冬の全裸コート祭り
よくわかっていない全裸の火の精霊と、笑顔じゃない笑顔のニカナーノ、
火の精霊に俺が夢中になっている事に嫉妬している真夏、そして俺だけが部屋に残っていた。
名前か。
男だったら面倒くさいから、ほの男とかにしちゃうのだけど女の子だしね。
「ほのか。」
俺は火の精霊をほのかと名付けた。
若干ニカナーノと真夏が何か言いたそうだが気にしない。
炎と火を掛け合わせてある、しかもかわいい名前だ。
「ほのか、ほのか、ほのか。私は、ほのかー。」
本人も喜んでいるし良いだろう。
精霊には名前がついている者が非常に少なく火の精霊ではイフリートだけだそうだ。なんか強くなった気がして嬉しいらしい。
次に俺は、ほのかに布切れを持たせてみたら燃えてしまった。
仕方ないので仲間用のコートを着せてみると、これは燃えなかった。さすが不思議な生地だ。さす生地。
「俺の仲間用のお揃いコートだ。大事にしろよ。」
仲間用のお揃いコートという精霊界では体験した事ない出来事にほのかはまたもめちゃくちや喜んでいる。
全裸にコートだけという予期せぬコーデに俺もめちゃくちゃ喜んでいる。
そこで俺は国内で唯一、ニカナーノにだけコートを渡して居ない事に気がついた。
ニカナーノはギルドの人間だから渡さなくてもいい気もするが、出会いはともかく最近は色々感謝している。
俺はニカナーノにもコートを渡した。
ニカナーノは突然着ていた服を脱ぎ捨てて、全裸コートになって抱きついてきた。
そして泣き出していた。
「本当は私も仲間に入れて欲しかった。でも出会いが出会いだったし、言い出せなかった。あの時は本当にごめんなさい。」
俺はニカナーノを優しく抱きしめてやる。
そんな俺達の所に慌てて自分用のコートを咥えた真夏が抱きついてきた。
普段着たがらないくせに着たくなったらしい。
俺は真夏にコートを着させてあげた。
真夏・ニカナーノ・ほのかと会話を楽しんだ。
が!
そこで俺はある異変に気がついた。
なんでニカナーノが普通に真夏と話してるんだ?
ニカナーノに聞くとなんと真夏は普通に人間の言葉を使っていた。
俺は7000万円の力で真夏と話している気でいたが、結構前から真夏は人間の言葉をマスターしていたらしい。
ニカナーノは呆れた様に言った。
「あんた人に興味なさすぎじゃない?
リーダーとして仲間の事理解してる?仲間のスキルと使える魔法属性はわかってる?」
正直、何にもわかっていなかった。
戦争になるかもしれないとか言いながら、仲間の能力を何も理解していなかった。それどころか名前もわからない。
ただでさえ50人くらいの国なのに、このまま他国に攻め込まれたら危なかった。
今まで前の世界含めて、俺が理解しようとしなかったのか、それとも本当に周りに酷い人間しかいなかったのかはわからない。
でも今は俺についてきてくれる奴らがいるんだ。
俺も変わらなきゃダメだな。
「ありがとうニカナーノ、そして今までごめんな。」
俺はニカナーノに謝った。
「では、改めて。私はニカナーノ。
この国のギルド長で、風属性と水属性の2つ持ちよ。スキルは魔眼。それからこれはあなただけに教えるけど…。」
そう言ってニカナーノは俺の耳に口を寄せて言った。
「実はあの日以来、ああいうプレーでしか燃えなくなってしまいました。付き合ってとは言わないからたまにはして下さい、ご主人様。」
全裸コート姿のニカナーノは先程の右アッパーよりもさらに強い一撃を、俺に放ったのだった。




