表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半機械は夢を見る。  作者: warae
第1章
1/197

さよならと

最初から、ここまで長くするつもりは無かったんですが少し長めになってしまいました。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

「ここは、どこだ? 」

見たことのない世界が、目の前には広がっていた。 空を見上げれば、海に光を射したような輝きが薄く見えていた。 そして、自分がいる場所を一通り見渡してみる。

眼前は崖になっていて、その先の地の遠く向こうには、都市のようなビルがそびえ立っている。 だがそれは、明らかに自分の知っている都市ではなかった。 その都市のような場所だけ宙に浮いていたからだ。 空に浮かぶ島とも言うべき浮かぶ大地の上に、多くのビルが立つその姿には、素直に驚愕としか言い表せない。 ここは、本当に地球なのか?

空いた口を何とか閉じて、恐る恐る崖の下を見るため、先端場所まで行ってみる。近づくにつれて、崖とあちら側の地との間は、相当間があることに俺は気づいた。

「は……?」

覗き込んでみると、そこには真っ暗な底の見えない暗闇ではなく、研究所か工場のような施設が並び、所々には瓦礫の山が各地にあった。

「なんだここは、どこの国だ?」

目の前の光景が、一体何処か考えると同時に、何故自分がここにいるのか、と今までの行動を思い出すため記憶を探った。 直後、俺は思い出す。 本能も理性も、まるでその記憶を拒絶しているかのように、頭を鳴らす。 「痛っ……いっ……」頭を抱え、記憶力をフル稼働させる。 自分が自分を抑えつけるような、不思議な感覚に襲われ、目眩がして手足が次第に震え始める。「なに……を! 怖がってんだっ……よ、俺は!」その場で思いっきり地を踏みつけて、固い扉をこじ開けるように、激しい頭痛の中、俺はとうとう思い出した。 何故か止まれぬ衝動に駆られ、俺は辿り着いた。

「あぁぁーー」

息が漏れて、乱れて、苦しくなって、苦しくなって、苦しく苦しく苦しく。 苦しくなって。

「ああああああああああああああああ!!!」

思い出すだけで、苦しくなっていく。 理解できぬと、叫ぶ理性。 喉からは、苦しみを表すための声が響く。

「あああああああああ………」

次第に、声は弱まっていく。 苦しみも和らいで、夢だったかのような感覚に襲われて。

はぁ、と息を吐いた。 そこは真っ暗な世界だ。 精神の中の世界だと、自分でも気づいている。 そうだ。 俺は「死んだ」気づいた。 気づいてしまった。 気づかない方が良かった、のかもしれない。 得体の知れない、なにかが静かに、流れ込んできて、それは悲しみだと気づくのに、あまり時間はかからなかった。ドロドロしてる。 いや、トロトロ? 感触はない。

「あ……」

頬に、いつの間にか伝うそれに遅く気づいたのは、悲しみに溺れていたからかな。 気づいた時には、思考はぐちゃぐちゃで、微かな光を逃したかのように、掴み損ねた救いの手を見つめるように、気持ちは更に沈んでいき、瞳は零れた涙から目を離せなかった。

■■■

気持ちの整理が終わり、どのくらい時間が過ぎただろうか。 すぐ近くには崖があると言うのに、俺は寝っ転がって、輝く青空を仰いでいた。

「俺……死んだんだな」

深く理解する。 俺は死んだ。 一生を終えた。 死んだ瞬間の光景はまだ頭にこびり付いているが。 だが俺はまだこうして生きている。 こうして息をしている。 そしてここはきっと、異世界だろう、と思うことにした。

もう会えない家族や友人、あの世界に置いてきたものを考えるとキリがないほど、後悔に似た感情が頭を掻き回す。 それでも、まだ生きているなら前に進むしかないと、体を動かした。

「んー……どこ行こうか」

やる気を出し立ち上がったはいいが、なにも分からない今の状況に俺はまた腰を下ろして考えることにした。 目の前に広がる、未知の世界を眺めながら。

■■■ ■■■

声がしました。 スリープ状態の私の目を覚ます程の、大きな声が頭上から響きだしました。 その声は、酷く悲しげに響いていて。 静寂の中、泣きじゃくる子供のようです。 声の分析を開始。 この国に同じ声を持つ人間はいないようです。 他国からの人間でしょうか……?分析途中で、主である博士が声をかけてきた。

「どうしたんだい? そんなに人間らしく思考を巡らせたりなんかしちゃって」

優しい笑みを浮かべ、飲料水の入ったカップを片手に近づいてくるのはルーダ博士。 この地下にある機械街『グランド・ロボヘルツ』の変わり者として嫌われている女博士で、数年前までは天才と言われていた。 彼女は何故、嫌われているのでしょうか。 私が抱える疑問のひとつです。

「先程、頭上から叫び声が聞こえたので、声の分析を行っていました」

そう言うと、彼女は首を傾げた。

「頭上? あの崖のことかい? あそこは今は誰も登れないってガースラーが言ってたぞ」

ガースラー、山登り好きの元冒険者であり、今は博士の元で道具の制作や修理をしている。 今は小太りの爺さんだが、昔はスレンダーだったらしい。 私の予測機能でも、未だに解明できないことであり、今現在もその話を疑っている。

「なら、先程の声は幻聴、でしょうか?」

「幻聴? フフっ、お前さんはもうほぼ機械同然だろ? 幻聴なんて機械が聞こえるはずないだろ。 おっと、そろそろ開発に戻ろうかね」

今日こそ、すげーの作って驚かせっぞー、と彼女は奥の部屋へと消えて行った。 彼女は、いつも楽しそうで、なんか良いです。

「ふむ、聞こえたのは確かなのですが。こうして記録にも残ってますし」

私は、もう一度記録したあの声を聴いてみた。 やはり悲しげですね。 叫び声、否、泣き声でしょうか。 何故泣いているので、しょう……か??

熱が篭った気がした。 気がしただけで、実際はなにも起きていないのは自分でも理解できている。 だけど、なにかが引っかかる。 それを、考え理解し感じようとすると、阻まれる。 そんな感覚が私を襲う。 でもおかしいのです。 おかしいのです。 こんな考えは。 最初から無いはずの、この感覚のような分からないなにかは、もう。

そうですよ。 もう私は『死んだ』はずなのです。 気づいたのは、何年前でしょうか。博士に初めて出会い、説明を受けて絶望していた、あの時に。もうーーーー

「思い出したくない、あの瞬間をまた、思い出してしまいました」

ひとりごとを呟き、自分に言い聞かせ、もう一度上を見上げる。 あそこに誰がいるのでしょうか?

それでも私は、いつかの、なにかの鼓動が聞こえた気がしたーーーーーー

■■■ ■■■

「あれ……」

いつの間にか眠っていたみたいだ。 優しく吹き抜ける風が、俺の意識を覚醒させていく。 目を擦り見渡すと、もう夕方らしく、眩しい夕日がゆっくりと沈んでいく。

「そういや、ここに来てから何も食べてないなぁ」

背伸びをしながら立ち上がり、夕日の光を体いっぱいに浴びた。 降りなくては、と降りれそうな安全な場所を探す。 どこも危険そうな場所ばかりで、命を懸けなきゃ降りれそうになく、諦めようかと思っていたとき、

「やはり、人間では危険すぎると判断。 私が来て正解でしたよ博士」

「ん?」

博士って誰? というより、誰か登ってきてる? こんな危険な崖に来るために?

疑問が耐えず、俺の頭の中で駆け巡る。 しかも、声からして女性っぽいので、異世界初の女性ということで、正直期待というものも抱き、彼女?が来るのを待った。

ガチャッ

「博士、先程の落下による部品の破損を確認しました。 ……ですが、この先に人間がいる可能性が」

鈍い金属音が響き、部品がなんとかと言ってるみたいだ。 部品? 遠隔操作のロボットかな。 べつの期待が押し寄せる。 目を輝かせる自分に気づき、顔に熱が籠るのに、さほど時間はかからなかった。そしてーー

ガッ

普通の人の手が崖の端を掴む。 やはり人のようだ。 今すぐ引き上げてやらないと、と近づいて

ガシッ

もう片方の手が、機械の手が見えた。 早く引き上げないと……え? ん、ん?

ガガッ、シュッ

ジャンプというよりは、高すぎる高さを飛び、目の前に華麗に着地をする女の人。 人?

「怪我はしていませんか?」

その少女は、機械じみた発声をし、半分機械かのように瞳や手が作り物のように見えた。 先程のジャンプが無かったかのように、平然と振る舞う彼女の髪が、都市から流れる風に優雅に揺れて、単純に、美しかった、としか言葉は生まれない。機械じみた笑顔が、人間味を微かに削れさせ、まるで本当に機械なのではないかと疑ってしまう。

「だ、大丈夫だよ」

異世界の住民に、驚愕しながら、これからこのようなことが当たり前になると思うと、ついていけるか心配になる。

「そうですか……では、失礼します」

彼女は一瞬で、俺の背後に移動し……。俺はそこで、気を失った。

■■■ ■■■

「気を失わせるのは、必要だったのでしょうか?」

崖の上にいた男を抱えながら、博士と通信し崖を降りている。

『まぁ一応ね。 相手が何者か分からない以上は、これが一番手っ取り早いんだよな。 それに、お前さんが、あんなにお願いしてくるのも珍しかったからな。 失敗はやっぱしたくねーだろ。 初めての必死なお願いだったし、叶えるために絶対的方法でやったって訳さ。これが母性本能って言うんかねぇ』

「でも私には母というものが、どのようなもにか分かりませんが」

すると、話している途中で博士は割り込むように、話しを切ってきた。

「おっと、話しは終わりだ。着いたら教えてくれ。 私は開発に戻るぜ」

博士の声からは、何故だか焦りが分析により分かった。どうしたのでしょうか?

「うっ……ここは」

男が目覚めました。 浅かったでしょうか。 ではもう一度、

「まだ寝ていてください」

ドッ

「ぐっ!」

再度手刀で男を眠らせて、博士のいる隠れ家へ足を急がせた。

なにかが始まる予感のようなものが、感じ取れた気がした。 博士のおかげで様々な機能が細かく施されているが、予感を細かく感じ取れるまでは、まだ至っていないはずなのですが。 男の身につけているものなど、見たことのないものばかりだからでしょうか。 そして、今はとにかく、何故あの場所で、悲しげに叫んでいたのか、それがとても気になります。 あなたは一体何者なのでしょうか。 それは、私も。 ですねーーーー

読んでいただき、ありがとうございます! 文章力もまだまだ未熟ですが頑張っていきますので、

これからよろしくお願いします!

次回は、キャラ同士の初のご対面からです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ