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リコと真夏と真冬

「私の名前は利子(リコ)よ。」


なんだよ、フラン・スーパンちゃんじゃねえのかよ。


などと突っ込んでいる余裕は俺にはない。


最近はやっと人を信用できる様になってきたが、ここでは全員敵だ。


真夏とニカナーノマニュアルだけが友達なんだ。


犬と説明書だけが友達とか、俺はあんぱんに負けてるな。


ボールだけ友達よりは勝ってる気がするが…。


いやいや待て待て落ち着け俺。


学校という独特な雰囲気が俺を混乱させる。


よく社会に出たらやっていけないとか言う奴が居るが、俺は学校の方が大変だと思う。


頭脳で生きたい者。

スポーツで生きたい者。

芸術で生きたい者。

なんとなく生きてる者。


全てがごちゃ混ぜにされ、国の法律、学校のルール、先生毎のルール、クラス内ルール、部活内ルール、先輩後輩ルール、友達間ルール、家のルールなど、これまたごちゃ混ぜのルールの中で生きて行かなくてはならない。


職場なら最低限の仕事に必要な会話とヨイショさえすれば良いが、学校では全員と仲良くなる様に強制され、その上、数々のイベントという名の試練が下されるのだ。


会社なら自分の得意分野に近い自分の仕事さえこなせばいいが、学校では全分野強制され競わされるのだ。


確かに会社でもやりたくない仕事を押し付けられる事もあるが、事務職に急に明日は建築現場で家を建てろとかは言われないのだ。


俺はありったけの不満を脳内でぶちまける。

そうする事でだんだん冷めてきた。


よし、だんだん落ち着いてきたぞ。


もう俺は友達のふりして表面上だけ楽しそうに話したり、一人で寝たふりしてた俺じゃないんだ。


過去の俺の経験上、学校の食堂で謎の不思議系美少女に話し掛けられた時は…。


「リコさん、真冬、これ美味いですね。

真冬おかわりしようぜ。」


うん、いいぞ。


無視はしてない。


話が終わって別の用事でちょっと席を離れるだけだ。


完璧だ。


「リコさんって言うんですね。

僕は真冬です。

転校してきたばかりで何もわからないので、迷惑かけるかもしれないけど、よろしくね。」


あーーーっ、終わった。


俺の絶妙なパスを真夏はなんて事してくれるんだ。


これで完全に席を立ってこっそり離れる事が出来なくなったじゃねえか。


リコさんって言うんですね。じゃねえよ。


なんでナンパしてんだよ。


真夏はリコと楽しそうに、朝食のメニューについて話していた。


な、なんだと。


真夏のコミュ力が高い。


自分達や相手の出身地がわかる様な食べ物の産地の会話は避け、食べ物の話しで場を盛り上げている。


リコさんも楽しそうだ。


結局真夏はリコが学校に向かう時間まで楽しく会話し続けた挙句、学校生活や決闘についてのアドバイスまでもらっていた。


俺達は明日から学校なので部屋に戻り決闘について真夏と作戦会議をはじめた。


ちなみにマニュアルには自分達や国の得になるかを考え行動しろと書いてあった。


強国の傘下になるのが得ならそれでもいいし、国の特徴的に外交の相手となりやすい友人を作ってもいい、相手が弱小国でも学べる事があったり、相手を助ける事がこちらの身になるならそれもいい。


自分で良く考えて行動する。


ニカナーノ的には正解があるのだろうが、それは書いてなかった。

俺がマニュアルを見て実行するだけじゃ意味ないからだろう。


真夏の意見はもっと動物的でわかりやすい。


カクリカの生徒達が強そうに見えたが傘下に入って、他の生徒達を敵にまわしてもいい程は強くない。


自分達は二人だけでやっていけるのだから、弱小軍団に属して強い奴を敵にまわす必要もない。


「つまり二人だけで仲良く生きようという事だな、それいいな。」


「そうじゃないよロック。ちゃんとお互いを良く知ってから仲良くしようと言ってるんだよ。」


…。


もうコミュ関係は全部真夏に任せてしまおうかと、思ったがそれでは今までと変わらないからそれはやめた。


「決闘の申し込みについてはどうする?」


「僕なら全員倒しちゃってもいいんだけど、それじゃ目立つし、話し合いの練習にならないから良くないよね。」


「真夏は勝てるだろうけど、俺は危ないしな。」


「真夏はやめてよロック。

ここにいる間は真冬。

僕らは今学校に属してるんだから、アリスティーナの人達の為にもしっかりしないと。」


俺は自分の駄目さを思い知った。


警戒して損しない様にするだけで、全然成長していなかった。


引きこもる為に敵を作らない様に仕事をこなし、自分の殻をどんどん強化していく。


その究極系が、何気なく選んだスキル『不老不死』と『吸収』だったのだろう。


こうなったらもうきちんと話していこう。


俺は真冬と計画を立てた。


こういうのは早い方がいい。


夕食の時間。

俺と真冬は食堂にいるカクリカの生徒達の所へ向かった。


「賢明な判断だな。

俺達の傘下に入るか。」


「いや。」


「面白い。

どっかと手を組んで俺達と闘うというのか?」


「いや。

俺達まだ学校に来たばかりで誰が強いとかよくわからないんですよ。

だから待ってもらおうと思いまして。」


「決闘を待ってくれだと舐めてるのか。」


「舐めるどころか真剣です。

よくわからないのです。

このままではよくわからないまま傘下に入るか良くわからないまま敵対するしかないのです。

せっかく勉強しに来たのに何も出来ません。

俺はきちんと皆さんと心から仲間になりたいと思ってから仲間になりたいです。」


仲間になりたい。

これは本当の気持ちだ。

何だかんだ言ってもこいつらと仲良くなれば、将来的にカクリカが同盟国になる。

おいしい話しだ。


でも、他の国を敵にまわすまでの価値があるのかまではわからないし、ましてや傘下入りなど絶対嫌だ。


うちとカクリカの間にはでかい海がある。

焦る必要などないのだ。


同様に学校内は学校内のルールがある。

決闘は可能だがケンカは禁止だ。

決闘は延期してしまえばいい。


それが俺と真冬の答えだった。


19話誤字脱字修正しました。

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