そうかもしれないかもしれない
「好きかもしれない」
あらあらまあまあ。なんだ唐突に。
「女性として。」
「両方女性だからねぇ。」
いつもの様に家に押しかけてきた幼馴染。仰向けに寝た私の上に被さっていた。彼女の長くはない髪が私の耳に触れる。彼女に取られた私の両手。
「エイプリルフールじゃないよ。」
「わかってるよ。二ヶ月前だし。」
気持ちを落ち着かせる様に息を吐きながら彼女は上半身を起こした。同時に私の手が開放される。温かかったのに、どんどん冷えてしまう。
「私に恋愛感情を抱いていると?」
「そうなのかもしれない…。」
なんだ全く煮え切らない。スカートから見える太腿眩しい。
「私と付き合いたいの?」
「うーん…やや。」
やや。
「私を一人占めしたい?」
「ちょっとしたいけど恥ずかしい。」
よくわからない。
「私とそういうことしたい?」
「ひゃ。」
ぐ、と腰だけ持ち上げると、擽ったいようななんともいえないような声をあげた。こんなことされても未だ座り続ける。肝が座っているのかなんなのか。
どうしたものかな。
私はこの子が思っている以上に好きだし、この子が最近益々私が好きなのもわかっていた。どちらに転んでも悪いことではない。
口を尖らせて思料していた彼女がやっとこちらを見る。
「よくわからないけど、そうかもしれない。」
「かもしれない。」
「から、一回やってみよ。」
手を合わせる。
この子のこういうところ、大好き。