表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/19

最後の高校生活

約二年ぶりの推理小説です。

過去に執筆した推理小説の世界観を引き継いでいます。

読まなくても話は理解できるようになっていますが、ぜひ読んでくださればと思います。


灯篭館殺人事件→https://ncode.syosetu.com/n9377by/

幽霊少女殺人事件→https://ncode.syosetu.com/n2667ed/

 木漏れ日が射す放課後の教室。

 日が暮れるのも少しずつ遅くなり、ようやく春を迎えようとしている。

 もうすぐ、卒業だ。

 教室に集まった七人の生徒は、三年間の高校生活を思い返していた。


「もうすぐ卒業か……」

「寂しいもんだな」

「私……皆と離れるの嫌だよ」

「別に一生会えないわけじゃないんだし、これからも一緒に遊ぼうよ」

「そうよ、やろうと思えばいつでも会えるでしょ」

「ああ。どんなことがあっても、俺たちの友情は決して崩れたりはしない」

「そうだよね。私たち、ずっと一緒だよね」


 彼らは、卒業する悲しみを振り払うかのように励ましあった。

 だが、一人の女子生徒が呟いた一言で、その空気も崩れてしまった。


「でも、やっぱり皆と離れたくないよ。……いつまでもこの高校生活が続いてくれたらいいのに」

「……」


 悲しげに呟く少女に、誰一人言葉をかける者はいなかった。

 結局そのまま、七人は下校した。

 皆と別れるとき、突然一人の男子生徒が声を大きくして、


「……よし、これから卒業まで、皆で高校生活最後の思い出を作ろう。永遠に心に残るような、最高の思い出を!」


 と言った。

 その言葉に、最初は全員顔を見合わせていたが、


「……そうだな! いろんなことをしようぜ!!」

「うんうん! じゃあ今度の休みに皆でどこかに行こうよ」

「いいわね。賛成よ」


 と全員が同意した。

 その様子は、傍から見ても楽しそうな学生の集団に見えただろう。

 事実、本人たちも楽しんでいた。

 ただ一人を除いて。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ