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ドラゴンの背中と不思議な薬

「ロック、朝のランニングに出かけよう。」


「おう真冬。今日も張り切っていこう。」


そう言って真夏は首にタオルを巻いた。


真夏はすっかり人間になりきっていた。


散歩をランニングに、ボール遊びをキャッチボールと呼んで人間らしくしている。


俺の方も覚える事はしっかり覚え、無属性魔法も使い慣れてきた。


いよいよ今日はギリスに出発する日だ。


俺と真夏は散歩と戦闘訓練を終えて、荷物を持って街の外へ向かう。


ニカナーノ達は既に待っていてくれて、みんなで別れを惜しむ。


国の事もニカナーノや塚ちゃんと三蔵がいれば大丈夫だし、城や温泉の建設もカンナ達がいる。


防衛関係はアレックス達がしてくれているし、白大猪の狩りも万導とタンダーソウに引き継いでいる。


何も問題ないだろう。


「ところでどうやってギリスまで行くんだ?船か?」


「あれよ。」

ニカナーノは空を指差して言う。


空から巨大なドラゴンが降りてきた。


「久しぶりだな、ニカナーノとヅーカジェンヌエリザベス。転校生とやらはどいつじや?」


三蔵が話しに割って入る。

「おーい、俺もいるぞ。」


「おお、すまんすまん。

あー、お前は真面目で有名な…。

えー、真面目だけが取り柄の…。

えーと、確か兄弟がいっぱいいる…。」


「もういい三蔵だ。」


「いや覚えていたぞ。うん、覚えてた。」


「…。」


「そろそろ出発の時間じゃ。

乗るのは誰じゃ?」


「俺と彼です。

俺はロック、こいつは真冬です。

よろしくお願いします。」


「ここから45時間くらいかかるが準備は大丈夫か?」


「45時間もか。

ドラゴンで行くなんて聞いてないぞニカナーノ。

ウンコはどうすんだ。

腹が減ったら背中で干し肉焼いていいのか?」


焼肉…、うんこ…。


「我の鱗は丈夫だが、焼肉とうんこはやめてくれ。

もししたくなったら海の上を飛行するからそこでしてくれ。

それと時間だが怖くないならもっと速く飛べるがどうする。」


「もちろん最高速でお願いします。

その方が楽しそうですし。」

「僕も速いのがいい。」


「よかろう、後悔するなよ。では行くぞ。」


「みんな後の事は頼んだぞ。」

「言ってくるね。」

俺達はみんなに見送られギリスに向かって出発した。


「うおー高え!風が気持ちいい。」

「ドラゴンさん、もっと速く飛んでー。」


「さすがニカナーノの推薦じゃ。

どんどん飛ばすぞ。」


「おおー速え。

ドラゴンさんすげー、もっと速く出来ますか?」


「もちろんじゃ。」


「もっと。」

「おう。」


「もっと。」

「ぜえぜえ、おう。」


「もっと。」

「ぜえぜえ、ぜえぜえ、ああ。」


「出来ればもっと速い方が楽しいのですが、もう疲れちゃいました?」


ドラゴンの呼吸が息が苦しそうだ。

「ぜえぜえ、我は竜じゃ。

ぜえぜえ、こんなの、ぜえぜえ、余裕じゃ。ぜえぜえ。」


「ひゃほーーい、楽しー。」


さっ、さすが…、ニカナーノの推薦じゃ。


こうなったら全力戦闘モードで飛行してやる。

さすがにこの速度なら相当驚くじゃろ。


「真冬、水筒取ってくれ喉乾いた。」

「僕は少しお腹すいたから、干し肉食べるね。」


なんじゃと。


「お前ら怖くないのか?」


「ニカナーノに読まされた本にドラゴンの飛行は翼ではなく、魔法だから絶対に落ちないって書いてありました。」


落ちないと知っているから怖くないのか。


普通落ちないと知っていてもこの速度は怖いはずなんだがな。


「我にも水と干し肉を分けてくれんか。

なんかおいしそうじゃ。」


「良いですよ、ついでにニカナーノ製作の強制魔力回復薬も口に入れるんで、飲んで下さい。」


「ニカナーノ製作じゃと、やめろーーー。」


ニカナーノ製作強制魔力回復薬は身体中から魔力を絞り出し回復させる。


そしてそのまま魔力を使わせる。


「うわーーーー。」


ドラゴンは生まれてはじめて自分がこんなに速く飛べる事を知った。


俺はこれは便利だと思い速度が落ちてくる度に、ドラゴンの口にニカナーノの薬を入れた。


「おい、おい!もうやめるんじゃーー。」


「うわー、やめてくれーーー。」


ギリスに着いた頃には、ドラゴンは全身汗だくで息も絶え絶えだった。


「そのニカナーノの薬は危険じゃ、人間が飲めば命にかかわるかもしれん。

お前達飲んではいかんぞ。」


「もう無いですよ。ここに来るのにちょうどの量でした。」


「ニカナーノの奴めやりおったな。」


「まったくですよ。帰りの分が無いじゃありませんか。」


「…。」


さすがに悪いと思った俺は、吸収を使ってエネルギーを集めドラゴンに注ぎ込んだ。


真夏も手伝う。


「おう、ああ〜、そこ、そこじゃ〜。」

「あぁ〜、そこ痛気持ちええ。」


「じゃあ俺達もう行きますね。」

「待って待って、翼、翼の付け根もやってくれ。」


優しい真夏が翼にもエネルギーを流してあげる。

「あぁ〜。」


「もっとじゃ〜。」


ドラゴンが言うに、自然界からバランスよく集められたこのエネルギーは極上でドラゴンでも、経験した事のない濃度らしい。


普段からこのエネルギーを吸い続けている俺はそんな事は感じないし、そんな事を言われても俺が痩せない事を益々悟るだけだ。


「じゃあ暇な時たまに遊びに来いよ。」

と言った俺を真夏が注意する。

「言葉遣い気をつけてよロック。」

「あぁ、真冬すまない。」


「今日はありがとうございました。

エネルギーなら太る程あるので、

また疲れた時は是非遊びに来て下さい。」


「そうじゃな、たまに遊びによらしてもらおうかの。

それから、ロックとやらは何か特殊なスキル持ちなのかも知れんが真冬程強くはないのじゃろ?気をつけて生活するとよいぞ。」


「ありがとうございます。ではごきげんよう。」


あれだけニカナーノに言われたのにもうドラゴンにスキル持ちだとバレてしまった。


俺は今後はちゃんと気をつけないと駄目だなと反省した。


17話まで誤字脱字修正しました。

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