表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半機械は夢を見る。  作者: warae
第2章
49/197

本当のこと

すいません、一日遅れました。

楽しんでいただけると幸いです。

地上に建物や人々は、上空での戦闘により落下した戦艦などに破壊され地獄絵図のような状況と化していた。 あちこちで火が立ち上り、悲鳴が耐えない。 早めにこの戦いを終わらせなければ犠牲者は増える一方である。 そんな中、2人の目の前には、五隻の戦艦が迫ってきた。

中心深部核都市エヴェン・トリディースの勢力は謎に包まれているものばかりだが、それらでよく耳にする一部の勢力が『戦艦隊』である。 基本的には核都市の防衛や事件の対処などを担っている。 その他にもいくつか勢力があるらしいが、今回の事柄はそこまでする必要が無いと判断したのだろう。 現に隊長率いる本隊がたったの五隻しか来ていないのだから。

「だが、それでも危機的状況には変わりない。 お前達はいったいこの状況にどう立ち向かったんだろうな。 最後まで見させてもらうよ」

深く被っていたフードを上げ、視界を広げる。 その場にあった椅子に座ってその光景が映る画面を眺めた。

「悲しそうですね。 大佐」

後ろで、ひとりの男が呟く。

「あぁ、見ていることしかできないことにね」

■■■

ロッカスside……

「来よったか」

「そうね」

目の前には五隻の戦艦。 黒よりの色の装飾と、所々パーツが違う所を見るあたり、先程の戦艦達とは何かが違うのは明らかだろう。

『あー、あー。 えー、聞こえているかね俺の敵よ。 今回は貴様らふたりのためにぃ、本隊から五隻、しかも隊長付きでお相手してやろうじゃないかってことになったのだ。 心してぇ、抗うように! わざわざこの隊長様が来てやったのだ。 即死なんてつまらぬ結果にしてくれるなよぉ?』

やはり戦艦隊の隊長がいるのか。 俺は声がする中心の戦艦を睨みつける。

「相変わらず、お喋り好きのようだ」

大剣を握る力を強める。

「ネイチャンよ。 先に周りの四隻を潰した方が良さそうじゃ」

「じゃあぁ、さっき同様半分ってことでいいのね?」

「あぁ」

俺は返事をしながら戦艦五隻を一瞥する。

「そうしよう」

台詞を言い終えると同時に空気を蹴り先程と同様東の二隻へと向かう。 ネイチャンも西の二隻へと瞬間移動をしようとしていた。 その時、

『待て待てぇい! こちとらすぐ戦艦やらせるわけねぇだろうがよぉ。 貴様らの相手はこれだ』

そのような声が空に響き渡り、四隻の戦艦のデッキから何かが勢いよく飛び出してくる。

『積めるだけ積み込んだんだ。 貴様らの相手はこの特別警備型戦闘兵器KD半機械人間だ。 そんでもって俺らは遠距離からの砲撃。 うーん、楽! そして俺らが勝つ!』

『作戦の全貌暴露しちゃ駄目でしょーが!』

『いや、どうせ負けないし』

『はぁぁ!? この馬鹿隊長め!』

『ば、馬鹿だとぉ!? 俺が約9割のゴミを回収するのを頑張ったというのにか!』

そんな会話が空に響く中、俺達へその戦闘兵器が数多く向かってくる。 まさかこれは、カインが言っていた奴らか……? 確かこいつらには無効能力が。

「ネイチャン! こやつらは能力の一切を無効にする能力を持っておる!」

「分かったわ!」

そう言うとネイチャンは瞬間移動をした。

■■■

ネイチャンside……


私は瞬間移動をして敵の前にいた。

「特別警備型戦闘兵器KD半機械人間、小さな子どもばかりを改造して服従紋を入れ兵器化された実験体。 あなた達に罪の意識はないのかしら」

すると目の前に二隻の内一隻の戦艦から声がする。

『よく知っているじゃないか。 なら話しは早いな、突撃しろ』

そのような指揮官らしき掛け声と同時に半機械達はこちら側へ押し寄せてくる。 虚ろの瞳で無表情な彼らは武器を片手に抗いきれない服従紋に従って迫る。

その突撃を幾度となく躱して、ただ魔力をねる。

『おいおい、避けてるだけじゃあつまらねぇだろーが! 砲撃を開始しろ!』

多勢の半機械達の攻撃を避けながら、砲弾も避ける。 その時、

ドカァァン……

「っ!?」

一体の半機械に砲弾が直撃する。 その半機械はそれに怯み傷を負うが、構わずこちらに突撃してくる。

「仲間じゃないの!?」

思わず叫んでしまう。 それでも無表情に迫る彼ら彼女らを無視することはできなかった。

『仲間ぁ? ゴミが仲間なわけないだろ? それにそんなこと気にする余裕はねぇだろ?』

その返答を聞いて歯を噛み締める。 やはりこいつらは、消そう。

空へ腕を伸ばす。 頭上に向けた手のひらを中心に魔法陣が描かれる。

それでも構わず迫る半機械達。 何発も撃たれる砲弾。

「時間操作魔法、時間停止」

直後、半機械達も撃たれた砲弾も全てその場で硬直した。 その後はピクリともしない。

どうやら古代の大魔法ならまだ半機械達には効くらしい。

『失われた大魔法、か。 大昔の大賢者か、お前は』

そんな焦り混じりの声が響く。

『いや、そういやどこかで見た顔だと思ったら、そうか。 ………お前、あの時の失敗作か』

「っ!」

焦りから笑いへと変わった声色で得意気に話す。

『なるほどなるほどぉ。 んじゃ何か? これは偶然だなぁおい。 まさかあの女を殺した隊長が、その親族と鉢合わせになるとは』

私はその言葉の意味の理解を無意識に拒んだ。 だからか、意識的に私は問う。

「あの、女? 殺した?」

視界が狭まる。 瞼が重く感じる。

『いい顔だなぁおい。 そうさ、あの女さ。 ソフィア・ミグ、ぐっ』

奴が台詞を言っている最中に魔眼で奴の居場所を特定し、奴の元へ瞬間移動しようとしたが艦内への瞬間移動を封じている魔法障壁が発動していたため、奴のいる指令室の窓の近くに瞬間移動した。 即座に隠蔽魔法と無音魔法を自分にかけ、ガラスに手を叩き付け指五本共ガラスを貫通し五つの穴を空ける。 そして指を抜いて、軽く身体強化を自分にかけて五つの小さな穴が空いた部分を殴りつける。 割れたガラスから腕を室内に入れ、奴と同じ空間に入れたことにより、更に魔法発動する。

「掌握」

室内に入れた片手に魔法陣が刻まれ血が滴り出る。 同時に嫌な感触が手のひらに現れる。 同時にふたつの魔法を解き、奴は自分の胸を抑えこちら側に気づいて振り向いた。 今私は奴の心臓を握っている。

「その名を、お前のようなクズ野郎が、口にするんじゃない」

そう言い奴の心臓握り潰、

ガチャッ……

そっと首を回し背後を見る。 そこには、私の頭を狙う砲口が頭の後ろにあった。

「なっ……!?」

「あはははっ! 死ねやぁ! ゴミがぁ!」

胸を抑えながら歪んだ口元を大きく開けて奴が叫んだ。 直後、砲撃が開始され砲弾が襲いかかる。 同時に心臓を手放し瞬間移動で戦艦から距離をとる。 先程まで私がいた所からは黒煙が立ち上っている。

『おいいい!! 避けてんじゃねぇぇよ! 俺が、ガハッ……く、食らっちまったじゃねぇか! ゴミがぁ……浮遊へと切り替えろ! あのゴミをなんとしてでも、グフッ……撃ち落とせぇ!』

空に奴の声が響き渡ると、戦艦の砲台が外れていく。 するとその砲台達は浮遊してこちら側に向かってくる。

『浮遊自動砲台開始だ』

砲撃をしながらこちらに向かってくる砲台。 私は急いで魔力をねる。

砲弾が迫る。 躱して次の砲弾に目をやった瞬間、横を通り過ぎようとした砲弾が私の横を通り過ぎる間際に起爆した。 瞬時に魔法壁を張るが、一枚だと難なく壊されてしまい、衝撃によって吹き飛ばされる。 すぐに体制を立て直すが、次は別な方向からの砲弾が襲いかかり、瞬間移動で間一髪の所で躱す。 奴の乗っている戦艦とは違うもう一隻の戦艦からの砲撃だ。

「くっ……」

まだ魔力をねるには時間がかかる。 だが、このままじゃ……

「………仕方ないか」

かつて私の片目。 まだいけるでしょ?

「時空転移」

その時、頭上の歯車状の魔法陣の中心にある小さな黒く光り輝いく魔法陣がその光を更に濃く輝かせた。 様々な力がその魔法陣に混濁していく。 そして一筋の黒い光の線が、誰にも見えない私だけが見える線が私を軸に、空高く伸びて、地に深く伸びていく。 それは星を軽く跨いでどこまでも続く一瞬の光景。 同時に砲弾が様々な方向から迫る。 だが時は既に遅く、もう私はーーーーーーーーー

瞼を閉じていないのに、私の視界は真っ暗だ。 なにも見えない。 自分さえも、何もかも。 だが、この暗闇はすぐに終わりを迎える。 すぐに瞬きをしたみたいに、視界は広がる。

視界が開けた瞬間、目の前には外に指令を出して怒鳴り散らしている指揮官らしき男がいた。 ここはどうやら指令室のようだ。

「おい! まだゴミ野郎は見つからないのか!」

『はっ! 未だ発見できておりません! ですが、まだ砲弾等時間が停止されている状態なので生きているのは間違いないかと』

「そんなことはどうでもいい! 速急に見つけて砲弾を撃ち込んでやれ!」

『はっ!』

「はぁぁ、いったいどこに行ったんだあのゴミ」

スッ……

「ゴミが何ですか?」

奴の後頭部へ手を翳す。 奴は台詞を途中で切り、体を一瞬硬直させた。

「は、話しをしようじゃないか、なぁ?」

「あらあら、自分の身が最も危険な時になると、そうやって自分の身だけは守ろうとするのですねぇ。 なんと愚かしい」

そう言うと奴の体を細かく震え始めた。 だがその震えはすぐに止む。 魔眼で外を透視して見ると周りには、少しづつ私を探索していた浮遊自動砲台が囲むように集まって来ていた。

「なら……ソフィアを殺したなどと言ってましたけど、細かく教えてくださる?」

外では完全に包囲されている。 だが指揮官が人質にされている以上、迂闊に動くことはできないだろう。

「な、なぁに、簡単な事さ。 うちの戦艦隊隊長様が直々にその女にとどめをさしたってことさ」

「っ!」

「お前も知ってんだろぉ? 悠々と語っていたぜ。 あの時本当はまだ生きていたんだよあの女は。 でも何かまずいことでもしようとしてたんじゃねぇか? よく知らないがその時起きた事件を最後まで見届けて最後に俺が殺したって語っていたぜ。 だからさ、お前も……死んじまいな!」

瞬間、砲弾の波がこの戦艦目掛けて襲いかかる。 目の前にはもう一隻の戦艦もいて、砲撃を繰り返していた。 主にここ、指令室を目掛けて。

だが、私はそれを瞬間移動で避けて、その攻撃を受けている戦艦の真上、上空にいた。 奴の後頭部を身体強化で高めた握力で握りながら。

「ぐっ……頭、が……」

「なぁどうですう? 空の眺めはいいだろう。 なぁ?」

そう言って奴の首から下に重力操作をかけて限界まで重くする。 すると頭と体を繋ぐ奴の首が悲鳴を上げる。

「あああああぁぁぁぁぁっっ!!!!」

そして頭に軽く魔法をかけて生命の時間を増やす。 後頭部を掴んでいる腕を勢いよく上に振り上げると首は重さに耐えかねて引きちぎれ、首から下の身体が落下していく。 だが、痛みはあるものの生命の時間を無理に増やしたから奴はすぐには死ねない。

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁっっっぁっぁっぁ!!!!」

奴の口からは少々血が混じった唾液しか零れない。 涙が鼻水が零れ落ちていく。

「私はね、無駄に執念深いんだ。 もう今じゃ、ガキみたいに、世界ごと恨んでいるんだよ。 それほど、大事な大切な場所だったんだ。 あの時間も、あの日々も」

私は奴の頭を持ったまま落下する。

「あああああああああああああああああああ!!!」

落下中に背中の魔法陣に魔力を流し込み集中する。

「創造、砲の翼」

すると背中の魔法陣は薄れ背中から重さの感じない巨大な大砲をいくつも連ねた砲の翼ができる。

そしていきなりの急ブレーキをかけ、その勢いで奴の頭を未だ攻撃をされている戦艦に勢いよくぶん投げる。 そして大砲の砲口を二隻の戦艦や浮遊自動砲台、ついでにまだ時間停止している砲弾に向ける。

そして大砲全てに全力を込めて、

「全砲撃、追尾粘着砲弾」

雨のように無数の砲弾を撃つ。

ドガガガガガガガガガガガガッッ!!

その雨は戦艦に当たっても爆発はしない。 ただくっつく。 逃げても追尾して敵にくっつく。 そして数十秒撃ったあと、魔眼で確認して。

ゆっくり降下しながら、

「私の敵になったんだ。 じゃ、死んでしまえ。 私の敵」

指を鳴らす。 直後、戦艦や砲台、砲弾に付いたいくつもの砲弾が大爆発を起こす。 そして半機械達との間に軽く魔法壁を作って爆風などから守る。 そして瞬間移動で彼ら彼女らを安全な場所へ移動させた。

そして、大爆発による爆煙が空気に溶ける頃、私は届かぬ謝罪と後悔と覆らない過去に今更の嘆きを心の中めいいっぱい叫んでいた。 かつての親友に。

あの時、お前は………………

私は転移でロッカスの元へ向かった。

読んでくれてありがとうございます。

ネイチャンは、知った。

次回、因縁再び。

次も読んでくれると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ