男と女。
ニカナーノはイケメン戦士を連れて歩いていた。
街に被害が出ない位置に移動したいと誘ったのだ。
イケメン戦士は言う。
「もうそろそろ時間稼ぎは良いのではありませんか?貴女のお仲間は俺の仲間には勝てません。貴女の作戦通りには助けには来ませんよ。」
「あら、気付いていてお付き合いくださったのですね。ありがとうございます。
さすがニューサウザントクラス様ですわ。貴方もおモテになられるのでしょ?」
ニカナーノはイケメンの様子を見つつ会話を続ける。
イケメンは表情を曇らせて言う。
「もう良いと言っている。
俺が女だという事も全てわかっていてやっているのだろう。」
イケメン女は自分は鑑定スキルを持っていると言った。
ニカナーノが敵味方の相性を見極めた完璧な采配をした事からニカナーノにも何らかの鑑定系スキルがあるとわかったという。
「俺の名前はヅーカジェンヌ・エリザベス。塚と呼んでくれ。
エリザベス家の18人姉妹の末っ子だ。
後継の男の子が生まれなくてな、一番末っ子の俺が男になった。
これでも元女だ。女を殴る事など何とも思わん。覚悟しろ。」
「丁寧な自己紹介ありがとうございます。
私の名前はニカナーノ。
この国のギルド長を務めてさせて頂いています。
この国はみな平等でさらに奴隷達の解放運動もしております。
貴女達との国交も結んでおりますし、
今回の戦争はギルドから見て貴女達に正義はありません。即刻立ち去る様、警告致します。」
2人の闘いが始まった。
力も速さも魔法も塚の方が上だった。
ニカナーノは知力を振り絞り防御に専念して何とか致命傷を避けていく。
「防御に専念ですか?無駄ですよ、貴女のお仲間は来ません。」
「ご主人様は必ず来ます。そこまで言うならもしご主人様が来たら私の勝ちでいいですか?即刻立ち去って下さい。」
防御に専念しているニカナーノの傷が増えていく。塚が攻撃多めにスタイルを変えたのだ。
「くだらないな。もし、貴女のお仲間が来ても俺が切るだけだ。」
「あら、来ない来ない言う割には以外と自信ありませんのね。」
塚はさらに攻撃回数を増やす。
ちょっとずつ確実に切り刻み心を折りにくる。
「それだけ強いのにご主人様などと残念だ。色恋など…。俺の様に生きれば俺にも勝てたかもしれないのに。」
「私とて男などくだらないと思っていた時もありました。これでも優秀だった私はギルドの仕事で世界を歩き、男尊女卑の国も沢山経験させて頂きました。」
ニカナーノの防御専念を受けて、塚はもう防御など考えない。
さらに攻撃重視のスタイルになっていく。
ニカナーノは傷付きながらも会話を続ける。
「貴女もご主人様に抱かれてみればどう?そうすればわかるはずよ。」
「やめろ!くだらん。」
塚は怒りながらニカナーノの服の胸の部分を切り裂いた。
ニカナーノは咄嗟に手で隠す。
「勝負あったな。これが男として生きてきた俺といつまでも女のお前との差だ。」
塚は大技でとどめを刺しにきた。
ニカナーノは何事をなかった様に胸から手を離し、この闘いではじめての攻撃に転じた。
油断していた塚は肩で防ぐ。
ニカナーノのナイフが塚の肩に刺さった。
「戦場で胸を晒す事など何ともない。
お前は何処までも女の子なんだ。
男になったのも父親に喜んでもらいたかっただけでしょ?
私に言わせれば女を捨てて男になったなどとくだらない。
私は女のまま男を超えてるわ。
お前なんかより私の方が上よ。」
ニカナーノはここぞとばかりに攻撃に転じていく。
「ああっ、俺が甘かった様だな。」
塚は筋肉モリモリの2メートル級のマッチョに変身した。
男になりたいと強くなりたいと願い続けた、塚の後天的スキルだ。
後天的スキルは珍しく直接神に貰いでもしない限り得られない。
どうやって塚がそのスキルを得たかわからないが、レアで効果の高いスキルなのは間違いなかった。
塚はこのスキルを人前で使ったのははじめてだった。
確かにニカナーノのいう通り俺はまだ女の子だったのかもしれない。
男になったつもりだったのに女の子の部分を捨てきれなかったのかもしれない。
このスキルも普段から使っていなかった。
普段の姿が中性的なイケメンだったのも女の子の部分の影響かもしれない。
俺はこの闘いに人生を賭ける。
男らしく女の口車に乗って正々堂々勝ってやる。
女の誘いに乗るのは男の役目だ。
「お前が死ぬまでに、負けを認めるまでに、本当にお前のご主人様が来たら俺は女に戻って抱かれてやるよ。お前と一緒にご主人様の物になってやるよ。」
そう言って塚はニカナーノの脇腹に強烈なボディブローをねじ込んだ。




