ここどこっすか!?
ふわり、ふわりと意識がたゆたう。
気持ちよく寝ているとき、ゆっくりと意識が浮上するように、自分は目覚めたっす。
目を開けたはずなのに、目の前は真っ暗。
きっと暗いところにいるんすね。
最初はそう思ったっす。
でも、時間が経つ毎に息苦しさが増し、身体中を締め付けるような痛みを感じ始めたっす。
なんか満員電車で押し潰されているときを思い出したっす。
更に締め付けと息苦しさが増加したときに、本能が理解したっす。
あ、コレ密閉された空間に閉じ込められてるっす。
焦ったっす。
マジで焦ったっす!
気がついたら訳もわからぬうちに窒息死か圧死を迫られるとか何事っすか!?
とりあえず死にたくない。
その一心でがむしゃらに動いたっす!
手足めっちゃ動かしたっす!
最初は全然動かなかったっすけど、少しずつびきりびきりと音が鳴り、動くようになったっす。
よっしゃこの調子で脱出っす!
思いきり身体を捻ったらバキリと大きな音がして、自分のまわりにあったものがきれいに剥がれ落ちたっす。
あーっ身体いってぇっすねぇ!
締め付けられてたのもさることながら、ずっと同じ体勢でいたらしく、身体が凝り固まってるっすよ!
ゴキゴキと身体中の節を鳴らしつつ周囲の確認をするっす。
なんだって自分が閉じ込められていたのやら。
自分はそんなことを思いながら、目の前に広がる鬱蒼とした森を眺めていたっす。
やっばいっすねぇー、一切見覚えないっすよこの風景。
なんだってこんなことに……。
そんなことを考えながら、顔に手を当てたっす。
目に入ったのは暗いグレーの毛皮。
それが自分の腕にまとわりついていたっす。
そんな、厚手のコートとか着てた記憶がないんすけど……?
今一度確認するっす、自分自身を。
腕には毛皮。
腹にも毛皮。
脚にもこれまた毛皮。
毛皮、毛皮、毛皮。
長く伸びる尻尾にもまた、毛皮……っす……??
自分の意識は、一度そこで途切れたっす。