幻術だ。幻術だ。幻術だ。
「さあみんな行くよ。」
真夏は足を引きずりながら歩き出す。
深手を負い過ぎたので『吸収』だけでは回復しきれなかったのだ。
他のみんなもそうだった。
いくら生命力を分けてもらったといえど、完全回復した訳ではないし、精神的疲れは残っている。
万導は驚いた。
「待ってくれ、直ぐに行くんか?」
真夏は答える。
「今度は私達を仲間が待ってる。」
「うむ。」
「そうだね。」
当たり前の様に2人も続く。
「そうでゲス。」
「何言ってると。」
田中とシャルロッタまで無理して続く。
万導は自分だけヘタレた様でなんかムカついて根性で歩き出した。
少し時は戻って今度は俺の闘いだ。
俺は3人のロイヤル戦士ニューサウザントクラスを引き受け、さっさと倒し真夏とニカナーノの助けに向かおうと思っていた。
俺は前回の門前焼肉の件を反省し、毎日の真夏の散歩と戦闘訓練を続けていた。
三蔵やニカナーノにアドバイスも受けている。
前回D級だった俺の実力も今やB級下位、少なくてもC級はあるはずだ。
すぐに真夏とニカナーノのもとに駆けつける。
そう思っていた。
思っていた俺の身体は何故か上下半分になっていた。
俺は身体を半分に切られた。
よくわからないが、もの凄い速さで敵の1人が近づいてくると思ったら切られていた。
俺はさっさと後ろを向いて歩き出した敵にバレない様に、まるでズボンを履く様に下半身をくっ付ける。
そしてこっそりと敵に不意打ちしたが、あっさりと避けられてしまった。
「あれれ?何で生きてるの?ちゃんと切ったと思ったのに。」
「幻術だ。」
俺はかっこよく答えた。
するとまた高速で近づいてきて今度は心臓を刺してくる。
チャンスだ。
刺した後には必ず剣を抜く隙ができる。
俺は必殺の自爆カウンターを放つ。
しかしこれもあっさりと避けられてしまった。
俺は倒れて死んだふりしながら様子を伺い、今度は背後からニカナーノ特性の毒瓶を投げつけた。
すると敵は華麗に振り返り毒瓶を切った。
毒瓶が割れて猛毒が敵にかかる。
俺は咄嗟にスキル『吸収』を使い敵からエネルギーをちょっとずつ吸い出した。
敵にバレない様に『吸収』を使う。
ニカナーノと考えた方法だ。
「ゴホゴホ、何これ?見たことない猛毒だよー。体力がちょっとずつ削られるよ。それにさっきちゃんと心臓刺したのに。」
「残像だ…。」
俺はニカナーノとの作戦通りカッコつけて言う。
次の必殺自爆カウンターは、剣で切る事を諦めて毒瓶を振りかけた。
そしてバレない様に『吸収』を少しだけ強めにした。
「幻術だ。」
「残像だ。」
「忍術だ。」
「化学忍法だ。」
「錯覚だよ。」
「勘違いじゃないかな?」
「寝ぼけてたんじゃね?」
「マッマボロシー。」
何回も切られ俺はその度に毒瓶を使った。
そしてスキル『吸収』を強くしていく。
周りも毒液だらけになったので、当たってない2人にもこっそりちょっとだけ『吸収』を仕掛けた。
何回も俺が復活する為に『吸収』を使ったせいで周りの植物も枯れていたが、これも毒液のせいに見えるだろう。
我ながらよく出来た作戦だ。
主に考えたのはニカナーノだけど…。
いける。
このまま吸い尽くす。
「ねえ2人も手伝ってよ。」
「ハイハイしかないですね。」
2人目の敵が水属性魔法を使う。
すると周りから毒が浄化されていく。
俺は咄嗟に毒液のかかってない2人へのスキル『吸収』をストップして、毒液だらけの敵の吸収も弱めた。
「まだ少し体力減ってんだけどー。」
毒液だらけだった敵が水属性魔法の敵に文句を言う。
「あらあらおかしいわね。」
「俺の毒は特性だ。直接触れた時点で体内にも侵食している。諦めろ。」
俺はニカナーノの作戦通りごまかす。
すると今まで何もしなかった、ロイヤル戦士ニューサウザントクラスのリーダーらしき男が言った。
「落ち着いて判断しろ。何らかの方法で吸われているんだ。」




