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焼き串屋がピンチ?

俺は芝生の上で昼寝しながら、これが異世界の俺強えーか。とか、そろそろ真夏が実はメスで裸コート姿で美少女化すんじゃね?とか勝ってな事を考えていた。


そうだ剣だ、異世界なんだし俺用の剣を作るぞ。とか思っていたまさにその頃、突然俺の幸せな日々を崩壊させる軍団が俺達に近づいて来ていた。


その軍団は魔獣でもなく、魔人でもなかった。

ただの人間であった。

ただのというのは語弊があった。

貴族と大商人そして初日に見た偉そうなローブ集団と軍人達だった。


赤コート組の俺達の名声に嫉妬した貴族と国の偉い人達、みんなが門前の屋台で食事する事で売り上げが減った大商人、そしてその連れの軍人達であった。


とはいえ俺も貴族だし、屋台めちゃくちゃ儲かってる商人だし、A級ハンターだぞ。

ちゃんと土地の権利書だってあるし、商売の許可証もある。


などと思っていた時代もありました。

ほんの5分前ですが。


ぜんぜん話しにならなかった。

貴族の位はあっちの方が遥かに上だし、

商人としてのコネもあっちが上、

更には俺の実力はA級じゃなくて、軍隊には勝てそうもなかった。


正規の許可証や権利書もローブ達が許可の取り消しとかで無意味、更にはギルドに登録した事で消えたはずのパーティの仲間達の昔の犯罪歴や生まれの身分についてまで責められた。


人間を諦めていた頃の冷たい闇が、俺の心をそっと包みこむ。





俺は1人で生きていける。





元盗賊達は自己責任で捕まるだけだし、俺はご飯を食べなくてもいい体だし、お金もいっぱいある。

俺達がいきなり抜けたらギルドも大変だろうけど、ここは田舎国家とはいえ首都、A級ハンターも大勢いる。

焼き串を楽しみにしてくれている人も多いが、どうせ大商人が類似品を出すだろう。


もういいじゃないか、また廃墟で1人で生活しよう。


そう思いかけた時、何か暖かい物が俺の足にくっついてきた。


真夏だ。

あんだけ喜んでだくせに今まで一回も着なかったコートを着た真夏が俺の足にくっついてきた。


そうだ真夏。

真夏は魔獣だ俺が居ないと殺されてしまうかもしれない。

なんとしても連れて行かなければ。


赤いコート…。

そうだみんなは俺の仲間だった。

みんなもこのままでは殺されてしまうかもしれない。

みんなも連れて行こう。

なんとか、なんとかこの場を切り抜ける方法はないか?


闇に呑まれそうだった俺は必死の思いで踏み止まり、一度冷静になる為に周りを見回す。


心配そうにこちらを見ているニカナーノが目に入った。

彼女も今やギルドの副長。

今回の件は俺達だけでなく、国の出来ない仕事をしてきたギルドに対しても裏切り行為だ。

なんとかギルドだけでもこっちの味方に付けられないだろうか?

ギルドがこちらの味方になれば軍隊などどうとでもなりそうなんだが…。


更に周りを見回すとアレックス達焼肉仲間が心配そうにこちらを見ているのが目に入った。




思い出した。




そうだった。

その手があった。


俺は今までの事を思いだしていた。アレックス達の事、賞金首事件とニカナーノ、A級ハンター達の真夏討伐隊、老舗洋服屋の店員さん…。


俺はその場で大袈裟なポーズを取りこう言った。

「これはこれは皆様、わざわざ御足労ありがとうございます。私はハイイーキョ村で軍の皆様に助けて頂いたあの日の事を一日足りとも忘れた事は御座いませんでした。

そして、何か少しでも私に出来ないかと一生懸命国に尽くして参りました。

今は服こそ新調しておりますが、感謝の気持ちを忘れない為に、剣だけは当時の物を今でも大切に使っております。

どうぞご覧ください。」

と俺はボロボロの剣を差し出した。


ボロボロの剣を見たローブ集団は驚きつつも、少し嬉しそうな顔をしている。

貴族はどうだかわからないので、次は商人を狙っていう。


「こちらの串焼きは、私が住んで居たハイイーキョ村名物でございます。

この串焼きもこの街の皆様になんとか喜んで頂いけたらとはじめたものでございます。

もちろん私などが作るより、より大きな商会の方々で作られた方がより国の為になる事は明白でございます。

ですが私も商人の端くれ、ここは商人同士らしく法律に則って土地の権利書や販売許可証、商品の権利などを買い取って頂けないでしょうか?」


少々評判が落ちようとコネを使って商売を辞めさせようと難癖を付けに来たわけだ。

それが少々お金がかかるとは言え、向こうからこっちに大人気の商品の権利を買ってくれと言ってきたのだ。

こんなうまい話しはない。

商人も満足したようだ。


こちらの安全が保障された以上こちらも何か仕返しがしたい。


「私は故郷のハイイーキョ村の復興も目標にしております。しかしながらそれは困難な道でございます。何かお力添えをお願いできませんでしょうか?」


これにはローブが答える。

「そなたの働きは誠に素晴らしい。そしてA級ハンターにまで上り詰めおった。

新しい爵位の贈与すら検討しておった程じゃ。その上今回は大人気の商売すら国の為に手放しても良いと言っている。

しかし、ハイイーキョ村はこの国の最果て、ましてモンスターの大規模攻撃も受けたばかりである。国にとってもあの地方は管理費だけかかる赤字の土地じゃ。

こればかりはなんとも。」


「でしたら新しい爵位とともに私をトーナリ村とハイイーキョ村の間の川から先の領主にしてくださりませんか?

その後私は独立してしまいましょう。

その上で国交を結んで下さい。

そうなれば赤字も解消されますし、私も故郷の復興がしやすくなります。」


なんかうまい事言ってるがどの道みんなを連れてハイイーキョ村に帰るつもりだし、村が復興した後何か言われてもうざいんでこの際言いたい放題言って見ただけだった。


アレックス達が何やら人混みの中から拍手して援護してくれている。


そしてここでニカナーノが動いた。


「私、ギルド副長のニカナーノにてございます。話しを聞かせて頂いておりましたが、いくら赤字の地方とはいえ、独立とはこれはなかなか。

独立となれば万が一の心配もありましょう。」


異世界名物、口八丁回。

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