望むのか、生きたいと願うのか!」

その言葉に反応するかのように、半機械達の動きは止まった。 止まない砲弾が自分達に向かう様子を眺め、冷たい声が口から零れる。 まるで死を受け入れるように。

俺は彼ら彼女らに襲い掛かる砲弾を斬り裂いていく。

「誰……が」

「自ら……」

「死に、た……いと」

「思、うもの……か」

「誰、が」

「自ら」

「自分、た、ちを」

「救って……くれ、る」

「恩……人を」

「殺し……たいと」

「思う……もの、か」

バラバラに言葉を紡いでいく。 ショートしかけている火花を頭から散らして、電撃を弾きながら、停止している状態で口だけを動かし呟いた。

なんと悲しきことか。 なんと悔しいことか。

罪なき子を、ここまで追い詰めるのか。

まるで、まるで。

あぁ、まるで。

俺は大剣を天に掲げた。 瞬間俺達と戦艦の間に薄らと魔力壁ができる。 砲弾はその壁に当たってはその場で爆破する。 そんな騒音に負けずに、俺は。

まるであの日に戻ったみたいに。 絶望の淵にいる者たちへ言葉をかけた。

「俺が救ってやる」

まるで若返ったように。

「俺がこの剣で斬ってやる」

そうだ。 確かこんな日だった。 青空の下で壊れかけの壇上に登って。

「俺がお前達に平和を与えてやる」

いつでも人々は救世主を求めていた。 絶望的な状況下では、どんな過去を送ろうと必ず彼らは強き優しき味方を求めていた。

「だから待っていろ。 この命にかけて俺がやっつけてやるから」

そうだ。 あの日の誓いはまだ終わらない。 忘れてはいけない。 この強さの証を。

シンプルな簡単な言葉を並べて、俺は振り返り歩き出す。

そして、

「あ、そうそう」

あの日のような台詞をそのまま叫んだ、その瞬間懐かしい風景が一瞬だけ広がった。 壊れかけの壇上と壊れかけの王城。 絶望的な表情を浮かべる国民達や国王や姫。 後ろには長き道とそこにはかつての仲間達。 青空と優しく送り出すような風。 それを出しているエルフや精霊達。 敬礼をする騎士や絶望的な状況でも離れた所で遊び回っている子どもたち。

そして懐かしき風景はすぐに瞬きをするように消えて、目の前の半機械達に言った。

「俺ぁなんたって、元勇者なんだからなぁ!」

懐かしさ半分、恥ずかしさ半分、やる気満々。

そして、鎖は解き放たれたーーーーーーーーー

ガチャガチャ……

俺の周りには様々な装備が現れる。 光を纏いかつての装備が俺の体全体を覆う。

傭兵時代よりも前の頃、今となっては知る者がいるか分からない勇者時代。

そして俺の顔を覆うように最後の装備を装着する。 そして魔法を少し使い視界を広げる。

どうせ寿命はもう限界だ。 最後くらい夢を見るとしよう。

俺は自分自身に若返りの魔法をかけた。

「おやおや、とても懐かしい野郎がいるじゃないか」

いつの間にか斜め上の離れた所に立っている戦艦隊隊長。 俺は奴を一瞥して、停止中、否、服従紋に抗っている半機械達に手を翳した。

古代魔法、

「全紋解除、全治癒」

直後、半機械達の表情はだんだん喜びへと変わっていく。 きっと地上にいる半機械達も身体も治り喜んでいるだろう。

「離れてなよ」

そう言うと、半機械達は一礼して離れていく。

「おぉおぉ、お前はいつも通り正義の塊のような男だねぇ」

「そんなことどうでもいい。 早くやろうぜ」

そう言って大剣先を向ける。

「おっと、俺ぁいつもラスボスなのよ。 俺とやり合いてぇならこいつらをまず相手しな」

そう言って奴は指を鳴らす。 すると、三隻の戦艦が目の前に出現した。 他二隻は離れた所でネイチャンと交戦中だ。 と思った次の瞬間爆発音がする。 そして、

「私抜きはずるいわよ。 ってかあんた誰っ!?」

「お、俺だ」

「ほぉ二隻共破壊したか」

「役者は揃った。 始めようぜ」

俺は構える。 対して奴は口元を歪めた。

「そんなにぃ俺ぁと戦いてぇかいぃ……ならば」

奴がまた指を鳴らす。 瞬間、三隻が俺達を囲んだ。

「お望み通り俺が相手してやるよぉ」

どうやら三隻共奴が魔力操作等で動かしているらしい。

俺は大剣を構える。 かつての俺の装備達、今では神殺しの武具と呼ばれる一式を装着して。

ネイチャンも魔法陣を展開する。 頭上の歯車状の魔法陣の中心にある小さな魔法陣が燃え盛るように黒く光り輝いていた。

「今度こそ、お前を倒す!」

大剣を握りしめて跳躍をする。

「ソフィアの仇、今こそ果たす時!」

ネイチャンが敵へ手を翳す。

「さぁ来い弱者よ。 俺を楽しませてくれぇ!」

奴が魔力操作等で戦艦を操る。

「分かったよ」

「んんぅ?」

ドパッ……

俺がいた所には血飛沫が散る。

視界が流れる。 身体中が軋む。 そして……

血飛沫が散って地に着いた時には俺は元の定位置に戻っていた。

ネイチャンは驚愕に笑みを浮かべ、奴は静かに俺を見下し睨む。

「お前は俺を覚えてんだよな? ならこれも覚えてんだろ?」

直後、二隻の戦艦に斬撃と爆破と衝撃波の嵐が起こり、燃えるようにあつい光を放つ俺の魔力で作られた魔力の剣が数本様々な方向から二隻の戦艦に突き刺さっていた。

「勇者特有の初手技、戦地に帰ってきた英雄の技。 勇者の帰還」

「ぐっ……」

二隻の戦艦は力が抜けたかのようにボロボロな姿で墜落していった。

「これで楽しめるだろう?」

「すごいねぇロッカス、元勇者かい」

「あはは、黙っててごめん。 しかも若返ると話し方も自然に若返ってしまったみたいで。 でもネイチャンも、なんだいそれは。 その大砲でできてる翼は」

「あぁ、まぁ魔法だね」

「すごいね……」

「呑気なものだな」

睨みつけてきて威圧を放つ奴は。 殺気をおびただしいほど垂れ流していた。

「死ぬ準備はできているのだろうな」

「最初からもう生きれねぇ体だよ」

大剣を構える。

「もう充分生きたさ。 あとはお前だけ倒して終わりだよ」

魔法陣を描く。

地上はもう見るも無残な状況だ。 平和を望んだあの日の俺が知ったらどう思うだろうか。

まぁいいや。 もう、終わらせよう。

戦いは、もう御免だ。

読んでくれてありがとうございます。

伝説は、宿命。

次回、今は未来と過去の戦い。

次も読んでくれると嬉しいです。

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