真夏と散歩。
そして冬がやってきた。
俺は毎晩真夏と一緒に寝ている。
おかげで暖かポカポカだ。
みんなも不思議な生地のコートを着ているので、それなりに暖かいはずなのだが、ここ最近は一番出来の良い建物のギルドで鍋パばかりしている。
いくら魔法のある異世界でも、冷暖房は元の世界の方が上だ。
真夏は冬でも元気いっぱいなので、今日も俺とお散歩だ。
尻尾フリフリ全開だ。
体も大分大きくなってきた。
お散歩ついでに木を切り倒し、脂の乗った白大猪を狩って干していく。
「ねえねえ、真夏大人になったんだよ。
そろそろ真夏に乗って欲しいな。」
真夏は大人をアピールしたいのか最近自分の事を僕と言わなくなった。
犬の成長は早い。
あの仔犬だった頃の真夏も可愛かったが、今はカッコ可愛い。
「どれどれ、少しだけだよ少しだけ。」
俺は真夏にそーっと乗ってみた。
するとその瞬間もうスピードで真夏が走り出す。
「あぶべぶべばばばば、ぼっどバヤズキだ。」
俺はあまりの真夏の激しさに振り落とされそうになる。
「実は連れて行きたい所があるんだ。」
真夏はそう言って俺を乗せたまま北西の山の方へ走り出した。
そして3時間後。
真夏は俺を乗せたままたった3時間で北西の山の山頂まで走りきった。
俺は真夏の足の速さを褒めてあげた。
そして誰か超高速で受ける真冬の山の寒さに耐えた俺を褒めてくれ。
真夏はどんどん火口に降りていく。
そしてそこに居たのは風邪をひいて寝込んでいる炎の精霊だった。
「我は、ヘックション、炎の精霊、ヘックション、
人間よ、何をしにここへ来た。」
「真夏は、精霊さんのクシャミを聞いて心配して来たんだよ。そしてこの人は真夏の飼い主さん。」
「我は炎の精霊。暖かい太陽に一番近い山の上で治療中である。それでも治らない風邪に人間如きに何が出来る。」
暖かい太陽に一番近い山の上?
こいつバカだ。
「えっと、とりあえず俺火属性持ちだから少し燃やすね。熱かったら言ってね。」
俺はライターくらいの火属性魔法で、炎の精霊を炙った。
「ああ〜、ぎもぢいいー。」
どうやら燃やしても平気どころか、気持ちいいらしい。
俺の火属性魔法は火力は低いが効果時間は長いので、しばらくそのまま炙ってあげた。
「人間よ、お前は中々に見所があるな。
このまま冬の間は、我に仕える事を許そう。」
この世界の人々にとって、精霊はどんな存在なのか、仕えるだけで名誉ある様な宗教的存在なのだろうか俺にはわからないがなんか偉そうな態度に少しイラッときた。
「いや、俺帰りますね。」
「えー、ちょっと待って待って。
死んじゃう、暖めてくれないと死んじゃうから。」
「なんで俺が偉そうな態度されてまで、こんな寒い山の中でお前を暖めなきゃいけないんだ。真夏帰るぞ。」
「ゴホン、欲深き人間よ。
我を暖めてくれるなら我がお主に力を貸そう。これでどうじゃ?悪い話しじゃなかろう。」
火の精霊の力。
こいつじゃなんか頼りないけど、なんかカッコイイな。
「よしいいぞ。俺と契約するか?」
「ふっ、お主は人間にしては中々やる様じゃな。我の力が欲しければ、我を暖めるが良い。契約してやろう。」
契約が成立したと同時に、俺の手が光る。その光りはそのまま、火を出し続けている指を伝い火の精霊に移動した。
そして火の精霊に契約紋が刻まれたのだった。まさかとは思ったが、火の精霊と契約出来てしまった。あの7000万円の本の力は半端ない。
「えっ?契約紋?なんでなんで?えー!ヤダヤダ嘘でしょ。」
俺は手の火属性魔法を維持したまま、コートで、火の精霊ごと手を包む。
俺のコートの生地なら燃えないし、暖かいから大丈夫だろう。
「真夏帰るぞ、また乗せてくれるか?」
「うん。」
真夏は嬉しいそうに尻尾をフリフリしながら答えた。
次回エロ回予定です。




