そして背を向けた
今回も少し長いです。
楽しんでいただけると幸いです。
振り返った。
遠くの戦場、爆発や斬撃の音と人々の悲鳴。
そんな戦場から聞こえてくるのは、けたたましいふたつの声。
仲間達も、黙ってそれを聞く。
今更、命をかけて救ってくれたこの命で、勇ましいその命を救い返しに行くほど愚か者はここにはいない。 彼らの意志を踏み砕くような真似をできる者は、ここにいない。
「早く、行きましょう」
静かな空気に、声を出したのは11546。
誰かが言い出さなければ、誰も動けなかったであろう空気を。
人ではない半機械人間である11546が打ち破った。 そんな発言に苛立ちを覚えたのか、ラッカーは11546を睨みつけようと彼女の方を見る。
だが、そんなラッカーの苛立ちはすぐに収まる。
「……すまねぇ」
「いえ」
11546の表情も、皆と同様、悔しげな顔だったのだから。
ラッカーは謝って、歩き出す。
「もう行くぞ。 あたいらは救われた側だ。 生きなきゃあいつら二人の戦いが無駄になる。 死んじゃならねぇんだ。 帰るぞ地上に」
仲間達はもう一度振り返る。 戦場を背に、ラッカーについて行くように、移動機械へ乗り込む。
「早く行くぞ、ルーダ」
「あぁ」
そう返事をして、立ち止まる。
私は、どうしても。 もう一度振り返らずにはいられなかった。
「じゃあな。 ロッカス」
そして、あの日を思い出して、
「じゃあな。 私の友だち。 ………ネイチャン」
移動機械へ駆け込んだ。
「酷いじゃないか、思い出させといてお別れだなんて」
もう一度振り返ってそう一言零した直後。
移動機械の扉は閉じた。
■■■
ネイチャン&ロッカスside……
『おやおやおや!? 消えちゃったと思ったら、とんでもねぇお二人さんが出てきたもんだなぁ! 俺ぁ勉強馬鹿でよぉ歴史もちったぁ知ってんのよぉ! で、なぁんで、こんな所にいんだァ? てめぇらぁ』
『マイク切っていいですかー』
戦艦からは、あの鬱陶しい声が鳴り響く。 それを聞いてもビクともしない二人。
『なぁぁんでぇ、まだ生きてるんですかい? 失敗作とぉ、神殺しの武具の所有者さぁん。 しかも大剣て。 冗談キツいっすよぉぉ』
「よく喋りますねぇ、あの方。 お喋り大好き野郎ですねぇ」
「そろそろ斬りたいんじゃが、良かろうか」
そう二人は呟き、ネイチャンは姿を消し、ロッカスは物凄い速さで跳躍して戦艦との距離を詰めようとする。
『おいおい、俺のお話中だろーが。 撃て』
戦艦が砲弾を撃つ。 跳躍したロッカスに一直線。
真正面、視界を覆い尽くさんとロッカスの目の前に迫る砲弾。 ロッカスは一度空中で跳躍の勢いにブレーキをかけ足に魔力を注ぎ込み止まる。 直後、迫る砲弾をロッカスは瞬時に砲弾へ背を向け空を蹴った。 砲弾を撫でるように上へ半円を描き飛んだロッカスは、すれすれで砲弾を背後に避ける。 ロッカスの頭は地に向き足は空へ向いた逆さまの状態に、戦艦は改造本部で見せた体当たりの勢いで船首から突っ込んでくる。 避けると読んで突っ込んできたらしく、ロッカスとの距離は短い。
「そう簡単にやられるほど」
ロッカスは大剣を真横に片手で構え、一閃。 逆さまの状態で大剣を振る。
「衰えてはおらんよ」
すると、斬撃は魔力を帯びて具現化し形となって突っ込んで来る戦艦を真正面から襲う。 船首の下辺りにその斬撃弾は入り、そのままスパリと戦艦を横に斬った。 そしてロッカスは体勢を立て直して空中に着地。
一方、姿を消したネイチャンはいつの間にか他の戦艦のデッキにいた。
ネイチャンの頭上を回る歯車状の魔法陣の中心の小さな魔法陣が黒く輝いている。
「せっかくだから、魔法の凄さをたっぷり教えてあげるわ」
その言葉に、デッキに集まって来た兵士達は一瞬怯むが、
「た、たったひとりでなにができる! 取り押さえろぉ!」
その言葉により兵士達はネイチャン目掛けて武器を片手に襲いかかる。
「無駄よ」
ネイチャンのその台詞と同時に兵士のひとりの武器がネイチャンの腹に突き刺さる。 反射的にネイチャンの口から血が吐かれて……
「ぐはっ……!」
武器を刺したはずの兵士の口からも血が吐かれていた。 そしてネイチャンは口から血を吐いていない。 刺した傷跡もない無傷な状態だ。 そして誰も触れていないのに、先程その兵士がネイチャンに刺した剣が、刺した兵士の腹に突き刺さっている。 兵士達も謎の状況に困惑しながらも警戒をして勢いづいた兵士達の足は止まっていた。
「これは逆転っていう魔法でねぇ、簡単に言っちゃうと立場が逆転になる魔法なのぉ。 そして、これが」
そう言って空へ片手を翳す。 途端に3つの小さく真っ赤な魔法陣が手のひらに出現する。 それはまるで踊るように回転しながらネイチャンの手のひらの上を回っている。 そして、その片手は手首まで侵食されるように黒く染まる。
それがなんの魔法なのか気づいたのか、兵士達の奥にいた偉そうな人が声を張り上げる。
「それはまさか禁じられた魔術!? お前ら、今すぐ奴を捕らえろ! いいや、殺せ! 奴を早く殺せ!」
急かされるように兵士達が動き出す。
そして望遠鏡でも使って見たのか、両側真横から隠密魔法を展開して接近していた他の戦艦2隻も姿を現しこの戦艦目掛けて急接近して来る。
だが、
「もう遅いわ」
黒く染まった片手で、手のひらで踊る魔法陣3つを握り潰す。 途端に戦艦の周りに無数の魔法陣が四方八方に戦艦を球形に囲むように現れる。 そして完全に隙間無く囲んだ後に少しづつ圧縮していき、最終的にネイチャンがいた戦艦合わせて3つの戦艦が限界まで圧縮され続けた。 そして砂粒くらいにまでなった時、握り潰した手のひらを開けると、そこには先程の魔法陣の中に小さな戦艦が閉じ込められていた。
「どうですかぁ? 禁術の封印魔法のひとつである圧縮封印は」
そう言ってまた握り潰す。 今度はバキバキと何かが砕ける音がした。
3隻の戦艦を倒しても、まだ周りには警戒態勢の戦艦が何隻もいる。
ネイチャンは転移を使いロッカスの横に戻る。
「親玉を倒すのが無難でしょうねぇ」
「じゃがすぐに首取れるほど相手もヤワじゃないじゃろう」
「まぁ準備運動は完了したしぃ、どうしましょうかぁ」
そんな会話を聞いていたのか、目の前の親玉が乗っているであろう戦艦から声がまた響く。
『おいおいおいおいぃぃ! なぁに勝ってる気でいんですかい? まだこちとら負けてないんでさぁ、これからでしょーが! 分かったよ、お前らたった二人だからと侮っていた俺が悪いんだろぉ? 全艦隊は無理でも本気ぐれぇこの俺様が出してやるよぉ! お前ら時間稼ぎくれぇはしとけよなぁ』
『ちょっあれやるんですか、この区域には移動機械もあって、できれば壊したくないのですが』
『スウィッチ』
『っ!! し、知りませんよ……まだお父上はおられるのですからね』
慌ただしい音声が響き渡る。 同時に他の戦艦の雰囲気がどこか緊張感を漂わせている。
「……まさか」
「どうしたのじゃ、ネイチャン」
何かに気づいたらしいネイチャンに問いかけるロッカス。
「やられたわ、艦隊長の気配が消えた。 たぶんどこかへ移動したんだと思うけど。 追わなきゃ倒せないわね」
「ふむ、ならばこそ、早めにこれらを片付けたい所じゃな」
そう言って剣を握る力を強めるロッカス。
「東の半分はロッカスに任せるわ。 西の半分は私がやる」
「……御意」
鋭い目付きに変わり、二人は左右へ別れた。
■■■
ロッカスside……
東。
跳躍した俺は真っ先に近くの戦艦に斬り掛かる。
「砲撃用意を待つほど優しくないんじゃよ」
横からデッキを真っ二つ。 半分になった戦艦は爆破を起こしながら悲鳴と共に墜落していく。 それは下の街に落下して更なる爆発を生む。
その様子を一瞥しながら心の中で謝罪をし、俺は次なる標的に目線を向ける。
その時、数発の砲撃が開始され砲弾がこちらに迫ってくる。 一発目の砲弾を横に躱し、その寸前、真横を通り過ぎようとした砲弾に大剣を突き刺して、大剣を橋がわりに自分の魔力を砲弾へ通す。 そして爆発を自分の魔力操作で止めて大剣の先端に砲弾をくっつけた状態にした。 更に魔力を流し込み砲弾の外側を何重にも魔力壁を作りだす。
「なっ!?」
相手戦艦の方から驚きの声が聞こえた。
俺は、砲弾を先端に付けた大剣を振り回し、次々来る砲弾を破壊させていく。
「やはり斬撃対策ばかり施したせいで、このようなハンマーのような武器には対応しておらんかったか」
剣や魔法ばかりが主流になった今、斬撃対策ばかり考えてきたのだろう。 しかも相手は下っ端という立場だろうし、良い砲台ばかりが取り付けられた戦艦じゃないようだ。
そして砲弾の勢いが止んだ瞬間、一回転して大剣の先端に付けていた砲弾に繋いでいた俺の魔力を切り離し、遠心力で相手の戦艦目掛けてお返しする。
「と思わせて」
相手は自分達に向かって来る砲弾を、同じ砲弾で対処しようと砲撃する。 その向かって来る砲弾の後ろに俺がいることを知らないで。
ドカァン……
砲弾と砲弾のぶつかりにより爆発が起こる。 魔力壁を作っていた俺には無傷で、爆煙の中から戦艦に向かって飛び出す。
「いつの間にっ!?」
そんな相手の声を無視して、大剣の剣身を肩に乗せて戦艦のデッキへしゃがみ込むように着地。 同時に大剣を持たないもう片方の手を床に着き。
「魔力伝達」
床に着いた手から、戦艦全体に自分の魔力を流し込む。 それを瞬時に行い、魔力操作で戦艦を分解させる。 途端に戦艦自体が大きく揺れ始める。 そして少しづつ崩れて崩壊していく。
「なにをっ!」
「どうせ下に落ちるのじゃ。 できれば被害を小さくさせたいと思っただけじゃよ」
そう言い残し残りの戦艦へと飛んだ。
だが、やはり戦艦隊なだけある。 いつの間にか俺が分解させた戦艦を取り囲むように戦艦が円を作っていた。 砲口は全て中心の俺に向けられている。
「ほぉ……このような景色を見るのはいつぶりじゃろうか」
懐かしみながら、傭兵長の頃を思い出す。
「撃てぇぇぇ!!!」
どこかの戦艦から声がする。 同時に四方八方の戦艦から砲撃される。
そんなことお構い無しに、深呼吸ひとつ。 そして目を見開いて、
「威圧」
それは幾千の戦いの中で身に付けた絶対的勝者の自信。 傲慢に似た最強が為せると言われる技。 いつの日かの頃、その技ひとつで弱小軍隊程度なら一度で決着が着くほど。
そうして、砲撃により撃たれた砲弾はその場で止まってしまう。 まるで砲弾だけ時間が止まったよう。 そしてその場で爆発。 呆気にとられた相手は一瞬の隙を作ってしまう。
俺は足に魔力と力を込めて。
瞬間、
ドパッ……
中心、俺がいた所に小さな血飛沫が舞う。
俺の視界では景色が瞬間を刻んだ。 その瞬間で肩と肘と手首が荒ぶり、握力が磁石のように増幅する。 腰が震えて、歯がギシギシと軋り合い、膝や足首が暴れ馬のごとく動いた。 足は着地と跳躍を繰り返して地と空中を行ったり来たりする。
そして秒後、もう一度中心に戻り爆発の爆煙が風に吹かれる時には、周りを囲んでいた戦艦は、忘れていた感覚を思い出すように。 爆発と血飛沫をお祭り騒ぎのごとく刻んでいった。
俺の片頬はほぼ血に染まり、大剣と大剣を握っていた腕、手は血の色に染まっていた。 大剣を持たないもう片方の手も血と油で汚れている。
俺は今、両足に魔力と力を限界まで込めて持てる力を全て使い切る勢いで空気を蹴り、目の前の戦艦に入り、戦艦にいた従業員等を全て大剣と左手で殺し、戦艦の中や外をめちゃくちゃにした。 それを時計回りに瞬間的に全ての戦艦に行った。
魔力や力を込めすぎたせいで、空気を蹴ったスタートの時に足の負担がオーバーして血が吹き出したらしいが。
「やはりこのやり方が手っ取り早いのぉ」
その後、斬撃の傷跡を無数に負った囲む戦艦達は、乗組員が全員死亡したせいでただの落下物になった。 それも見越して、全ての戦艦に自分の魔力を伝達させて魔力操作で先程のように分解もさせといた。 それにより、落下物となった戦艦は少しづつ崩壊していく。 粉々に分解されていく戦艦達は、そのまま雨のように下の街に落ちていく。
「やはり歳じゃな。 わざわざ分解せねば粉々にできんとは」
■■■
ネイチャンside……
西。
瞬間移動で相手の戦艦の一隻の前に立つ。
すぐに砲撃してくる戦艦に対して溜息ひとつ吐き、口角を軽く上げる。
「魔砲撃光線」
迫る砲弾に手を翳す。 直後手のひらを中心に巨大な魔法陣が展開し少しづつ小さくなるよう魔法陣を何重にも重ねる。 すぐに手のひらサイズの魔法陣になるまで重なり、砲弾が直撃する寸前にはその先端の魔法陣から高魔力の光の線が放たれる。 その線は迫る砲弾と戦艦を一直線上に貫く。
「クソ! 忌々しい禁術使いめ! 砲弾の雨を降らせてやれ!」
頭上高くから声がする。 見上げると四隻程の戦艦が横に傾け砲口を下に向けて砲撃してくる。 数十もの砲弾が降ってくる。
「避ければ下の民が死を見ることになるぞ! さぁどうする!」
得意気に上空で声を張る相手に、少し苛立ちを覚える。
それでも核都市を守る戦艦隊なのか。
「そんなに禁術が見たいのかしら、禁術使いなんて呼んじゃってぇ」
頭上の魔法陣の歯車が回り始める。 そして眩い色を放ち魔力を高めていく。 不可能を可能に変える歯車、中心の黒い小さな魔法陣が更に色濃く染まる。
指を鳴らす。
「無重力」
直後、砲弾の雨は勢いを無くし空中に漂い始めながらゆっくり落ちていく。 上空の戦艦も不安定に飛んでいる。
次は、そうだな。 あの星にでもしようか。
更にもう一度指を鳴らす。
「引力操作」
途端に砲弾と上空の戦艦四隻は物凄い速さで更に上空へと飛んでいく。 まるで何かに吸い込まれていくように。 それもそのはず、戦艦と砲弾は、とある星の引力に反応し作用するように魔法をかけたのだから。
「うわああああああああああああああああああああああ!!!!」
悲鳴と共に戦艦と砲弾が空の彼方へ消えていく。
それを見送っていると、視界の端から何隻かの戦艦が猛突進でこちらに向かってくる。
砲弾が無効と分かっての選択だろうか。
「捨て身での攻撃なんて、虚しいだけよ」
上空、先程空の彼方へ消えた敵戦艦のいた空へ手を上げた。 指にはいくつもの魔力の糸らしきものが姿を現す。 それはただただ上へと繋がっていて、
「引力操作」
さぁ、戻ってきんしゃいっ!!
ぐいっとその手を振り下ろす。 すると先程と同様物凄い速さで戦艦と砲弾が船首を地に向けて落下してくる。 もちろん焼けて消えないように私の魔力でコーティングしてある。 その魔力は戦艦内全体にも張り巡らせていて、
「魔力操作!」
魔力で戦艦を操り、落下中にも関わらず砲口を横に向けて、突進してくる戦艦目掛けて砲撃した。 その時の砲弾も威力を数倍上げて、確実に敵を破壊する。 ことごとく仲間の砲弾で落ちていく戦艦達。 役目を終え地に落ちる戦艦も、共に落ちてきた砲弾で粉々にする。
「おのれぇ……まるで遊ばれている気分じゃわい……これも何もかも使えぬ下僕共が」
「ねぇ」
落ちていく戦艦の中、まだ喋り足りないのか指揮官らしきただの老いぼれの目の前に瞬間移動する。
「お、おおぉう……なんだ貴様! 死にに来たのか! 哀れなゴミめ!」
「ねぇ、民を見殺しにしようとするようなクズは死んだ方がいいと思うのだけれど」
「民ぃ? はははっ、今更なにをっ! 貴様も数多く殺したではないか! やはりゴミはゴミのように死ぬ運命なのだよ!」
空高くから落下中の戦艦内で、よくもまぁこんな戯言を言えるものだな。
昔の記憶が脳裏に蘇る。
「そんなクズが上にいるから………ソフィアは死んだのか」
「んんぅ? ソフィアぁ? あぁ、そうか……貴様はあの失敗作の」
奴の腹に手を当てる。 するとジュウウと奴の腹から何かが焼ける音がした。
「ぐぁぁ! なっ、何をした! 貴様ぁ! んっ!?」
やっと気づいたのか。 身体を動けなくする魔法を密かにかけておいたのだ。 そしてそれが気づかれぬように、首からしたの感覚など神経を遮断させ、錯覚魔法をかけておいた。
「死への呪い……もし生き残れたとしてもあなたのこれからの人生は、悲惨で残酷な死へ進むだけの痛みと苦しみの人生を進む、運命を司る魔法のひとつよ。 最期まで苦しみなさい」
絶望の表情へと変わり始める奴は、すぐに口元を歪ませた。
「ならば、この命断つのみだ。 ははははっ、俺は来世でゴミ共を蹴散らせば良い話じゃあ!」
「あら、そう」
そう言って奴の額に手を添えた。
「永劫呪縛」
再度ジュウウと何かが焼ける音。 奴の額に刻印が刻まれる。
「来世だろうと逃がさないわ」
そう言い残し瞬間移動でロッカスの近くへ移動する。
「このゴミ風情がぁぁぁ!!!!」
奴の怒号を最後に、戦艦は地に落ち大爆発をした。
「ネイチャン……」
ロッカスが気まずそうに声を掛けてくる。
「分かってる。 最後は全部私に任せなさい」
そう微笑み返し、前を向く。 少し離れた場所から一隻を四隅に取り囲むように五隻の戦艦が向かってくる。
あれが全部ではないだろうけど。
「来たか」
ロッカスが剣を握り直す。
戦艦隊の本隊。 最初に消えた戦艦に乗っていたであろう戦艦隊長もきっといるはず。
「これが、最期ね」
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???side……
「見送れなかったから。 勝手ながら見送る義務を果たしに来たよ」
フードを深く被り、仲間を置いてひとり。
その光景を眺めていた。
読んでくれてありがとうございます。
ふたりの最後の戦いが始まった……
次回、再会。
次も読んでくれると嬉しいです。




