はじめまして
ついに初のご対面。
今回は前回より少なめになりました。 次回はどうなるか分かりませんが……
楽しんでいただけたら幸いです。
話し声? 誰だ? 誰かいるのか?
ガチャ
体が動かない。 俺は今拘束されているのか? 何故だ。 俺はいったいなにをしたんだ。
「うっ……」
「おや、目を覚ましたようです」
聞き覚えのある声が聞こえる。 思い返される、あの時の光景、機会じみた少女を思い浮かべた。
「さぁて、尋問の時間だよぉ」
次に聞こえた声は、初めて聞く声だった。
「尋問じゃないです。 いくつか質問をするだけですよ」
内心ホッとする。 ありがとうございますと、まだ全く知らない赤の他人に礼を思った。 だからもう、この目隠しは取ってもいいんじゃないかな? 暗くて、何も見えないんだが。
「さて、君はどこから来たんだい? ここらでは、見たことがない顔してるが」
外してはくれないんですね……。 さて、どうしたものか、ここは日本と答えるべきか。 だが、日本を知らない可能性の方が高いだろうし、下手に言ったら何をされるか分からない。慎重に考えて、俺は口を開いた。
「ここではない、遠くの世界からやって来た。 目を覚ましたら、あの崖にいて俺にも何がなんだか分からない」
ここは真実を話すことにした。 こういう時は嘘がつきづらい。 緊張してしまい声は微かに震えた。
「どうだ?」
「嘘はついていないようですが、とても緊張しているのが伝わります」
「そうか……なら次は、名と年齢、あと何ができるのか言え」
疑問形から命令形に切り替わり、怒らせてしまっただろうかと、無意味な思考を巡らせた。 名前か、普通に言っても怪しまれそうだし、略したりしてみた方はいいか。
「名前は、エルトです。 年齢は18だと思います。 できることは、やってみなきゃわからないかと」
普通に下の名前を言っていることに、直後に気づく俺。 あーやってしまった。
「なるほど、なんでもできんのかい」
その解釈はおかしいと思う。 なにやら怪しげに笑う声がする。
「ならやることは決まったなぁ外人さん。 あんたには」
スパッ
暗い視界に一筋の光が刻まれる。 直後、目の前の暗闇は静かに落ちて、視界が徐々に広がる。 そこには不気味に笑う白衣を着た女博士みたいな人と、崖で会った機械じみた少女がいた。 え、今なにで切った?
「ここにいる11546の面倒をみてもらうよ?」
と、隣の少女を指さして言った。 呆然としている少女、俺もただただ困惑するしかなかった。 11546?
「待ってください。 いきなり見知らぬ人間につけと言うのですか。 私はただただ驚き、困惑しています」
「見知らぬではないだろう。 たった今知り合いにはなれたじゃないか。 おっと、私はいつもの開発があるんで退席するよ。 あとは若いもんで頑張ってくれ」
何故か嬉しげに笑いながら、博士?みたいな人は奥の部屋へと姿を消した。
「…………」
まだ困惑をしているのであろう彼女は、その姿を無言で見送った。 うん、今がチャンスだな。
「て、手錠外してくれませんか?」
■■■
質疑応答の時間から、一時間後……
「なんか、すいません」
手錠の鍵を見失い、少女と共に、手錠をかけられたままの俺は鍵を探して無駄に時間がかかってしまった。 おかげで普通に会話できる空気ができたのは良かったが。
「いえ、こちらこそ先程はすみませんでした。 手錠や目隠しをしてしまい」
やはりそうだ。 何度聞いても、どこか機械じみていて人造人間かなにかだろうか。
「自己紹介が遅れましたね。 私は『11546』の半機械人間でございます。 そして先程のもうひとりの方はルーダ博士です。 私が彼女に助けられた時かたの縁で、ここに居させてもらっています」
「半、機械……?」
ただただ唖然していた。 単に驚愕していた。 驚きが隠せず、開いた口はいっこうに収まらない。 言われてみれば、確かにそれなら気になっていた全てが解消される。 だが、そこに新たな疑問が生まれた。 半機械人間……言葉がそのままなら、もう半分は……普通の、人間?
「あの、11546と言うのは……」
「はい、『11546』とは単に製造番号のことです。なので私は11546号という事になりますね。 ですが、これは噂話からの情報ですので信憑性には欠けますが。 実際のところ、本当かどうか分かりません。 最新の情報からすると、私よりも遥かに高い番号の機械人間もいるようですから」
なら、それはきっと製造番号ではないんだろうな。
「他に質問はありませんか?」
「じゃあ、あっちの方にある浮かんだ島の上の都市みたいな所って、あれはなんですか」
「敬語は使わなくて大丈夫ですよ。 時期にパートナーとなるのですし」
パートナー!? えっと、パートナーってこの世界ではどういう意味を表すんだろう。 気になる……。
「あそこは天界都市『クロスピア・ヘヴンズ』という大都市です。 唯一あそこから、中心深部核都市『エヴェン・トリディース』に向かうことのできる、地上では最も大きな都市でもございます。ですが、あそこに行くのは反対します。 あそこは権力と実力の完璧者ばかりが生きる息苦しい場所と博士から聞きました」
なるほど、絶対行きたくない場所だな。 それにしても、この星は核部分にも都市を築きあげているのか。 どんな技術してるんだ、この世界は。
「星の核に都市って、すごいことすんだね。ここは」
「星? ここは星じゃないですよ。 天界と言って、天にある世界のことです。 確かに、夜空を見れば、無数の星々が張り巡っていますが、ここはそれとは違うのです」
は? なにを言っているんだ。 まさか世界の歴史中にこの世界が星だと気づいていないのか? なら太陽は、朝と夜はどう説明するんだ。 ずっと天界だと、今でも思い込んでのかい、この世界は。 俺は地球の常識とはまた違う常識を目の前にして、新たな世界に来たんだと、強く実感した。
「そのようなことも知らないとは、ずいぶんと遠くから来たのですね」
彼女の作りめいた笑顔に、なにか心にくるものがある。 聞かなくては、と本能が囁くように、俺の口は次の問いのため動き始める。
「半機械人間と言うのも初めて聞いたよ。 半機械ってことは、君は昔人間だっ」
ガッ
突如、その場にいなかったはずのルーダ博士が眼前に現れ、俺の口を右手で塞ぎ、左手で後ろの襟を引き上げ、軽々と俺を肩に乗せ走り出す。
「ぐぇっ!」
「すまねぇな!11546、スリープ強制発動」
すると、半機械の少女の瞳が虚ろになり、眠るように瞼を閉じて座り込む。 その後、体重を上手く支えられなかったのか、前に倒れてしまった。 体柔らかいな、なにでできてるんだ。
「ちょいと、こっちで私と話そうぜ」
俺は、なされるがままに運ばれていった。 眼前に現れた時の、ルーダ博士の苛立ちの目は何を意味していたのだろうか。 そして何より、さっきの話題に入る瞬間の少女の表情が、何故だか頭から離れない。 何かを失ったかのような、空っぽな表情。 もし彼女が普通の人間ならば、あそこで涙を流していただろうと、自分でも不思議に思うほど、そんな想像がしっくりきていて。 あぁ、なんか俺気持ち悪いな、なんて思ってしまうのだった。
読んでいただき、ありがとうございます!
次回は、博士とお話しするところからです。
また読んでくれたら嬉しいです!




