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半機械は夢を見る。  作者: warae
第2章
36/197

きっと誰もが望んだもののために

今回はとても長いです!

楽しんでいただけると幸いです。

ルーダside……


涙も止まり、気持ちが落ち着いてきた。

今は目の前にいるあの子の友達と共にここから脱出しなければいけない。

「カイン達と合流しなきゃ……」

「しかし、この死体達は核都市にある本部地下へ移動中なのですから相当困難だと思われます」

「本部!?」

全然気づかなかった。 ていうか、これ動いてたのか。 泣きすぎてよく分からなかった。

「じゃ、じゃあ本部から抜け出さなきゃいけないのか……」

「そうなりますね」

さっきから何も無かったかのように話す彼女も、ついさっきまでは感情を表に出していたのだ。 お互い、悲しみに打ちひしがれてる時間はもうないことを感じていた。

そう思って何か策を練ろうとしていたその時、

ズドォォォォーーーーー

「っ!?」

「天井より更に上から何かを放出した音が聞こえました」

すぐに彼女は分析を始めている。 どうやら天井の上は空間になっているらしい。 誰かがいるのは確かだ。

そして少し時間が経った後に、

やめろぉぉぉぉーーーーー

次は誰かの雄叫びが聞こえてくる。 いや、この声は……

「え、バーオリー!?」

なにが起きてるんだ!? いったいこの上で、なにがーーーーー

嫌な音が響き渡る……

その時、天井にヒビが入った。

■■■

カインside……


ミカロとの交戦後、俺は地下へ進むにつれて何体もの特別警備型戦闘兵器と出会った。 2体目以降は、バーオリーとビーダも参戦してなんとか今のところ全ての戦闘兵器を解放している。 さすがに2人に怪しまれないように体を隠すのは難しくなってきた。

今となってはもう、下半身と上半身半分の内側は完全な機械と化しているのだから。 いつ外見もそうなるか分からないし、全て全知の能力で保っているから、今この時でも力を使い続けている。 じゃなきゃ俺は人間ではなくなってしまうから……

「へっ、内側はもう機械なのに人間って……」

ボソリと呟く。

「どうしたカイン」

「気合い入れっぞって言ったんだ。 気にすんなっ」

「おいカイン、次が来たっスよ」

そこに現れたのは、

「おうなんだ、もうラストステージか」

「待ちかねたぁぁよぉぉおおおお!!! カァイィンン!!」

変わり果てたグリンだった。

「うわっ! 気持ち悪いっ!」

反射的にビーダが感想をこぼす。

そりゃあそうだ。 そこに立っているグリンは、一回り大きくなっていて、巨大な肩からは4本の腕が生え、それが螺旋に絡まり手が4つ付いた異形な腕が出来上がっていた。 胸には禍々しい紅い光を光らせている装置が埋め込まれていて、胸の半分が機械であると誰が見ても分かるほど酷い有様だ。 首には四方から杭のような物が刺さっていて、顔面の皮膚は頬辺りが引きちぎれていて機械の骨が見えている。 目は狂気に満ちていた。

「それになんすか、あの足は!」

グリンの下半身もぐちゃぐちゃにチューブなどが絡み合っていて、まるで瓦礫や様々な部品でできた不格好なドレスのような姿に変わっていた。 内側の足は全くと言っていいほど見えず、まとわりつくのチューブはうねうねと触手のように動いている。

ラスボス感漂うグリンが、俺達の目的地である死体のベルトコンベアのに続く扉の前で行く手を遮っていた。

俺は変わり果てたグリンを見て、反射的に能力を使い何があったのかを知る。

全知よ、過去を見せろ!

更に集中し、神経をとがらせて能力を使う。

するとーーーーー


『やめろ、やめてくれぇ! 俺は、俺はまだやれる!』

『すまないなグリン、上の出した結論なんだ』

数人に取り押さえられ、どこかに連れていかれるグリンの姿が見える。

『君の失敗に命を奪うのをやめ、君から人間を奪うことにしてあげたらしいよ。 感謝しなよ』

『誰が感謝するかぁ! これじゃあ、俺もあの化け物みてぇに』

『理性をその内失い、暴れまわるだけの獣になるんだ』

グリンの表情が青ざめる。

『でもいいじゃねぇかグリン。 お前は』

2回目なんだしよーーーーー

その直後、視界が変わり続けるーーーーー

『兄弟には手ぇ出すんじゃねぇ……』

立ちはだかるグリンと、それを見て口元を歪め笑う大人。

『あああああああああああああああああああああ!!!!』

雨降る中、ひとつの生首の目の前で、地に伏せ叫ぶグリン。

『神様よ、いるなら我らを救たまえ!』

廃墟と化した教会の中、ボロボロの剣で敵に立ち向かうグリン。

『やめてくれ……もう、もう、もう聞きたくねぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』

激しく音を鳴らし鎖を引きちぎろうと、鎖に繋がれた四肢を暴れさせるグリン。 その先には、ひとりの小さな女の子が機械に貫かれた瞬間があり、近くの地べたには小さな男の子と女の子の死体が転がっていた。 その少し奥では、口元を抑えられ捕まっている少し年上な女の子がいて……

『こんな俺がいたからっ! こんな俺が生きてたからっ!! あいつらは、死んだのか!? なぁ答えろよグリン! てめぇが殺したも同然だろーがよぉぉぉ!!!』

鎖に繋がれ台の上、誰もいない部屋の中でひとり怒りと悲しみの嵐の中、誰にも届かない嘆きの声を叫んでいた。


「あぁそうか」

「なにがすかカイン! 今この状況でよく冷静な声色で話せますね!」

恐怖に足を震わせながらもバーオリーは俺に言ってくる。

でも、そんなことはお構い無しに俺は語りかける。

「お前も一緒かよ。 あの子達と」

刀を構える。 狂ったようにグリンは笑い続けている。

ギャハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!

「今、楽にしてやる」

身体大強化、超最大級。

右足を一歩。 左に向け重く重く踏み込む。 踏み込んだ周りに重力がかかったかのように、俺の周りに少しだけのクレーターができる。

「バーオリー、ビーダは後方より遠距離攻撃の援護を頼む。 身の危険を感じたら離れてくれ」

そう言って、返事も待たずに神経をとがらせて集中して。 体制を低く低くし。

「死ねよぉ」

グリンが俺の方向に手を翳す。 すると勢いよく下半身のチューブが6本くらい俺に目掛けて様々な軌道で向かってくる。 その途中で、チューブの先端部分が鋭い棘に変わる。

そして俺に当たる寸前に、俺は床を蹴る。 俺はチューブの伸びてる中間の真下に着地。 俺の元いた場所には6本の大きなチューブが突き刺さっている。

「死なねぇ、よっ!!」

頭上、真上に一閃。 チューブ6本を斬り落とす。

「ギャハッ!」

「っ!」

斬り落とした直後、グリンが笑う。 瞬間、自分が今立っている床に違和感を覚える。 だが、もう遅く床からチューブが数本突き出す。 押し上げられた床と共に俺は宙を舞っていた。 俺はすかさず重力操作を上手く使い、宙を舞う砕けた床を蹴ってグリンへ近づく。 そんな俺を落とそうと、チューブを何本も伸ばす。

「バーオリー、ビーダ!」

「うーっす!」

「了解!」

そう言って、彼らは魔力の弾を何発も撃つ。その弾にチューブは次々に砕け散っていく。

「行けそうっスよぉ! カイン!」

「全部ぶっ壊すぅぅ!」

2人が頑張っている間に、俺はグリンに更に近づこうと走る。 たまに来る流れ弾を刀で斬りながら。

「ドでけぇ下半身だな。 俺が壊してやるよ」

紋章が浮かび上がる。 右手を軽く握り、

「全知よ、最強は我なり。 悲劇の役者にして罪を背負いし人を捨てた怪物よ。 不細工なその足はもう前に進まぬと知れ。 さぁ、吸い込め。 闇へ葬る宇宙(そら)の渦!」

天に手を掲げ、手を開く。 その手のひらには黒い渦のようなものがあった。

「ブラックホール!!!」

その手を前に突き出す。 すると、グリンの下半身のチューブや瓦礫などがどんどん手のひらの黒い渦に吸い込まれていく。

だが、それでもグリンの顔からは笑みが消えることはなかった。

「ありがとよ」

グリンの下半身は、チューブが無くなり普通の人間と同じ姿だった。 だが、何故か包帯が何重にも巻き付けられていた。

「これですこししはたたかいやすやすいいぜぇぇぇええ!!」

壊れた滑舌でグリンは叫ぶ。 と同時に姿を消す。

「っ!?」

「こここここ」

背後から声が聞こえ、瞬時に振り返り刀で防御体制に入った直後、背後から強い衝撃を受ける。

「ぐふっ!」

正面から壁に激突。

おかしい、壁までは相当距離があったはず。

「なんすか今の!」

「グリンは瞬間的移動を可能にさせたらしいな」

口から零れる血を拭い、グリンを見る。 奴は笑っていた。

「そこまで壊れて尚戦うか、グリン!」

斜め上に跳躍し、グリン目掛けて刀を振り上げる。 そして、思いっきり掘り下げ、

ガキンッ

その刀は、異形の腕、4つの手に受け止められていた。

「なぁ、この間の威勢はどうしたよ」

こいつ滑舌が……ってことは正気を取り戻し、

「オラァ!!」

また同じ壁の方向に投げ返される。 上手く受身をとり壁に激突は免れる。 まずい状況だ。 グリンが正気に戻ったということは、あの力の扱いが俊敏になるということ。 手強さが増した。

「あの時は怒りでどうにかなっていただけだ。 今は冷静だよグリン」

「そうかそうか、ならあの時みたいに怒らせればいいんだなぁ?」

いっそうグリンの笑みが歪んだ。 なら俺も笑い返してやる。

「俺の真似かぁ? カイン、お前に俺が殺せるか?」

「うるせぇよ。 グリン、もう眠る時間だ。 さっさとその瞼ぁ閉じやがれ!」

2人同時に床を蹴る。 目の前には、さっきのチューブで空いた穴。 それを飛び越える途中で、グリンが眼前に迫ってくる。

「行くぜ……」

ごめんな、ルーダ。 バーオリー、ビーダ。 ミーマ、ラッカー、ネイチャン、ロッカス。

もう時間が無いんだ。 限界はもうとっくに迎えた。

俺はまだ死ねないけれど、そろそろ終わりも近いし、こんなものを道連れに幕引きにしよう。

グリン、てめぇがどんな過去を送ろうと犯した罪は消えねぇ。 でも、俺も同じ立場なら、必ずと言っていいほど、同じ道歩んだだろうな。

あぁ、長かったな。 とても、いい。 やっといける。

全知よ。 最後と共に。 我と同調(シンクロ)せよ。

シメセ……

生まれ、罪を背負い、線を見て、夢見た夢、ただ歩き、君を見つけ、抗えと、我が命ある限り叫ばん!

その時、世界は速さを遅くする。 一時の王が目覚めた祝福に、せめてもの演出をと。

『最後の時だ。 グリン、お前さんで最後としよう。 眠るまで子守唄でうたおうか」

顔の約半分が紋章の色に埋まり、身体半分は完全なる半機械と化していた。 瞳には虚ろと小さな輝きが朧月のごとく薄らと写っている。 刀も所々機械化していた。

『まずは、今までの怒りを」

拳を固め、人の右手で殴る。 それと同時に世界は元の速さを取り戻す。

ズガガガガガガッ

床を削り転がるグリン。 仰向けになってその転がりが止まるころには、グリンの目の前には。

『やっと来たか」

刀を突き刺そうと、なにもない宙で垂直に立ち構えた。 刀を持つ右手を動かす。 直後、瞬間的移動で、俺の後頭部後ろに移動したグリン。 だが動きは読めているから、右手を後ろに真横に振り、俺の頭を床に叩きつけようと肘打ちに動きを転じたグリンの肘を柄頭で相殺させ、更に力を加え押し上げる。 一瞬グリンは怯み、次の一瞬でビーダを狙いに走り出すのが見えた。 即座に、グリンの目の前まで移動し、機械の左膝で顔面目掛け膝蹴りをくらわす。 かすりはしたが、ギリギリでそれを避け後方に移動。 俺は追い詰めるように、高速に一回転して刀を真横に振る。 反射的に出たグリンの左腕を斬り落とす。

『逃げないでくれ。 お前さんの兄弟に会わせてやるから」

「なっ!?」

瞬間、距離を詰めグリンの喉元へ刀を突き刺す。

『あばよ」

直後、

グシャァァッ

俺の溝をグリンのもう片方の右手が貫いていた。 血飛沫が飛ぶ。

「…………こうだ。 こうやって俺の妹は殺されたんだ! 分かるかっ!? こういう風に兄弟全員が俺の目の前で殺されたんだ!!」

喉を突き刺した筈なのに、何も無かったかのように声を発するグリン。 涙を浮かべ嘆く。

その姿は淡い光に包まれ始めていた。

「こうだこうだこうだこうだ、こうだ!! こうやって、死んで死んで死んでぇぇぇぇ!!! ジョーリィ! ムム! ギャヌメル! カース! フラウェ! メール! サンディ! オーラル! エンベー兄さん! フェル姉さん! 皆ここで殺された!!」

血を吐きながら嘆き続けるグリン。 これが今まで抱えてきた本心だろうか。

「オラァァ!!」

そのまま腕を真横に振り、俺を吹き飛ばす。 飛ばされる直前に刀を握り、抜く。 血が宙を舞う。 俺はすぐさま宙で体制を整え着地。

「憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い!!!!!」

グリンは憎悪を口にする。

俺はその姿を見て戦う気を失せていた。 刀を鞘に戻す。 まるであの姿は。

『あぁ、随分と大家族じゃねぇかよ」

グリンは高く飛び、空中で両手を上に掲げる。 その途端に、肩から生えていた腕4本が絡まるのをやめ、解き両肩から4本の腕が掲げられる。

「てめぇをころ殺してぇ 終わりだぁぁ!!」

急速にエネルギーがグリンの頭上の上に溜まっていくのを感じる。

ギュオォォォォ……

『バーオリー、ビーダ、逃げろ」

立ち尽くし続ける2人に言う。

「ははっ、冗談キツいっスよ。 変わり果ててもカインひとり置いていけないっスよ……」

バーオリーはそんなことを言ってるが、ビーダは黙って俺を見続けている。

その後、ビーダは一度頷き、

「死ぬなよ、ほら行くぞバーオリー!」

と言って、バーオリーを無理やり引っ張って逃げていく。

「ちょっ!? ビーダ、何言って……」

2人の姿が見えなくなると同時に、俺も両手を、グリンに翳した。 手首と手首を横に合わせ手をグリンに向け開く。

「ギャハッハッハッハ! 悪くないない判断だぁ!」

どんどんグリンの頭上のエネルギーの玉は大きくなっていく。 それと共に少しづつ台詞もおかしくなってくる。

『もう終わりにしよう」

さっきから俺の頭の中では、救った多くの特別警備型戦闘兵器となっていた少年少女達の声が走馬燈のように響き渡る。 偶然か、まさかその中にグリンの兄弟のひとりフェルがいたのだ。 でも見た目は少女だったから、きっと成長を無理に止められたのだろう。 そのような成長を止められたと思われる者達は救った直後、光に包まれて溶けるように姿を消す。

「さぁ死のうぜぇぇぇ!!」

巨大なエネルギーの玉を自分に落とし、そのエネルギーを収束させ纏う。 そして俺に向かってくる。

まさか、最後の攻撃が自爆とはな。

『全知、全能。 嘆く罪人に解放を、眠りに着く時。 暖かき日々過去なりて、悲劇は傷を刻みすぎた。 来世へ幸あれ、いつの日か。 さらば、今こそ断罪を!」

グリンが俺に触れる直前に、それは発動する。

ズドォォォォ!!!

淡い光と共にエネルギーを吸う。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


プツンッーーーーーー


白い世界。 世界が切り替わったようなそれは。 視界に写る全てが白の世界にいた。 そして俺の目の前には、見知らぬ人。 姿は影でよく見えない不思議な人がいた。

「おやおや、我は邪魔かな」

フッとその人は消える。

『なんだ……ここは」

困惑してる俺の背後、後ろから声が聞こえる。 振り返るとグリンが俺に背を向けて立ち尽くしていた。

グリンの見ている先には、数人の子供たちがいた。

「あ、あ。 ああぁ、あぁ!」

泣きながら。 まるで、迷子になった子どもが親を見つけたみたいに。 駆け寄る。

近づくにつれ、壊れたグリンの姿は浄化されていくように溶けだすように、光と共に姿を変えていき。

子供たちを抱きしめるグリン。

「「「「「おかえり! グリン兄!」」」」」

「「「おかえりなさいっ! グリンお兄ちゃん!」」」

「「おかえり、グリン」」

男の子5人が、女の子3人が、男女2人が、口を揃えてグリンの帰りを迎える。

「お、お前らぁぁ……」

泣きだしてしまうグリン。 俺はその光景を離れた場所から眺めていた。

「おかえりなさい、グリン。 疲れたでしょう?」

「おかえり、グリン。 さぁそろそろ行こうか」

奥から更に夫婦らしき男女2人が彼らに近づく。 まさかあれは。

「お母さん、お父さん………っ!」

そこに、壊れたグリンの姿はもう跡形もなく消えていた。 グリンというひとりの人間の姿がそこにはあった。

「ただいまぁ!!」

その後、グリンは弟達や妹達に手を引かれ、いつの間にか現れていた白く濃い霧の中へ消えていく。 その時、ひとりの女の子が俺の方へ振り向き、

「お兄ちゃんを助けてくれて、ありがとうっ!」

と笑顔で言い残し消え去った。 あれは、フェルか。

「あれは、グリンという者が頑張ってきた結果だな。 貴様の抱えるそれもいつか報われるといいな」

いつの間にか隣に、さっきの不思議な人が立っていた。 まさか俺が全然気づかなかったとは。

すぐに距離をとり警戒する。

「なにもせんよ。 さぁ、そろそろ貴様も戻りたまえ」

そう言い、指を鳴らした瞬間、世界が切り替わった。


『っ!?」

いつの間にか、元の世界が視界に広がっていた。

『なんだったんだ……あいつとあの世界は……」

まぁいい。 それよりも最後の仕事だ。 あとは、俺を殺せば終わる。

刀を自分の腹に突き立てる。

『うおおおおおおおおおおおおお!!!」

残りの全魔力やエネルギーをグリンを参考に自爆へ動かす。

「ちょ!! カイン、なにしてんすか!!」

「カイン!!」

その時、バーオリーとビーダが帰ってくる。 なんてタイミングが悪いことか。 だが、それでも構わず俺は刀を自分に刺す。

『ぐぅぅぅ………!!!」

「やめて! カイン!!」

2人が走ってくる。 近づけないよう俺は結界を発動する。

「カイン、なんすかこの壁は!!」

「結界だバーオリー! この結界ぶっ壊してカインを助けるっぞぉぉ!!」

流石はビーダだ。 だがこれはお前達じゃ壊せない。

『じゃあな、お前ら。 ルーダによろしくな!」

俺の腹では、刀を中心に俺にヒビが入るように亀裂がどんどんついていく。 そこから血飛沫が飛び散り、俺が少しづつ死に向かっている様子に2人の結界を叩く手は更に荒くなる。

「やめて、やめてよ! カインー!!」

「やめろぉぉぉぉ!!!!」

いつものボーイッシュなビーダからはなかなか聞けない女の子らしい台詞と、響き渡るバーオリーの叫び声が俺の選択に悔いを残しそうになる。

お別れだ。 さようなら、ルーダーーーーー

『全知、全能。 自壊滅爆」

途端に体中の亀裂が光り、俺を中心に火柱のごとく光の柱を生むほどの大きな縦の爆発が起こる。

その空への光線は全てのメンバーが見ていた。

「ついに始めおったか、カイン」

それを見てロッカスは小さく呟く。

■■■

ルーダside……


ヒビが入ったと思った瞬間、目の前に光の柱ができる。

「すごいエネルギー量です。 魔力量も見た覚えがないほど……」

彼女がそれを見て感想を言う。

「なんだ、これは!?」

そして、その光の柱は薄く細くなっていった。

「11546! この現象はいったい」

そう問おうした時、

「ルーダ様、あそこに誰かいます!」

そう指さす方向を見る。

「っ!?」

さっきの光の柱の中心付近にはひとりの男が立っていた。 顔を斜め上に上げ、瞼を閉じ眠っているような傷だらけの顔。 腹には刀が刺さっていて、その柄を握り締めている。 その刺さっている刀を中心に亀裂が体中に広がっていた。その亀裂からは静かに血がゆっくり流れている。

上半身の服は破けていて、体の半分は機械化していた。 所々破けているズボンもよく見ると両足とも機械化している部分が覗かせていた。

見覚えのある顔。 久しぶりに見た顔。 達成できるはずもない目標を叫んでいたそれは。 いつも隣にいたそれは。 最悪な形で再会してしまったお前さんは……

「カイン……?」

呼ぶその名は、静かに問いかけるように。 確かめるように。 終点である改造本部の地下で寂しげに響いた気がした。


そこには、傷だらけの変わり果てたカインが立ち尽くしていた。

読んでいただきありがとうございます!

次回は、ルーダとカインとの再会!

次も読んでくれたら嬉しいです。

(次回の投稿は来週にしたいと思います)

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