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半機械は夢を見る。  作者: warae
第1章
13/197

戦闘開始

今回は戦闘が始まります。

楽しんでいただけると幸いです。

機械街グランド・ロボヘルツの南大門近くに行くと多勢の避難する住民と冒険者や参加者達で混雑していた。 だからと言って、今俺はシエルの提案した、屋根を伝っての移動中だった。 シエルに手を引かれ、落ちないよう気をつけて走ってはいるが、やはり怖い。 下には虫のようにうじゃうじゃしている人々。 緊急事態だということを俺は再認識する。

「南大門見えてきたよ! エルト」

シエルが走りながら目的地らしき門を指をさして言った。 比較的南よりだった隠れ家からは近い位置だったのだろうか。 いつの間にか目的地が見えて俺は内心、やっと屋根から降りれると安堵していた。 戦いはこれからだが。

「よし、ついに戦う時が来たのか!」

俺の台詞と同時に屋根から降りる俺達。 門前には、武器を持ったたくさんの人々がいた。

その他にも続々と集まってくる冒険者や参加者達。 皆戦闘経験豊富で強そうだ。 そこに戦闘経験皆無の初心者の俺がいていいのだろうかと、場違い感を感じる。 するとひとりの男が目の前の壇上に上がり出る。

「うむ、えーこの度はこの緊急事態の時に逃げもせず勇敢にも、ここに集ってくれて感謝する。 私は機械街グランド・ロボヘルツの南区を取り仕切る、まぁ名だけの責任者である。 これより行うのは、突如南方より現れた魔獣族の大群を討伐することだ! 今現在も奴らはこの街に接近している! これは街の危機である! どうか力を合わせ、この危機から街を救って欲しい。 君達だけが頼りだ! これより、時間短縮のため簡単に人数を分ける。 遠距離による攻撃ができる者達は高台へ、中距離の攻撃ができる者達は門を出て門に沿って、近距離攻撃の者達は門を出て更に前に出てくれ! 君達の戦いが、この街で生きる全ての人間の命運を決める。 報酬はしっかり用意した。 絶対に、死守せよ! 以上! 皆行動せよ!」

うおおおおおおおおおおおおお!!!!

四方八方から雄叫びが鳴り響く。 俺はきっと近距離だから壁の外か。 シエルはどれだろう?

「ん? 私も近距離だから外だよ! 早く行こっ」

「おう、そうか」

周りは知らない人だらけなので、近くにシエルがいてくれるのなら心強い。

そして俺達は門を出て、自分達の持ち場につく。 ふぅ……緊張するなぁ。 死なないよう頑張るか。 すると

「そういえばエルト、四角い銀色の持ってない?」

シエルが俺に質問してくる。 こんな状況でも戦闘経験者は慣れていると緊張も何もしないのか。 いつも通りに聞いてくるものだから、反射的にそう思ってしまった。 俺はポケットの中身を漁り、それを取り出す。

「これがどうしたんだ?」

「それ起動させてエルト。 まだエルトは初心者だし、それには様々な機能があってそのうちのひとつに防具装備があるから。 で、その装備は初心者向けで戦い方のシミュレーションデータが事細かく記録されていて、どんな状況でもある程度は戦えるから。 ……って博士が言ってたよ」

「博士かよ!」

でもすげぇな。 そんな万能な機械も作れるのか博士は。 でもそれって

「俺戦ってなくね? それ」

「うん。 簡単に言うと博士のあやつり人形になるんだよ。 だってデータ打ち込んだの博士だし」

おぅ……なんと無責任な。 これじゃ何やってもいいじゃないか。 だって自分は傷つかねぇしなぁ。 俺はそのシュミレーションデータに命預ける訳になるのか……怖っ!

「でも安心してエルト。 普通の一般的なシュミレーションデータ内蔵装備はたまにミスがあったりして対魔獣族とかには危険だけど、作ったのはあの天才ルーダ博士なんだから」

おぉ、シエルが博士を褒めている。 この場に本人がいたらどんな反応をするだろうか。 そうか、と俺は適当に起動と言ってみた。 その瞬間、

「うおっ!」

キューブが砕けたかと思ったら、いきなり溶けて地面に落ちる。 液体状になった得体の知れないものは、最初に俺の足を包み込み固まる。 直後、俺の体中から防具が姿を現し、気づいた時には俺は装備が完了していた。 見た感じ聖騎士とかが着てそうな装備だが戦いそれをこの世界の機械風にアレンジしたものってことか。

『シュミレーションデータ起動プログラム確認、標的どうしますか』

「えーと、あの魔獣族殲滅をよろしくお願いします!」

え、シエルが言うの? 体は俺だよ?

『承諾、魔獣族標的確認、目標殲滅了解致しました』

承諾しちゃったよ。 俺の意思は聞かないのね。

「んじゃあ、そろそろ戦う準備をす」

『了解。 本人の意思の決意表明を確認。 シュミレーション起動開始します』

「え? ちょ待っ」

直後、俺の意思と体が切断されたかのように、どこにそんな力隠していたのかと自分でも思ってしまうほど、操られる俺の体は放物線を描くように高く飛び、空中で双剣を背中と腰の鞘から抜き、群れの中に着地する瞬間に双剣を高く掲げ両剣で振り、群れの中に切れ目を入れるように、数体の魔獣族を見事に両断した。

『後退を要求する。 抵抗するのならば、容赦なく斬り捨てる』

「もう斬ってるけどね……」

だがその言葉に帰ってきたのは沈黙だった。 いきなりの突撃に後ろにいる他の人達は口を開けている。 魔獣族の奴らも呆けた様子。 そして襲い掛かってくる。 うおっ、やべぇ!

「おいおい、なんだあのガキは! 俺達も行くぞ!」

「いきなりの単独突撃とは恐れ入ったな。 どこのギルド所属だ?」

「見ねぇ顔だな。 新人か?」

「なら、とんでもねぇ新人が入ったもんだなぁ」

「まぁそれより」

「「「「「あのバカ野郎に続けぇぇぇぇ!!!」」」」」

誰がバカだこの野郎! あと戦ってんの俺じゃなくプログラム上の人工知能さんだから、俺じゃないからね! なんか罪悪感のようなもの感じる。

「さすが博士だねっ!」

真実を知るシエルが俺の傍に来る。 あぁ、心強い。 シエルがいると安心するな。 んじゃ行きますか! 人工知能さんが。

『殲滅開始』

すると俺の体はあやつり人形のごとく勝手に動き出す。

腰を低くし、右手を伸ばす。 構えからして俺は川辺での水切りをイメージした。 そして直後、素早く順に、上半身が腰が肩が動きだす。 そして腕に力が入り真横に振った。 直後、手を離れた剣は、回転がかかりブーメランのように円状に飛んでいく。

ズバッ! ズパッ! ズパッ! ズバッ!

斬れる音が各地から聞こえる。 マジかよ、剣をブーメランのように投げただと!? しかもどんだけ切れ味と回転やべぇんだ。 まだ飛んでいってる。 円状と言っても、相当大きい円状に投げたらしい。 その間に次の動きに入る。

目の前にいる魔獣族と距離を瞬間的に詰めて、片方の手元にある剣の柄頭に空いてる手を添え、息を吐き止めた瞬間と同時に胸部を刺す。 だが長さ的に貫くことはできず、とても弱々しいが、まだ息がある魔獣族が反撃を繰り出そうと手を掲げた。 直後、剣で左半円を描くように、肩を切断し首を半分まで切れ込みを入れた。 痛みのせいか悲鳴を上げる魔獣族を気にせず、片腕を失った相手の肩ら辺に手をかけて飛び、空中で切れ込みの入れた首を目で一瞬確認した直後、頭部を蹴り飛ばす。 切れ込みの入っていた首のせいで、頭は簡単に吹き飛んだ。 その飛んでいった頭は別の魔獣族の顔面にぶつかり、視界を一瞬無くしたその隙を狙い、地面に着地する時間を短縮するため頭失くし死体となった魔獣族の体を踏み台のようにし、隙ある魔獣族の懐へ移動。 両太ももに高速で剣を刺し、いきなりことに膝を地に着く魔獣族。 その魔獣族の肩に手をかけ、肩力と腕力と握力を最大限に使って、自分よりも大きい体格の魔獣族の態勢を更に崩し低くする。 その時、先程投げた剣が回転して、目の前の魔獣族の首を跳ねた。 跳ねた瞬間、タイミングを見て投げた剣の切先を蹴り上げ、頭上に上がった投げた剣は、重力に逆らえず下に落ち、俺の手元へ戻ってくる。

すげぇ……。 驚愕としか思いつかず、その強さと、目にしたことのない戦い方に俺は素直にカッコイイと思ってしまう。 魔獣族がもし、もっと人間らしかったら、感じ方は変わっていたかもしれないが。 こんな戦い方、俺はできるだろうかと、弱気になってしまう。 ずっとこのシステムの頼りっきりじゃいけないもんな。 今日は見学しまくってやる、と俺は固く決意した。 戦いは人間側が優勢。

読んでいただきありがとうございます!

次回は戦闘激化と思いきや……

次も読んでくれたら嬉しいです。

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