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半機械は夢を見る。  作者: warae
第1章
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1日目が終わって

今回でやっと異世界に来て1日目終了です。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

「そういえば、後半は話になかなかついていけなかったなぁ」

ルーダ博士との話の後、11546のスリープ状態を解除して、3人でこれからのことについて話していた。

「あれでも、相当細かい部分を省略して話したんだがな。 お前さんはバカだなぁ」

泣いた後だからだろうか。 落ち着いた感じで俺をバカにしてくる。 仕方ないじゃん。 異世界知識難しいもん。

「随分と博士とエルトさんは親しくなったようですね。 なにかあったのでしょうか」

「特に何も起きちゃいねぇよ。 なぁ?」

ニヤリと口元を歪ませ、言うなよ?と圧をかけながら俺に視線を送るルーダ博士。 大丈夫です、言わないです。 何をされるか分からないからな、あんな馬鹿力だと。

「あ、俺はエルト。 呼び捨てでいいよ。 パートナーになるみたいだしさ」

「そうですか。 では、エルト、これからよろしくお願いします」

機械じみた一礼をして挨拶をする彼女に、俺も反射的に礼を返す。

「お、お願いします」

彼女は俺に機会じみた笑顔を見せた。 どこか、なにか引っかかった。

「んじゃ、自己紹介等いろいろ済んだし、ちょいと2人での初仕事を受けて貰うよ!」

俺と彼女の間に割って入って、元気にそう告げる博士。 こんなにいきいきして、一体何歳なんだろうか。

「仕事?」

「そう、仕事だ! まぁ最初は簡単なのからいくぞ。 ここは一応ガースラーって奴の別荘的な所でもあるんだが、私らからすれば隠れ家だ。 そんでガースラーも、あんまし金がねぇってことだから金稼ぎのためフリクエ行ってこい! 明日から」

「フリクエ?」

「フリクエ、フリークエストの略称です。 フリークエストとは、ギルドに登録していない者でも受けられるクエストとなっています。 報酬も出ますが低賃金で難易度も簡単なものから、たまにお金をあまり持ち合わせていない依頼者が出す危険なものまで、様々なクエストがあります。 基本的手順は、依頼をこなし依頼書を依頼人に渡し、依頼人の確認後、報酬を得て完了となります。 フリークエストなので、横取りや奪い合いなど少々問題点が普通のクエストより多いのが難点です 」

淡々とフリクエについて教えてくれる彼女に俺は静かに耳を傾ける。 横では、うんうんと頷く博士。 要するに、何でも屋みたいな感じかな。

「まぁ、そういう感じだ。 見た限りだとフリクエも知らねぇみたいだが、どんな所に住んでたんだエルトは」

初めて名を博士に呼ばれて、一瞬ビクッと反応する。 さて、どうしたものか。 普通に日本の事でも話そうか。 いや、誤魔化そう!

「遠い所ですよ……あははは」

冷や汗かきながらも、苦し紛れに誤魔化す。 誤魔化すことが下手だと俺も自覚している。

「なんか怪しいなぁ。 それにしても誤魔化し方が下手すぎだぜ」

「言い返す言葉もない……」

■■■

夕飯を食べた俺は、その後博士に連れられ空き部屋を一部屋貸してもらい、ベッドで今日の疲れをとっていた。 今日は精神的に疲れた1日だった。

いきなりの転生から始まり、機会じみた少女といきなり出会い、この世界の機械知識を省略しながらも長々聞き、いきなりパートナーになってくれと泣きつかれ……異世界転生1日目がやっと終わろうとしている。

だが、いろいろ引っかかる。 特に、機会じみた半機械人間の少女だ。 まぁ明日からパートナー開始なわけだし、無駄な考えは持たないよう努力はするが、やはり彼女はどこか、生きてるように感じる。 馬鹿言ってるみたいで機械に何思ってんだと自分でも思うが、彼女は、なんだろうか。 上手く言い表せない。 もどかしい。 とりあえず、この世界の知識をある程度知らなきゃ何も始まらない。 どうせこれからはこの世界で生きていくわけだし、これも何かの縁だろう。 一生パートナーってのは、なかなか考えつかないが、今はこのままでいこうか。 その内冒険者とかやってみたりなぁ。 なんて。

そんな風にひとり考え込んで、静かな部屋でひとり眠りについた。 気づいてるからな、扉の先に誰かいるのは。

■■■

鳥の鳴き声がしなく、代わりに機械音で俺は目を覚ます。 寝惚けた目を擦り、覚醒中の意識の中、窓に手をかけた。

「あれ、開いてる……?」

意識が大体覚醒し、窓から顔を出し外の空気を吸って深呼吸をする。 頭上からの日光に新鮮さを感じる。 あぁそうか。 ここ地下街だったな。 周りを遠く見渡すと、街を覆いかぶさるように天井になっている上の地面には、所々大きな穴が空いていて、そこから陽の光が差し込んでいるみたいだ。 雲の切れ間から差し込む陽の光を思い出す。 そんな思考を巡らせている背景には、先程からずっと鳴り止まぬ機械音があった。

「う、うるせぇ……」

寝起きの頭に、鋭く入り込むその音に、俺は思わず2度寝へとベッドに近づいた時

「おはようございます。 本日も良い朝ですね」

営業スマイルのいうな笑顔で挨拶をしてくるのは、今日からパートナーになる11546こと機械じみた少女が扉の前にいた。

「うおあぁ!………いつからそこに……」

「窓から顔を出されていたあたりからですが。 気が付きませんでしたか?」

全く気づかなかった。 気配を消せる機能でもあるのか……。 しかも寝起きの行動をそこまで見られていたのか。 ひとりだと思って、久しぶりの良い朝だな的な雰囲気で朝を迎えていたのに……。 まぁ、機械音のせいで、そんな朝は夢と共に消えたが……。

「では、参りましょう。 朝食の準備が完了していますので」

「お、おう……」

固いなぁ。 今日からパートナーになるわけだし、せめて口調でも女の子風に直して貰わなきゃな。 なんか話しづらいというか。 距離を縮めづらいしな。 そういや、ちゃんとした名前とかないのかな?

そんな朝を迎えて、俺は機会じみた少女の後をついて行った。

■■■

「口調ぉ? 名前ぇ? はぁ?」

なんだその人を苛立つためだけの顔と、3連発の嫌味みたいな言い方は。 早速、ルーダ博士に頼んでみた結果がこれである。 うん、腹立つ。

「なんすか、その面倒くさそうな態度は」

「なんすかじゃないよぉ。 そういうのは、ほら……お前さんが決める、教える!三原則!」

「三原則なってないじゃないか……」

耳元で教えてくる博士に軽いツッコミをいれる。 やはり、この事は彼女にも教えたくないのだろうか。 てっきり、ほとんどのことは知っていると思ってたんだが。

「今日は比較的簡単なクエを幾つか選んだから頑張りなよ。 あと今日の目標は、今お前さんが言ったことを解決してくること! それがパートナー! うん!」

おう、なんだか人任せにされたような、面倒事を押し付けられたような感覚がするぞ。

「おーっと、もうこんな時間か! よし、私はいつも通り開発や実験などの時間だからいくぜ! あとは頑張れよ11546! 愛してるぞぉぉぉぉぉぉ…………」

叫びながら奥の部屋へと逃げるように走り去っていく博士。 てか俺は? あんなに人任せ的な空気を俺にぶつけといて、俺に頑張れの一言もないのか? いやまぁ、言って欲しいとは思ってないけどさ、片方だけとかはちょっとなぁ。 と、横を見ると彼女は、走り去った博士の方に静かに手を振っていただけだった。 人間らしい反応が無いぶん、機械のように見えて仕方なかった。


読んでいただきありがとうございます!

次回はパートナーとして11556のデータが更新……?

次も読んでくれたら嬉しいです!

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