それは不幸な事故だったっす
(あー……痛ってぇすねぇー……)
自身の脇腹から生えている鉄パイプを眺めながら、自分は素直にそう思ったっす。
(なーんでこんな事になっちまったんすかねぇー……?)
ちょっとアイスが食べたくなったから、近くのコンビニに出掛けたのが三十分前。
片道十分かけてコンビニへ向かい無事アイスを手に入れたのが十五分前。
その五分後に迷子の女の子を見つけて、アイスを泣く泣く手放しご機嫌とりをして、一緒に親御さんを探すことさらに五分。
んで、道半ばで鉄パイプが空から降ってきたと。
工事現場の前だったっすけど、まさかこんなことになろうとは、思っても見なかったっすね!
女の子は咄嗟に突き飛ばしたから無事だといいんすけどねぇ。
なんか二十本以上降ってきたっぽいすけど、奇跡的に即死してないお陰で逆に辛いっす。
なんか、腕とか足があり得ない方向に曲がってるし、腹と太ももに一本ずつパイプ刺さってるし、折り重なったパイプがのし掛かってて痛いわ苦しいわで、なんの苦行っすかねこれ!?
前世は知らねぇっすけど、今世では清廉潔白とは言えずとも、そこそこ清く正しく生きてきたつもりだったんすけ……ど……ッ!
ぐぅっ……やっばいっすね、本格的に……意識が……
「くふ、くふふふふ! つかまえたぁ……」
最後に聞こえたのはそんなぬるっとした感じの声だったっす。