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半機械は夢を見る。  作者: warae
第2章
24/197

さぁ、作戦開始だ

ついに作戦が始まる……(サブタイ通り)

楽しんでいただけると幸いです!

「奪還作戦を開始する。 行くぞ!」

カインの掛け声がかかり、各メンバー達は行動に移った。

作戦会議から3日後、特部に奇襲をかけている最中だ。 相手側は機械兵の部隊をそこら中に監視という理由でうろつかせている。 作戦内容は、まずビーダとミーマは各メンバーへの情報伝達や他のメンバーの情報を伝えたりする。 その他にはグリン室長の監視や監視カメラの画面を使い状況報告などをする。 バーオリーとラッカーとネイチャンは突撃班。 目立つように敵を薙ぎ払い注目を集める。 ロッカスはビーダミーマ姉妹の防衛にあたっていて、カインは他のチーム達と動きながら指示役をしている。 そして私はと言うと、奪還班である。 突撃班が注目を集めている間に、少女の奪還をするのが私の役目。 だが特部にも手練がいるらしく、私が特部専用の部屋に入れたら、後から突撃班からラッカーが来る予定だ。

「だがバーオリーは魔法が少し使えるとして、ネイチャンは戦えるのか?」

まぁカインが言うには、ドSだから戦力になると思う、なんて言ってたし大丈夫か。 とにかく先を急ごう。 時間は限られている。

カインが言うには、少女はもう改造されて半機械になっているかもしれないと言っていた。 だが可能性はゼロじゃない。 まだ生きている可能性にかけて今こうやって走っているんだ。 あの子の笑顔を守るんだ。

「大丈夫だ、まだ生きてる、まだ生きてる!」

自分に言い聞かせるように、焦る鼓動を落ち着かせる。 この作戦が失敗したら手遅れになるのは確定してしまう。

「お願いだから、死なないでくれよっ」

更にスピードを速めるが、すぐにそれを落とす。

ガシャン……

「あの突撃三人衆め……全滅できてねぇじゃねぇか」

遠くでは戦闘音が鳴り響く。

ガシャンッガシャンッガシャンッガシャンッ

4体の機械兵が私に迫ってくる。 そして先頭にいた一体が飛んで向かってくる。 腕を振り上げる動作を見て、拳の位置から殴ってくる起動を予測する。 直後、予想通りの動きをする機械兵の腕を手の甲で弾き、機械兵の重心を横を流し、その流れに沿って体を回転し回し蹴りを顔面の頬に直撃させる。鈍い音と共に壁に激突。 だが本部から送られてきた機械兵だけあって頑丈らしい。 凹んだだけであまり支障は無さそうに見える。

「クソ本部が!」

何かを考える暇などなく、続けて2体の機械兵が襲い掛かる。 さぁて、どうしたものか、なっ……!?

「ねぇねぇねぇ、もういんじゃないかい?』

時が止まる。 過去の自分が、語りかける。 歪んだ笑みを浮かべて。

「だ、駄目だ!」

その過去の自分を振り払おうとするが、私は近づいてくる。 鼻と鼻がつきそうになった時、私は顔を横にずらした。 そして私は私に更に近づく。

「体が動かねぇ……!」

口と口が合わさる直前で止まる。 見開いた『あの日』の自分が私に語りかける。

「戦うなんて性にあわないだろう? 私らがやっていたのはなんだ? もう一度戻るだけ、今だけだから、ねえ。 しかも相手は機械、生き物じゃない。 慈悲なんて、いらない、よ』

瞬間、なにかが入り込むように、気持ちが切り替わる。

「そうだな、これは仕方ない事態だし相手が相手だ。 ちょっとだけ、戻ろう」

瞼を閉じて、見開く。 すると途端に止まっていた時間は動き出す。

さぁ、殺ろう。

襲い掛かろうとする2体を無視し、壁に激突した機械兵の腹を飛び蹴りを入れる。 直後、その機械兵が足を掴もうと両腕が動き始めたので即足を引っ込める。 そして空振りした腕が交差した所に蹴りを入れ、そのまま足をどかさずに両手で機械兵の頭を鷲掴みにして、足で胴体を壁に押し付けて、無理やり首と頭をちぎり離す。

「頑丈だなぁやっぱり」

機械兵の頭をボールのように蹴り飛ばして、向かってくる2体の内一体の顔面にぶつけ怯ませ、片方の機械兵の横からの剣の攻撃を、体制を低くして躱し足を蹴って転ばせる。 転ぶ瞬間に、相手が持っていた剣を強引に奪い取り、転んだ機械兵の頭を突き刺す。 そのまま縦に機械兵を真っ二つに斬る。

「さすがの斬れ味だぜ」

両断された機械兵を見下ろしながら真横に一閃、剣を振る。 すると先程、頭をぶつけられ怯んだ機械兵の頭が吹き飛んだ。 だがまだ少し動けたらしく四肢を削ぎ落として行動不能にする。 直後に脇の下の間に、思いっきり剣を刺す。 すると背後にいた4体目の機械兵の胸に剣が刺さり、後方へその機械兵はよろめいた。 その隙に、距離を詰め高く飛び左手は顎、右手は頭の上をがっしり掴んで、強烈な膝蹴りを顔面の横から攻撃する。 その後、瞬時に体を捻り、握力や腕力を使い床に一切触れず相手の頭を軸に縦回転して、背後に回り込み、足を腹の方まで回し背から落ちないよう固定して、頭を両方横から鷲掴みにし膝蹴りをした方向に回転させ、首を捻り頭を落とす。 その後床に着地、それでも動く首無しの機械兵がこちらに振り向く。 突き刺したままの剣を握り、相手が腕を伸ばしているのを無視し真上に振り上げ、真下に振り下ろす。 先程倒した機械兵のように、縦に両断された機械兵は無残に後ろを倒れた。

「いい剣だな。 本部の監視機械兵でもここまでの武器を持たせるのか。 んじゃ貰っておこう」

剣を片手に私は先を急ぐ。

落としたインカムに気づかずに……。

■■■ ■■■


カインside……


「なに? ルーダが応答しないだと!?」

俺は今、他のチームメンバー達と、生贄の檻へと向かっている途中で見つかった機械兵と交戦中だった。 生贄の檻には数は分からないが相当多い人数の生存者がいるらしく、それら全員を解放するのが俺達の目的だった。 そんな中、ルーダの応答が無いと言うのは予想外で、どう対処したらいいか迷った。 が、すぐに答えは思い浮かぶ。

「みんな! 聞いてくれ! 仲間がどうやら連絡がつかないらしいんだ。 今から俺はそこに行く! みんなはみんなで生贄の檻に行き、生存者を助け出して欲しい! どうか頼む!」

そう叫ぶと、様々な場所から声がする。

「あぁ、行け行け! ここは俺らで十分だ!」

「任せときな! 絶対助け出してやるよ!」

「今まで見て見ぬふりして来たんだ。 最後までやりきってみせるさ!ここにいる者は全員同じ気持ちだぜ」

「仲間を優先しろ! 我々が後のことはやる。 安心して仲間の所に行ってくれや!」

「外にいる医療班の女性達にも連絡しといてやるよ」

いいからさっさと行きやがれ! とみんな口々に言う。

そうだ、ここの改造所で働くほとんどの人間がこの仕事に嫌気がさし、罪悪感が積もりに積もる日々を送ってきたんだ。 言わば、今この瞬間は今まで溜め込んでいた、やり場のない気持ちを力に変えられる瞬間。 罪滅ぼしができる唯一のチャンスなのだ。

「ありがとうみんな! 行ってくる!!」

俺は背を向け走り出す。

加速、加速。 加速! 加速!! もっと早く、なにか起きてからでは手遅れだ!

「今こそ、頑張って習得した魔法を使う時! 身体強化ぁ!」

魔力が全身に染み渡る感覚。 肉体が強化され、体が軽く感じる。 即効で力をコントロール、制御し上手く操る。

「ルーダ……」


数分後。


4体の機械兵が無残に倒されている場所に着く。

「ビーダ、ここら辺か? ルーダが居る場所って」

『あぁそうだ! ずっとその辺から動いていねぇぜ』

そう言われても、辺りにはルーダどころか人の気配すらない。 ということはインカムを落としたのか?

辺りを探すと、床にルーダが付けていたインカムを発見する。

「ビーダ、ルーダはどうやらインカムを落としたらしい。 今俺が発見した」

『やっぱりかぁ。 どおりでずっと動かねぇわけだ』

「ルーダが生きてる可能性は十分にあるが、現在位置や状況が分からない以上、これから俺はルーダを探して、見つけ次第共に奪還へ俺も行動を移す。 この事も一応全員に報告しといてくれ」

『うっす! 了解だ!』

元気のいい返事だ。 今の所、ビーダミーマ姉妹は安全らしい。 他のメンバーも何かあれば連絡がくると思うし、大丈夫と思っていいだろう。

「今はとにかく、ルーダだ!」

俺は奪還への道を走り出す。

■■■ ■■■

「ここか……特部専用の部屋へと続く道ってのは……」

一本道がこの先にあるらしいが、その扉の前には今までの機械兵よりも強そうな機械兵がいた。

「あたいらでも太刀打ち出来ず一旦退くのがやっとだった。 どうする? ルーダ」

「私ひとりで殺る。 3人は邪魔する他の機械兵が居たら片付けといてくれ」

「おいおい、それは無謀な考えッスねぇ。 俺ら3人でも無理だったんすよぉ?」

「バーオリーの言う通りですぅ。 と言いたい所なんですが、ルーダ。 なにかありました? 雰囲気がとてもじゃないけど違うように感じるのですけどぉ」

「確かに」

「ほんとっスね」

疑いのような目を向ける3人。

「ちょっとだけ、本気を出してるだけさ。 行ってくるから邪魔だけは、すんなよ?」

疑いの目を潰すように、少し、ほんの少しだけ偽りの殺意を込めて一瞬睨む。

ビクゥッ!

3人が同時にビビり出す。

「ごめんごめん、まぁ待っててよ」

どこからどう見ても、監視機械兵ではない機械兵に、剣を片手に歩き出す。

今この瞬間だけは断言できる。 少女を助け出したいという想いより、こいつをぶちのめしたいという想いの方が強いと。

読んでいただきありがとうございます!

次回はゴール目前での戦い……!

次も読んでくれたら嬉しいです!

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