城を建てる。
俺は職人のカンナ達と東側の海に来ていた。
「ここに城を建てたい。」
俺の提案にカンナ達は激しく首を振る。
「旦那、何言ってやがるんで。
こんな何もない海に城を建てろとはどういう了見でぇ。やっぱあたい達が女だからってバカにしてるのか、てやんでえ、バカやろう。」
「いや、カンナ達に建ててもらいたいのは城だけじゃない。ここに街を建ててくれ。ついでに最終的にはここから北のガガまで線路も繋いで欲しい。」
これにはカンナ達も驚いた。
「旦那信頼してくれるのは嬉しいが…、街とついでに線路も。
こんな守り辛い場所に城と街建ててもしょうがねえし、ガガまでの線路はついでってレベルじゃねえぞ。」
俺は更に続ける。
「守り辛い地形のここに、不利な地形でも関係ないくらいの城を建てるんだ。
国とカンナ達の実力を他国に見せつけよう。
そして城の庭は大規模な催し物ができる会場にする。
様々なイベントを行い観光もできる街にするんだ。
守るんじゃない、他国の人を呼び込みここを世界の中心にしよう。」
カンナ達は驚く。
観光もできる街。
これはこの世界になかった。
旅する事はあってもほとんどが軍事か外交。
もしくは一部の巨大な商会だけで、みんな仕事で旅をしている。
それを遊びで旅して来てもらう。
何という発想だ。
たしかに魚がうまいガガ国から肉のうまいアリスティーナに来た時は刺激的で楽しかった。
普段見ない建築物も興味があった。
でも、この人は何を言っているんだろう。
こんな資源の少ない国が世界の中心に?
「この国の資源は乏しく名物も白大猪しかない。
このままじゃいつまでたっても小国のままだ。
でも、ただの木でも加工して商品にすれば売れるんだ。
資源がないなら作ってしまおう。」
なるほどこれはガガの殿が喜ぶわけだ。
こいつ面白え。
「ええーい、ここまで来れば乗りかかった船よ。
城も庭も街も線路もがってん承知でぇ。
あたい達に任せな。」
俺達は出来れば西の国境からここに来る途中のティーナの街にも客のお金を落とさせたい事、舟着き場も作って遠くの国から来てもらう事などを話しあった。
「そういえば旦那。
頼まれてた温泉の事なんだが、アリスの周辺は湯量が少ねえから、旦那の家に10人くらいが入れる温泉しか出来ねえんだ。
残念ながら混浴になっちまう。」
「ん?俺は最初から混浴で作って、一番最初はカンナ達と入ると言ってなかったか?」
男勝りで威勢の良いカンナ達が赤くなっている。
「旦那〜、それはまあそうなんだが…。」
普段とのギャップでやばい、かわいい。
「それでな旦那、ティーナの街の方にならでっかい温泉が作れそうなんだ。
ここに向かう客にティーナでもお金を落とさせたいって言ったろ。
それなら西から来る客はもちろん、舟で来た客にも温泉目当てでティーナまで行かせられるんじゃねえか?」
「それいいな。費用はニカナーノに、人手は三蔵にそれぞれ頼んである。
後は任せたぞ。」
「おうよ!」
決めるべき事を決めたので、俺は自宅の混浴温泉に誰を呼ぶかを考えはじめていた。
10話までの誤字脱字を修正しました。




