カクリカと魔法実技の授業
「どうせ俺達の傘下になるんだ、待ってくれなんて無駄だ。」
俺はなんとか穏便済まそうと思い、どうしようか考えていた。
その時
「僕達は力の前には屈しないよ。
そんなの本当の仲間じゃないからね。
力で強引にまとめあげた哀れな群れに入るくらいなら闘うよ。」
と真冬が言った。
「貴様、哀れだと。」
カクリカの生徒がテーブルを蹴りあげた。
俺達を遠巻きに見ていた周りの生徒達が不穏な空気に警戒する。
「決闘はしてもいいけど、ケンカはしちゃダメなんでしょ。」
「そんなの関係ねえ。」
正に一触即発。
そんな二人の間にある生徒が飛び込んだ。
「うちの領内でケンカは困る、やめてもらおう。」
ギリスの男子生徒だった。
「それから真冬と言ったな。
うちは決闘を取り下げ、お前達が僕達の仲間になりたいと言うまで待とう。」
「ほんとありがとう。」
真冬が満面の笑みでお礼を言うと、その男子生徒は何故か顔を赤くして照れた。
「僕の名は、ウイン・シャルロード。
ギリスの決闘願いは僕の名の元に全て取り下げよう。
必ずや僕は君に認められてみせるから安心してくれたまえ。」
「おいおい、抜けがけはねえぜ。」
今度はとても学生とは思えない強面の男だった。
「俺はジョン・ボルシチだ。
うちも決闘は全部引き下げよう。
決闘は取り下げるが飲みには付き合ってもらうぞ。」
「おいおいジョン!君は何を抜けがけしているんだ。大体ここはギリスだ、未成年の飲酒は禁止だ。」
「俺の部屋の中は治外法権だ。
ウォッカニでは飲酒は問題ないんだよ。」
「うぐぐぐ、貴様…。」
「アイヤー、そこのデブはへたれね。
大人しそうな真冬君に怒る役押し付けてダメよ。
それから私はシルク・ミチンよ。
うちも決闘は取り下げて、ジョンの奢りの歓迎会に参加するね。」
「なんで俺がシルクにまで奢らないといけないんだ。そもそも真冬にも奢りとも言ってねえ。」
「ではわかった、その飲み会この僕ウインが奢らせてもらおう。
会場はジョンの部屋を借りるぞ。」
「くそどいつもこいつも、わかったよ。
じゃあ明日俺の部屋、ウインの奢りで真冬の歓迎会な。」
こうして決闘の危機はなんとか避けれた俺達だった。
次の日。
俺達は魔法実技の授業中にまたカクリカに絡まれる事になった。
魔法実技の実践は、小国は小国同士、属性魔法を堂々と使える大国は同士で行われる。
「おい!そこのデブ、俺と練習しようぜ。」
またギリスのウインが止めてくれたが、決闘ではなく授業の一環というカクリカの主張が通り俺はカクリカの生徒と練習する事になった。
「俺様はカクリカのワルサーだ。
よろしく頼むぜ。」
ニヤニヤ笑いながらワルサーが言う。
「俺はロックです。よろしくお願いします。」
「そっちから撃ってこいよ。」
俺はビー玉の様な無属性魔法を放った。
カクリカのワルサーは何事もなかったかの様に自身の身体に炎を纏った。
それだけで俺の無属性魔法はかき消されてしまった。
「じゃあこっちからいくぜ。」
ワルサーは火の魔法を俺に向かって放った。
授業中とは思えない明らかに怪我させる意図がある威力だ。
俺は無属性魔法のビー玉を伸ばして剣にして、ワルサーの魔法を受け流した。
ギリギリだった。
術者の手元を離れた属性魔法と術者が直接握っている無属性魔法。
弾き返す事は出来なくても最初から受け流せば無属性魔法の剣はなんとか耐えれた。
「ワルサーの奴だせえ。」
ウォッカニのジョンが大笑いしながら喜ぶ。
「あのデブ器用ね。」
チンのシルクも感心していた。
「くそデブが粘ってんじゃねえよ。」
怒ったワルサーが炎を纏ったまま体当たりしてきた。
「うわーーー。」
俺の無属性の剣は折れ俺は弾き飛ばされた。
「くそ。」
俺は痛みを堪えて立ち上がる。
「そうそうそうこなくっちゃな。」
カクリカのワルサーは不敵な笑みを浮かべて言った。
俺は今度は無属性のビー玉を伸ばし剣を作った後、さらに伸ばし続けて、俺の周りに蜘蛛の巣の様に張り巡らせた。
「おいおい、なんだあれは!
器用とか言うレベルじゃねえぞ。」
「出力は低いのに器用過ぎるな。」
「アイヤー中々やるね。」
「ただの無属性魔法の糸なんか俺の体当たりで吹っ飛ばしてやるぜ。」
俺は無属性魔法の糸で少しだけ遅くなった体当たりをかわしてすぐに新しい糸を張った。
「だったら燃やしてやる。」
ワルサーは火の魔法を放った。
「それはさっき見ましたよ。」
俺は無属性の剣で魔法の向きを逸らした。
「うるせえ、どの道そっちから攻撃出来ないんだ。当たるまで体当たりしてやる。」
ワルサーの体当たりが俺に当たったと思った瞬間俺の身体は消えて、俺は後ろから隙だらけのワルサーの頭を剣でぶん殴った。
「痛え。」
どうやら剣なら少しはダメージが通るようだ。
「おい、今の見たか?」
「恐ろしく器用だな。」
「無属性魔法を練り上げて自分の分身を作ったアルネ。」
「しかもロックのはカラーで本物とほとんど見分けがつかないんだよ。」
真冬はとても嬉しいそうに言う。
俺は無属性魔法をさらに伸ばし続けて、剣、蜘蛛の巣、そして5体の分身を作った。
放たれた魔法は逸らし、体当たりは避けて、余裕がある時は剣でぶん殴った。
こうして授業が終わるまで俺は耐えた。
「あいつ本当に何属性だ?属性次第なら本当に勝てたんじゃないか?」
「出力が弱いのが気になったな。
それに属性魔法ならあんなにうまく扱えるかどうかわからない。」
「それに魔力量も気になるアルね。
属性魔法をあんなに出し続けられるかわからないアルね。」
どうやら俺は大国の奴らに少しは認められた様だった。
20話誤字脱字修正しました。




