3-12 墓地村
少し間が空いてすいません。その代わりといってはなんですが、少し今回は長めです。
今から65年前。
「こ、これは・・・。」
「な、なんということだ・・・。」
王宮内を揺るがす大騒動が起きた。政務を行うナユリア家とマリュード家はもちろん、王宮勤めの召使いたちまでもがその騒動でもちきりになるほどの大事件だったらしい。
それもそうだろう。俺の祖父にあたる先先代のクランジア国王とその王妃の間に授かった全国民待望の世継ぎが、王族の間では禁忌とされていた双子だったのだから。
タツキやソージは知らねえかもしれねえけど、この国の王位継承には恒例のお決まりごとがあってな。そのうちの一つに、
『王位継承を行える者を複数存在させてはならない』
っていう訳の分からねえもんがあるんだよ。
理由は簡単で、継承権争いを防ぐためってのと、その争いに敗れた奴がどこか別の土地で新しい国を建国するのを防ぐためってのがあるらしい。
というのも昔、このクランジア王国が作られる前に、国を継承することができなかった王族がいろんなところに独立権を持った国を作ってな。それでその国同士が対立したせいで、この世界を巻き込む戦争が起きたってのがこの決まりができたきっかけになってんだ。
んなもん、新しい国作るのを禁止する決まり作った方が早えってのによ。
それ以来、王族は必ず子供は1人しか作っちゃいけねえってことになってたんだけど、例外が発生しちまった。
つまり、どっちかを殺さないといけない必要に迫られちまったんだ。決まりを忠実に守るとしたらそれが最善、のはずだったんだがな。
当時の平和ボケしていた王宮の面々の中には、非情に徹しきれない者と、それでも決まりは決まりだからと主張する者で意見が真っ二つになっちまったんだ。
不毛な議論が連日続けられたわけだが、ついにその結論が出る前に、
「オギャー!オギャー!」
「オンギャー!」
ついに双子がこの世に誕生してしまった。
すると事態は、今までの議論なんてまるでなかったのだとばかりに、あっさりと王宮内の意見が一致した。元気に2人揃って生まれてきた赤子たちの顔を見てしまったら、もはや誰も殺そうなんていう意見を出すことができなくなっちまったんだな。
何の見栄なのか、誰のための見栄だったのかは知らねえが、国民同士の殺害を禁じるという別の決まりに反するなんてご立派な理由をつけて、王宮内はとりあえずは落ち着きを取り戻した。屁理屈を考える知恵だけは一丁前なんだからよ。
ちなみに爺の一家のナユリア家は殺害派だったらしいな。そこらへんの話はお前の方が詳しいだろ、爺。
そんなこんなで、なんとか双子は揃って生存権を与えられ、兄はギルガライト、弟はギリアンテと名付けられた。
・・・後の先代クランジア国王であり俺の父親であるギルガライトと、今なおカルシウ村と名付けられた村の長をやっている叔父貴のギリアンテは双子だったんだ。
だが、命と生存権を与えられたのだから何もかもが円滑に動いていく、そんな幸せな物語が待っているわけではなかった。特に、双子の弟という身分を与えられてしまったギリアンテは、むしろ生を受けたことで不幸な道を歩んでいくことになったと言っても過言じゃねえだろうな。
双子の誕生という事件が国中に広まると、混乱が生まれるかもしれない。そう判断した政務組は、ギルガライトのみを表舞台に立たせることにして、ギリアンテの存在は国民には永遠に隠し通すことにした。
つまり、ギルガライトは後継ぎとして国民の期待を一身に背負い続けることになる未来を、ギリアンテはその生涯において王宮から出ることが許されず、ひっそりと隠れて生きることを強いられる未来を進むことを勝手に義務付けられたんだ。
でも、んなもんは絶対どこかで歯車が狂い出すに決まってんだろ。同じ日同じ時間に同じ腹の中から生まれたもん同士なのに、片方だけはこの国の世継ぎとして大切に育てられ、もう片方は日の目を浴びることすら許されず一生王宮って名前の監獄に閉じ込められる。こんな不平等な環境の中で心を正常に保たせることなんか無理に決まってる。
だから次第にギリアンテの人格が狂っていったのは、当然だろう。人間不信、兄への嫉妬、不条理への怒り。少し考えれば誰だってこうなるだろうってことくらいわかるはずだろうに、誰もギリアンテのこの負の側面に気づくことはなかった。
なぜなら、ギリアンテは生まれながらにして話すことも少なく、感情が表に出ない子供だったからだ。
ましてや、王宮の人間は後継ぎであるギルガライトの育成につきっきりで、最初から誰もギリアンテのことなんて見ていなかったらしいからな。
そしてとうとう、その浅はかすぎる考えに牙が突き立てられる大事件が起きた。
ギルガライト殺人未遂事件。
それは、双子の15歳の誕生日だった。
この国では、王族が誕生日を迎えると国を挙げての盛大な催しを行うんだ。その催しには必ず王族が全員参加をして、主役が次の1年の抱負を語る。その決意表明の演説は、国王ならば威厳を示す機会、次期国王ならそれに加えて、自分の成長の証を見せつけるいい機会になるわけだな。・・・なんだよ爺、そんなに睨むな。言いてえことはわかるけど、話の腰を折るんじゃねえよ。
でももちろん、自分の存在を公にされていないギリアンテには、その催しに参加する資格なんてなかった。双子の兄は、立派に務めを果たして国民全員から祝福の歓声を浴びているのに対し、自分は誰とも顔をあわせることなく、1人王宮で召使いに祝われるだけ。
それを今までの14年間はただ見ているだけだったんだが、その年はそうはいかなかった。
ギリアンテには、剣術と魔術を習得する権利すらも与えられていなかった。まあ当たり前だよな、力をもたせたら何をするかわからねえし。そんなギリアンテにとって、一日一日を過ごす手段は読書しかなかった。
日々、必死に剣と魔法、さらにはこの国の常識を勉強している兄をよそに、ひたすら読書ばかりしていたギリアンテは、本の知識だけは異様なほどに蓄積されていた。
そしてそこで知ってしまったんだ。・・・毒というものの存在に。
この世には毒殺という手段がある。
ギリアンテは毒を知ったと同時に、一つの可能性に思い至ってしまった。
『兄が死ねば、自分がこの国の後継ぎになれるかもしれない。』
その発想が浮かんでしまってからは、ギリアンテは兄を殺害すること以外に何かを考えることができないようになっちまった。
刃物なんて使わせてもらえないし、かと言って地魔術で錬成する力もない。そんなギリアンテにもできる殺害方法が見つかってしまったんだ。闇に染まってしまった心が生まれて初めて高鳴ったんだろうな、きっと。
その毒を持つ花を召使いに調達させたギリアンテは、1人部屋の中で毒薬へと調合した。
その毒物をいつ兄に盛るか。
誰にもバレずに兄に毒物を盛れる時。
それがギルガライトの誕生日だった。王族は外で恒例の催しに参加するから夕食までは帰ってこない。王宮内も浮かれ気分になっていて注意力が散漫になる。
その機会をギリアンテは逃さなかった。
この日のためにギリアンテが練り上げた殺害計画は功を奏し、ギルガライトは計画通り生死の淵を彷徨った。
兄の苦しむ姿を見てギリアンテは何を思っただろうな。あの鉄壁の表情に綻びでも生じていたかもしれねえな。
ま、それもぬか喜びに終わっちまった。
なぜかって言うと、ギリアンテには一つ大きな誤算があったからだ。
それは、本の知識では珍しいと書かれていたため考慮していなかった白魔術の存在。
その珍しい力を、まさか実の母がそれなりに身につけていただなんて、ギリアンテは考えもしていなかった。
そんな母の懸命な治療の甲斐もあって、ギルガライトは何とか一命を取り留めることができた。
母の愛を享受できていなかったが故に、母が白魔術に長けているという知識さえも知らずに育ってしまったギリアンテの敗北だった。
そして皮肉にもその母の治療の結果で、ギルガライトが苦しんだのが毒素を持つ花のせいだということが明るみになってしまった。その後、その花を調達した召使いの証言からギリアンテが犯人だということも連鎖的に判明してしまった。
この一件で、王宮諸侯は本来15年前に行うべきだったギリアンテの死刑に踏み切ることを決意した。実の兄を殺そうとしたギリアンテに、ついに実の両親である国王夫妻も情が完全に消え失せたらしい。我が祖父母ながら、屑人間だとしか言いようがねえ。
そんな中、根強くギリアンテの殺害に反対し続けたのがマリュード家の人間だった。自分たちの行いにも落ち度があったことや、今ここで処刑するなら15年前にしなかったのが本当に無意味になるだとかあれこれ言い分を述べて、国王やナユリア家を相手取って戦ったらしい。
・・・が、議論がまとまらないうちに、先先代は信じられない行動に出た。
グラーノス・ナユリア、爺の父親で先先代の右腕と言われていた男に、先先代はある命令を下した。
ギリアンテの国外追放。
犯行手口は簡単だ。マリュードの目が無いうちに、深夜ギリアンテの部屋に忍び込み、そのまま拉致して門の外にポイだ。王都の外にいる魔獣に殺してもらおうって算段だったわけだな。
翌朝、王宮内は大騒ぎになったそうだ。
国王もグラーノスも、自分の命が危ういのを悟ったギリアンテが逃亡したのだというデマを流して、自らの犯行を隠蔽した。
だがそれを聞いたマリュードは、すぐに王都と外を隔てる東西南北の門へ家族総出で探索に向かわせた。
そして、街門にへばりついて必死に魔獣に気づかれないように足掻いていたギリアンテを発見することに成功した。
きっと先先代の挙動や態度から察したんだろうな。マリュードの咄嗟の機転のおかげでなんとかギリアンテは九死に一生を得たんだ。
とはいえ、戻ったところでギリアンテの死の運命はもはや変えられない。
おまけに、実質王命に背いたことになったマリュード家も、王宮に戻るという手段が残されていない。
そんな彼らがとった行動が、王都の外で生きるということだった。
いつか魔獣に襲われて死ぬその時まで。一生を王都の外で過ごすことを余儀なくされたギリアンテとマリュード家の親子4人は、魔獣に襲われながらも寝食を行える場所を死に物狂いで作った。
仮住まいを地魔術で作り、その住居を守るために1日中マリュード家が魔獣と戦う。そんな血みどろの日々を毎日のように過ごした。
しばらくして、あいつらの存在は先先代にも知るところとなった。だったんだが、特に手を下すでもなくあいつらの生活を黙認するという行動に出た。どうせ手を出さなくても勝手に死ぬだろうという考えのもとだ。
こうして、王都の外にひっそりと仮住まいで生活する団体が誕生した。王宮内では、5人が生活しているあの過酷な環境を『墓地村』と呼んで嘲笑い、いつまであいつらがその生を全うできるのか高みの見物をしていた。
でもま、俺らも知っている通り、あの村はいまだに残っている。墓地村なんて呼ばれていたのに、今ではカルシウ村なんて名前をつけられ、まともな生活を送ってる。
あの頃いたマリュード家の人間は、今では4人の孫たちに代が引き継がれているがな。
でも、かつて家族や王宮の面々に虐げられ、心を闇より奥深くに沈めたあの悲劇の弟は、あの時以上の醜悪さを持って君臨している。・・・復讐の機会を今か今かと待ちわびながらな。
* * *
「あえて口を挟まずにおったが、これまた何重にもオブラートに包んだ語りですのう、若。」
「事実だけを伝えればいいだろ。それに、俺はお前と違ってその場に居合わせていたわけじゃねえから、その当時のドロドロ加減までを語り継ぐのは流石に無理だ。」
師匠が口を挟んだことで語りがひと段落したことを悟った僕は、実になんとも言えない気分に襲われた。いや、多分姫様と宗次も同じ感じなんだろうな、あんまり顔色が思わしくない。
お嬢はさっきまでの口ぶり的にこの話を知っている様子だったけど、やっぱり暗い顔をしている。内容を知ってるからって、平気な顔していられるような話ではなかったよな。
「あの村にそんな生い立ちが・・・。」
「まあそれくらいの過去でもねえと、あんなにひねくれた人間はできねえよ。」
まだあのぼろ雑巾とは、絶望状態から回復して魔獣退治に行くまでの間しか絡みがないけど、あのわずかな時間だけでもあの人がどこか異常ってことはひしひしと伝わっていた。
でも今の話を聞いて、生きているのか死んでいるのかよくわからないあの不思議なオーラにもなんとなく合点がいった。
きっとあの人は、すでに無数の死にも似た経験をしてきたんだろう。拉致されて1人丸腰で門外に投げ出された時、そこから今の生活に至るまでに何度も遭遇したであろう魔獣の襲撃。原因は知らないけど、そのマリュード家っていう人たちが世代交代しているのも、単純に一線を退いたなんて理由じゃないんだろう。それこそ、今回みたいに死人を出しながらあの老人は今日まで生きてきたんだ。
「でも王様、なんで姫様にこの話を黙ってたんですか?結構きつい内容ではありましたけど、そんな隠すほどのものでもないんじゃないかって思っちゃうんですけど。」
むしろ、いずれ王位を継ぐ存在の姫様にこれを黙っているのはデメリットしかない気がするんだけど。
「・・・お前は何もわかっていない。」
そんなことを思っていたら王様は、思った以上のあたりの強さで僕に一言浴びせてきた。
「・・・普通、自分の先祖の汚点を自分の子供に聞かせたいって思うか?自分の実の爺さんが、くだらねえ決まりに囚われて、あんなバカみてえなことしたって、お前なら言えるか!?ーーー先先代がやったことは、立派な殺人未遂だ。叔父貴が嫉妬心に駆られて親父を毒殺しようとしたことと同罪だ!叔父貴にはまだ同情の余地があったが、先先代には同情の余地がねえ分、よっぽどタチが悪い!!!」
机に拳を叩きつけて、やるせない気持ちを吐き出す王様。
実際、今の言い分を聞くまでは割と軽い気持ちでいた自分がいた。
でも今の話を現実世界、自分の親族の話に置き換えると、たしかに生々しさが半端ない。
理由はどうあれ、自分の祖父が自分の父のみを愛し、叔父を冷遇。それで叔父が父を殺そうとして失敗。その仕置きとして、叔父を殺害しようとした。
仮に僕に娘がいたら・・・。知らせなくてもいいのなら、絶対に聞かせないな。
「それでも私は、この話を知らずにいるわけにはいかなかった。先祖が犯した過ちで今も苦しんでいる人たちがいるのなら、それを知らずにこの先王位を継ぐことはできなかったでしょう。」
「ああ、わかってる。だから今言ったんだ。今まで言わなかった理由はそれ以外にも色々あったが・・・。結局のところ、ここまで隠し続けてきたのは、ただ単に俺が臆病だっただけだ。先祖の恥を娘に晒すのを躊躇い続けた俺の弱さだ。だから嘲笑ってくれていい。」
今度はどこか投げやりな言葉を呟いて、誰とも目を合わせようとしない王様。
「嘲笑うなんてそんな!私がお父様の立場だったとしても、きっと時間がかかっていました!自分の口からは言わずに、逃げていたかもしれませんし!」
いつになくしおらしくなる王様だったが、それを見て本当に嘲笑ってやろうとする奴はいなかった。
いや、やる人なんていないとは思っていたけど、なんかここまでのやり取りを振り返ると1人やりそうな奴に心当たりがあったからさ。
でもかと言って、傷心状態の王様を気遣う様子を見せるわけでもない宗次は、まるで今までの話を一切聞いていなかったかのような平然とした顔で話し始めた。
「でも俺たちがこの世界に来るまでは、あの村は平和だったって感じの雰囲気出してたけどどういうことだ?魔獣は今も昔も変わらず存在してたんだろ?」
宗次の問いかけに答えようと口を開いたのは師匠だった。
「そこに関してはいくつか理由がある。だがまあ、一番大きい理由だと考えられているのは、単純にマリュードらが近辺の魔獣の数を減らしたっていうのが大きいじゃろうな。あとは、先先代が亡くなり、後を継いだ先代のギルガライト王があの村を全面的に補助し始めたというのも大きい。」
「レージベルの活躍も地味に効いていると思いますよ?あいつが王都を飛び出して、闇魔法で魔獣をある程度制御してくれているおかげで、魔獣が村を襲う頻度が減ったんですから。」
なるほど、最初は村の人たちが頑張って、後になっていろんな支援が来るようになったってわけだな。てかザイロンさんの補足説明を聞いて思ったけど、魔王さんっていつも縁の下の力持ちポジションだよね。
「たしかに、私が物心ついた頃にはすでにあの村は今の状態でした。魔王様が度々魔獣をけしかけて騒動になっていることを除いたら、村が襲われて危ないなんて話は、3年前のあの日に事後報告で一度聞いたくらいですよ?」
この18年間を振り返った姫様もそう言っているし間違い無いんだろうな。
なーんて、姫様の言葉を聞いて、僕も納得したとばかりに頷こうとしたんだけど。
あー・・・、流石にこの空気は慣れたわ。この姫様が地雷を踏み抜いて空気が凍るこの感じ。
「あーそうか・・・。逆に今までよくあの事件のことを隠し通してこれたな、ガルディン。」
「まー無理をしたのはたしかだな。今まで一番頑張ったのはサラだったと思うぜ俺は。」
「本当ですよ!!!マイヤ様に気づかれないように私が陰でどれほど気をつけていたと思っているんですか!!!」
何の話をしているかどうもピンときていない姫様の隣で、お嬢は王様の言葉を受けて、珍しく少々食い気味に不満を口にする。
「あのー、姫様がこのやりとりを聞いてもいまいち気づいていない様子なんですけどー。」
「え、私何か変なこと言いました!?」
「・・・おいおい、この世界に詳しくない俺たちでも、今ので察しつけてんだから頼むぜ姫さん。」
よくこの流れで1人キョトンとしていられるよなあ、姫様。なんなら、自分の話をされているってことにすら気づいていなさそうだぞこの人。
「じゃあこんな流れになっちゃいましたし、話の続きをお願いしていいですか、王様?」
「・・・やっぱりさっきの話だけじゃ満足してくれないよなー。気づいちゃうよなーお前は。」
「いや、ちょっと長い昔話を聞いて満足しそうにはなりましたけどね?でもまだ本題には全く触れられてないじゃないですか。」
王様がどうしてここまであの村に敵対心をむき出しにしているのか。あの村の生い立ちを聞いただけではさっぱりわからない。今までの流れだったら、あのぼろ雑巾に同情して終わりだからな。
「ここにきて誤魔化そうとするのは流石に往生際が悪いですぞ若・・・。」
「ちょっとそれは無理があるんじゃないかなガルディン。」
「お前らどっちの味方なんだよ!?」
目の前の僕を相手にしながら、仲間だと思って背中を預けていた人たちから堂々とナイフを突きつけられている王様。少しは同情しようという気になりましたよ。
「先先代の王様によって闇堕ちしたあの村の村長。その待遇に思うところがあって、先代の王様が生活を保障したはずなのに、現代の王様にはこれでもかというほどに嫌われている。こうなってしまうまでにどんな展開があったのか、俺はもうなんとなくわかった気がするな。」
全てを悟ったかのような全能感を漂わせて宗次がなんか言ってるけど、これは無視の方向でいいですかね?
「はあ、正直こっから先のことはあんまり思い出したくないんだけどな。でもこっからがある意味一番大事なところだししゃあねえわな。」
すでに第一回戦で心に傷を負っているはずの王様は、来たる第二回戦に向けて姿勢を正した。
その動作一つで、場の空気に再び濃密な緊張感が漂い始めたのを感じた僕もまた、背筋を正して椅子に座り直した。
そして語り部は再び話しだす。ーーーさっきまでとは違う、異常なほどの威圧感を放ちながら。
* * *
墓地村が誕生して10年ほどが経ったある日、事件は起きた。
先先代の崩御。
死因は一般的な病死だったんだが、その病気を発症するまでがまたなんとも言えなくてだな。
先先代は、叔父貴が王都から追放されてからはあんまり機嫌が良くなくってな。最初の頃は、いつ魔獣たちの餌になったという報告が耳に届くのかとウキウキでもしてたんだろうが、いつまで経っても墓地村がその名前の通りの場所にならないことにだんだん腹を立ててきてな。
腹を立てた次は、少しずつ不安が心に巣食うようになっていった。嫉妬心一つで双子の兄を殺そうとする狂気の持ち主が、いつかは自分にも復讐に来るんじゃないか。
王位を継ぐものとして一通りの知識も力も身につけているはずの男が、王族として産まれながらも何一つ与えられなかった実の息子に恐怖し始めたんだ。哀れだと言うほかねえな。
そんな心休まらない日々を過ごしながらも、王都自体は年月を経るにつれ平和が訪れていった。理由は簡単。墓地村が魔獣を駆逐してくれているおかげだ。魔獣たちが数を増やして王都の門を脅かすという危険がなくなったことで、王都はますます平和ボケの一途を辿っていた。
だが、先先代はその様子を見てますます不安を高めていった。
平和になっていく王都の様子。それは裏を返せば、墓地村の連中がいまだに元気にしているという証拠になっていたこと。そのことが、ますます村から反逆の狼煙を上げられるんじゃないかっていう不安を掻き立てた。
もう一つは、王都に住む民衆がこの平和を享受できている理由に疑問を抱き始めるんじゃないかという不安だった。なにせ、国民はそもそも墓地村の存在を知らないんだから。万が一にでも、あの村の存在に気づく者が現れてしまうと、芋づる式に次の王位を継げる人間が2人いることを知られてしまう恐れがある。
そして何より、自分がやってきた人道外れたこの行為が国民に知れ渡ってしまうことで、自分への信頼が無くなってしまうことへの恐怖。
冷静に考えれば、国民は門の外側を見る機会なんてないんだから、そんなこと起きるはずないって簡単にわかるはずなのに、当時の先先代はすでに平静を失っていたんだろうな。
自分が下したはずの命令の結果に、自分が一番苦しむ結果になっちまってた。
そうやって1人疑心暗鬼になっちまった先先代は、ついに心を病んじまった。すると今度は、夜な夜な叔父貴が夢に現れて、心を蝕んでいったらしい。
そう、先先代を死に追いやった病っていうのは、精神病だったんだ。ただの病気ならまだしも、そういった経緯で死んでいったから、王宮内では叔父貴に呪い殺されたなんて言われていたらしい。
後々、村の連中と話してわかったことだけど、当時の村の連中はそんなことを考える暇もなかったらしい。毎日毎日を生き抜くことを至上命題として、そこからどうしたらより安全な暮らしができるか。そんなことばっかり考えてたって言ってたらしい。お前はよく親父の名代で村に行ってたらしいからそういう話には詳しいだろ、爺。
先先代の死後、盛大な葬儀と同時に執り行われたのは親父の即位式だった。当時親父は25歳。双子の弟に10年前に毒殺されそうになったくせに、その当時にはすでに立派な偉丈夫になってたらしい。剣の腕も相当立つし、魔術も火と地に抜群の適性を持っていた。そこに宝器まで継承されたもんだから、国民は史上最強の王が誕生したって湧いたらしいな。魔術はともかく、剣の腕では俺の方が上だったけどな!・・・え、自分語りはいいって?うるせえ!
親父・・・先代国王ギルガライトはまず、先先代が残していった最大の禍根を摘み取ることから始めた。
そう、さっき爺も言ってた村への支援だ。
具体的には、各種物資の援助やあいつらが危機に陥った際の救援だな。つっても、すでに10年の間にある程度安定した生活送ってたから、魔獣の肉以外の食料の提供と魔獣除けの柵の設置の手伝いくらいしかやることはなかったんだけどな。
もちろん、それに伴い先代は双子の弟の存在を告白、国中をそれなりの混乱に陥れたが、幸いそこまで大きな影響は出なかったらしい。王位継承がこうして無事に済んだ以上、そこまで心配する要素が無くなったっていうのがでかかったんだろうな。
ちなみに、王都内に戻ることを提案することも考えたらしいんだが、それは却下された。
理由は、結局10年前の暗殺未遂を引きずっていたこと。殺されそうになった相手をまた王宮に招き入れるっていうのは、流石に王宮内からの反発が半端なかったらしい。それこそ、親父を殺せば次は叔父貴が王位を継承できるって立場なわけだったから、警戒心が強かったみたいだ。
もし仮に王宮へ帰ることができると言われたら、叔父貴はどうしたんだろうな。当時はどうだったか知らねえけど、今は結構村への執着が強いから断った可能性もあったんだろうか。
ともかく、こうして墓地村とのわだかまりを改善するための一手を打った親父は、その後すぐに1人の女性と結婚した。そしてその1年後には、その女性との間に子供を授かった。
普通は喜ばしい出来事のはずなんだが、王宮内はどうにも落ち着かない様子だったようだな。そりゃまあ、前の代の出産はもはや事件と言っていいくらいの騒動に発展したわけだし当たり前だよな。
しかしそんな不安も見事に払拭、元気な1人の男の赤ん坊が誕生した。こうして産まれた赤ん坊は、ガルディンと名付けられた。まさに、この時こそが英雄誕生の瞬間だったわけだな、はっはっはっはっは!!!ってなんだよその冷たい目は。
それからは、親父の誠意を込めた支援の甲斐もあり、王国と村の間には比較的良好な関係が築かれていった。
魔獣の集団が観測された際には、親父や若かりし頃の爺が討伐に出向いたりした。
俺やザイロンが大きくなった頃には、村の様子を見にいったり物資を届けにいったりすることもあった。
マリュード家が新たに子供を授かった際には、その子供たちが将来村を守れるようにと、俺たちと同じように王宮で剣術と魔術の修行を受けることまで許可した。
マイヤが生まれ、サラと一緒に修行を始めた際には、マリュードの子供達、フウランやコウセキが面倒を見てくれていた。
そうして、村と王国との間には先先代の頃には考えられなかったような強い絆が生まれていった。
と、3年前のあの事件が起きるまでは、みんなそう信じて疑わなかっただろうな。
* * *
3年前のあの日。
俺はいつものようにザイロンと一緒に町に繰り出して過ごしていた。
こうして2人で国民のご機嫌取りや町の警備をするっていうのが当時の俺たちの日課だったんだが、その日はすぐにシャミノが俺たちを呼びに来た。
シャミノが仕事中の俺らを呼びにくる理由はだいたい決まっていた。王宮へ戻るようにとの催促だ。
どうせまたいつもみたいに、ヘボが魔獣の集団をけしかけてきたから俺に討伐しに行けとでも言うんだろって思ってたんだが、今回はシャミノも要件は知らないって言っててな。
俺は何やら不穏な空気を感じながら王宮へと戻った。王宮内は普段とは少し違った騒がしさに包まれていて、ますます心の内に謎の焦りが走ったのをよく覚えている。
そんな俺の焦りをよそに、笑顔で外出の準備をしていたのは、親父と爺、それに爺の妻でシャミノの母親のクレージェ、あとは一週間後に剣術と魔術の修行を終える予定のコウセキの4人だった。
「コウセキがどうしても、自分たち兄妹が受けた恩を返したいと言い張るのでな、3人で村まで顔を出そうと思う。ガル、お前にはその間の留守を任せる。」
あの堅物の親父が、珍しくどこか嬉しそうにそう俺に言い残して、言伝通りコウセキも連れて4人で王宮を後にして行った。もう60過ぎの老人3人を連れての里帰りに、コウセキも心なしかいつもより元気そうだったな。
こうして王宮においていかれた俺らは、留守番という名の雑務処理を任されることになった。クレージェと爺まで留守にしたから、サラとマイヤの修行の面倒も見なきゃいけねえなあなんて思いながら、とりあえずはシャミノに2人の魔術修行の面倒を見させて、政務はザイロンに丸投げした。
厄介な仕事を押し付けて自由の身になった俺は、一応召使いの目を気にして外出は控え、訓練場で1人剣の素振りでもしてた。・・・仕方ないだろ。ああいう政務関連の紙を読むのは性に合わねえんだよ。
そんな感じで平和に時間は流れ、マイヤとサラの魔術修行が終わりを迎えた。
その後、マイヤはシャミノと一緒に学問の勉強、サラは俺に剣術を見てくれって言ってきたから、暇つぶしがてら付き合ってやってたんだ。
そうして訓練場でサラの稽古に付き合ってた時だった。
サラが不意に変なことを言い出したんだ。
『っ!ーーーガルディン様、何やら風が震えています!まるで爆発でもあったかのような不安定さです!』
てっきりヘボのあの訳のわからんことを言う呪いにサラもかかったのかと最初は疑った。でも朝に感じたあの嫌な感覚のことを思い出してな。
急いで修行を切り上げて、マイヤにバレないようにシャミノとザイロンにこのことを伝える仕事をサラに託して、俺は単身村に向かって駆け出した。
爆発なんて、普通に考えたら親父の技としか思えなかったからな。サラの一言で、親父が戦闘に巻き込まれているのを悟った俺はとにかく急いだ。
いくら元王国最強の戦士とは言え、もうすでに62のジジイだったからな。
それに、戦闘をしに行くなんてことを一言も言ってなかったってのに、何かの戦闘に巻き込まれているってことは。そっから先はあまり考えねえようにしながら村まで向かった。
門にいる警備兵は、俺の姿を見るなり慌てふためきながら、村がかつてない量の魔獣の襲撃にあっていることを知らせてきた。詳細まではわからないが、村の外で何人かが交戦しているんじゃないかって報告も聞いて、俺は少しだけギアを落とした。
完全に、村に呼び出したのは親父たちを暗殺するための作戦だったんだって思い込んでたからな。それがただの魔獣の襲撃だったって知ってホッとしちまったんだ。
サラから爆発のことを聞かされて3界ほどでようやく村に辿り着いた俺がそこで見たものは。
まるで何事も起きていないとでも言いそうなくらいに平常運転の叔父貴と、今の魔獣戦線4兄妹の両親マリュード組。そして、王宮からの客人として村を訪れていた親父たち3人が村の中心でたむろしている様子だった。
思わず拍子抜けしてしまいそうな老人会の様子に、どうしてか無性に腹が立っちまった俺は、そのまま状況確認だけ済ませて、さっさと魔獣と戦っているはずの4兄妹の元へと向かった。
こっちはあれだけ心配したってのに、呑気に戦いの終わりを待っているだけだったのが気に食わなかったんだろうな。
村を北に数界進んだところに、防衛線を組んで魔獣をなぎ倒している4兄妹が見えたから、そのまま合流してこのイライラを魔獣にぶつけた。
この時の俺は、この魔獣の群れが果たしてどっから湧いて出たものだったのかなんて全く気にしてなかった。むしろ、量が多いおかげでストレス解消になっていいなんて言って喜んでいたような気がする。
そんな有象無象を蹴散らす爽快感に溺れるように思いっきり大暴れしたおかげで、戦闘は30界ほどでケリがついた。とは言え、いつもの魔獣退治の時と比べたら倍の時間がかかったことや精神的疲労もあって、身体は思いの外、グッタリしていた。
そのせいだろうな。実際村に到着するまで、俺たちが暴れていた間に村を襲っていた悲劇に気がつくことができなかった。
ザイロンとサラの顔の色が真っ青になっていた。
爺が必死に声を枯らしながら、すっかり血の気が無くなっている親父とクレージェの名前を叫んでいた。
その様子を、いつもの無表情な顔で眺める叔父貴。
何が起きているのか、俺にはさっぱりわからなかった。疲労が見せている幻なんじゃないかと信じて疑わなかった。
でも俺と一緒に村に戻ってきた兄妹たちが、親父やクレージェから少し離れたところで同じように倒れている両親に向かって一目散に駆け出していったのを見て、ようやくこれが現実の出来事なんだということを認識した。
「叔父貴、これは一体どういうことだよ・・・?」
掠れた声で俺は叔父貴に確認の言葉を投げかけた。
それでも叔父貴は何も言わなかった。
それを見て俺は、頭の中が真っ白になって、気がついたら叔父貴の胸倉に掴みかかっていた。
「何があったか言えよ、叔父貴!なあっ!!!どうして親父たちが死んでんだよ・・・!?なんか言えよ、なあ!!!!!」
完全に勢い任せだった。至近距離で大声を上げて、胸倉を掴んだまま床に押し倒していた。自分が叔父貴を喋れない状態にしているという自覚もないまま、俺は無心で叔父貴に詰め寄っていた。
それからすぐにザイロンに引き剥がされたことまでは覚えているんだが、そっから先の記憶がねえ。
次に記憶にあるのは、みんなと王宮に戻ってすぐに、マイヤから事件の仔細を聞かれたことだった。
それでその問いかけに対し、咄嗟に魔獣の襲撃に遭って親父とクレージェが死んだっていう嘘をついたこと。それだけだ。
親父の死後、俺はすぐに国王の座についた。
その即位式の時に俺は言ったんだ。カルシウ村、いや、墓地村との永久の交流断絶を。
* * *
「お爺様とクレージェ様は魔獣に襲われたのではなく、大叔父様に殺された・・・?」
「そうとしか考えられねえ。・・・あいつはずっと親父を憎んでいたんだ。どういう手口か知らねえが、きっとあいつは周到に計画を練って親父たちを殺した。そうに決まってる!」
王様が姫様や僕に隠していた真実。
それは村の、あのぼろ雑巾の手によって、当時の王が暗殺されたっていう爆弾情報だった。
「つまり、結局あの村長が先代の王様を村へ誘い出して、何かしらの手段で殺害したと・・・。」
「ああ、そうだ。親父暗殺の際の手口を考えると、あいつらは魔獣を呼び寄せる何らかの術を持っているという可能性もある。だとしたら、今ああして村が襲われていると主張してきているのは、俺たちを村までおびき寄せるための罠だという風にもとれただろ?」
あの魔獣の大群が来たっていう話か。確かに先王が訪問した日に限って、いつも以上の魔獣が襲撃してくるっていうのはあまりにも偶然にしては出来すぎている。
けど、それだけであのぼろ雑巾を犯人だと決めつけたんだとしたら、いくつか説明がつかないこともある。
「その顔はやっぱ納得しちゃいねえって顔だな、タツキ。」
「・・・正直なことを言うと、そうですね。納得していないというよりは、腑に落ちないという方が正しいと思いますけど。」
何というか、違和感がある。
大らかそうに見えて、その裏では意外と考えて行動をしている。それがこの2ヶ月という短い時間ではあるけど、王様と一緒に過ごしていて見えてきた彼の人物像だ。
だけど今回の一件に関しては、決定的な証拠がないままにあのぼろ雑巾を犯人だと決めつけている。そんな印象を受けた。
「だが別に納得してもらおうと思ってこの話をしようとしたわけじゃねえ。ただ、こういう事実があったから今があるってのを知ってもらうためだけに話しただけだ。」
それを直接問いただそうとした瞬間、王様から心のシャッターを下ろしたと言わんばかりの言葉をぶつけられた。
一切の異論反論は受け付けない。
そんな強い意志のようなものを感じてしまったから、もはや僕からは何も言えなくなってしまった。
何を言っても、議論が平行線にしか進まないんだろうなという気がしてしまったというか。
そんなことを1人考えている間に、誰かが口を挟んでいるだろうと思っていたんだけど、なぜかこの空間は王様のさっきの一言を最後に、静寂が流れていた。
きっと、ここは僕ら『何も知らなかったチーム』が色々と質問する時間なんだと思ってたんだけど、姫様も宗次も何も言おうとはしなかった。各々思うところもあるんだろう。いや、宗次があんなに不思議そうにしている理由はよくわからないんだけど。
「・・・わしがあの場を離れることがなかったらあるいは運命は変わっていたのかもしれんがな。」
「義父殿、それは言わない約束だとあれほど言ったでしょう。そんなことを言ったら、僕がもっと早くあの場に駆けつけていればあんな悲劇は起こらなかった、なんてことだって言えてしまうじゃないですか。」
静まり返った応接間に再び声を落としたのは、後悔の念を表情に滲ませた師匠だった。
「そう言えば師匠は無事だったんですね?」
「・・・不覚にも生き永らえてしまったんじゃ。守るべき主君と愛する妻を失っておきながら、こうしておめおめとわしだけが惨めにも生き残ってしまったんじゃ!!!」
軽い気持ちで放った言葉だったのだが、どうやらそれが禁句だったのか、師匠の初めて見る苦痛に歪んだ顔を引き出すことになってしまった。
「今でもあの惨劇が何度も何度も頭に浮かぶ。群れからはぐれた魔獣を狩り終えて村に戻った時に見た、あの地獄のような光景が!目立った外傷もないのに、青ざめた顔で地に倒れている王と妻。それにマリュードの2人。ーーーそしてそんな中で、1人顔色一つ変えず腕を組んで立っていたあの男。同じく死んでいるものだと思っていたら、何事もなかったように普通に話しかけてきたあの男。・・・完全にそれで頭の中が真っ白になった。頭の中の整理がつかなくなった。・・・怖くなった。この場で何が起きたのか。それをあの男に聞くのがとてつもなく恐ろしくなったんじゃ。」
師匠の口から語られるその時の記憶は、実に気味が悪かった。
その時に師匠が感じたことや見たものしか語られていなかったはずなのに。それなのにまるで、師匠が感じたその絶望と恐怖が自分の実体験のことのようにすんなり入ってきたから。
特に、一番最初にあのぼろ雑巾に抱いた得体の知れない恐怖。その場に居合わせていたわけでもないのに、背筋が芯から凍りついたような錯覚に陥ったようだった。
「・・・そんな混沌とした状態の村を目撃したのが私でした。私も最初は、目の前の光景があまりにも衝撃的すぎて一歩も動けなかった。呼吸すらも忘れるほどでした。・・・ですが一番記憶に残っているのは、倒れている先王様やお婆様の姿よりも、ガタガタとその手に握っていた剣を尋常じゃないくらいに震わせながらあの村長を睨んでいたお爺様の姿ですね。」
そう話すお嬢もまた、当時のことを思い出した反動なのか、顔色を悪くしている。彼女にとってもかなりショッキングな光景だったんだろう。
それにしても第2発見者がお嬢だったのか。きっと、ザイロンさんやシャミノさんに一通り説明してから村に来たんだな。
・・・ん?でも、戦闘は30界もかかったって言ってたよな?どうしてそんなに到着が遅れたんだ?
「って顔をしているね、タツキ君。でも理由は簡単だよ。魔獣の侵攻は一方向からだけじゃなかったってことさ。」
「いや、表情や目線だけで何を考えているのか当てるのは気味が悪いからやめてもらえませんかねえ!?」
答えが的確に与えられたからそれ以上の文句は言えないけどさ。
「それも見事に、ガルディン様たちが戦っていた方面とは逆方向からでしたよ。村に到着する前に魔獣の群れを発見したので、村の状態については把握できていなかったんですよ。」
「で、さすがに僕とサラだけではどうしても撃ち漏らしが出てしまうため、義父殿に協力を支援したわけだ。それが結果的には裏目になってしまったと、今でも義父殿は悔やんでいるってわけだ。・・・それについてどうこう言う権利もまた、それを依頼してしまった僕にはないというわけさ。」
珍しくあのザイロンさんが心の底から反省の色を示しているのに、不謹慎ながら少々違和感を抱いてしまう自分がいる。
「どんな手口を使ったかは知らねえが、少なくとも何の力も持たないはずの叔父貴だけが生き残って、老いていたとはいえ相当な力を持っていた4人が死んでたんだ。そこを考えると、爺が残っていたところで結果が変わっていたとは思えん。だったらむしろ、爺までその被害に遭わずに済んでよかったって俺は思ってるんだけどな。」
王様の言うことがもっともだと僕も思う。あの村の戦士たちの両親がどれほどの力を持っていたかまでは知らないけど、さっきの王様の話だと王様のお父さんもめちゃくちゃ強かったらしいじゃん?そんな人を含めた4人を1人で倒すような手段を使う相手だったら、失礼だけどきっと師匠も敵わなかったんじゃないかって思うし。
でもかと言って、師匠が今も抱いている後悔がわからないとも言わない。
たとえ敵わなかったとしても、もし仮に自分がその場にいたら少なくとも大切な人の犠牲くらいにはなれたかもしれない。僕が師匠だったとして、自分が少し目を離した隙に姫様が死んでしまうなんてことが起きたら、一生悔やみ続ける自信がある。それこそ、過去にタイムスリップしてその状況をやり直すくらいのことでもしない限りは。
師匠はその悔いを引きずってこの3年間生きてきたんだろう。それが果たしてどれほどの辛さを伴ってきたのか、まだこの過酷な世界に身を投じて2ヶ月ほどしか経っていない僕にはとても測り知ることはできない。
そう考えるとさっきの自分の発言はなんと愚かしい発言だったんだろう。師匠の激昂を見るまで気づかなかった自分が愚かしくてしょうがない。
当時を知る人たちからの励ましを受けても、なおも苦い過去に心がやられてしまっている師匠。これで今度こそこの話は終わりになると思っていたら、ここでようやくこの事実を受け入れることに成功したのか、姫様が俯いていた顔を上げた。
「・・・この事実を私に伏せたのはどうしてなのですか?」
当然ながら、顔はあまり晴れやかではない。だがどこかその表情は、辛い事実に心が苛まれているというよりは、怒っているというか、納得していないって感じだ。
「先程までの話と今回の話とでは決定的に違うことがあります。それは、その事件が起きた時にはすでに私が生まれていたということです。なのに私は1人蚊帳の外だっただなんて!・・・サラでさえ戦っていたというのに、私だけ事実を伏せられたまま王宮で大人しくシャミノ様と留守番をしていただなんて!!!」
まあ気持ちのいいことではないよな。自分が知らない間にそんな大きな事件があったって後になって聞かされるのは仲間外れにされた気分になるし、その内容が内容なだけに、尚更隠されていた理由を知りたがるのも無理はないってもんだ。
「最初にお前に事件のことを隠したのは、このことを知ればお前も村に向かうって言いかねないって思ったからだ。言っただろ?その日は何だか朝から嫌な予感がしてたって。だから反射的に、お前は巻き込めないと思ってだな・・・」
「では、一連の騒動が終わった後に私に嘘をついた理由はなんですか!?」
その答えでは納得できないと言わんばかりに、姫様は王様に圧をかけるように詰め寄っていく。
「一つは俺自身も相当混乱していたってことがある。俺ですらこんなにショックを受けたってのに、それをお前に包み隠さず言っちまうと、お前も心を病むかもしれないって思った。それで結局言い出す機会がなかったっていう理由。・・・これが3割くらいだな。」
「では残りの7割はなんですか?」
なおも続く姫様の厳しい尋問。だが、ここにきて王様はなぜか遠い目をした。姫様を見ているのに、姫様を見ているとは思えないような、目の前の少女に焦点を当てていない視線。
「・・・約束だよ、ミアラとの。ーーーお前の母さんとの。」
それはこの場にそぐわないような、穏やかな声だった。だがそれは、この場の空気を支配しうるような絶大な重みを持つ言葉なのだということが、僕と宗次以外の人たちの反応から悟ることができた。
「お母様との・・・約束・・・。」
「あいつがお前に望んだことだ。ーーー明るく元気でよく笑ういい子に育ててくれっていう、あいつとの約束の一つだ。・・・この事実をお前に伝えることで、その約束を果たすことができなくなると思ったから言わなかった。そういうことだ。」
そう言う王様の表情は真剣そのものだ。
でもなんかイマイチ釈然とする回答じゃないな。その約束とやらが、今回の事件とどう繋がるんだ?まさか、その事実一つ伝えるだけで、姫様が明るく元気によく笑わなくなると思ったとでも言うつもりか?
「・・・今まで私に色々隠し事をしてきていたのも全てそれが理由ですか?」
「・・・そうだ。」
「・・・王族以外は教会に行けば蘇生ができると嘘をついたのもそれが理由なのですか?」
「・・・そうだ。」
「ーーー過保護なのも大概にしてくださいよ!!!」
その激昂が予想外だったのか、王様は度胆を抜かれたような驚きの顔で姫様を見つめる。突然の大声に王様以外のギャラリーも一瞬ビクッとはしていたが、即座のリカバリーを見せている。姫様の声の震えを察知していた一同は、彼女が怒り出すだろうと言うことをあらかじめ予想していたんだろう。人の感情の変化に鈍感な僕でさえもそれは想像できていたんだから。
というかいつものように、またさらっと爆弾発言混じってんなおい!?平和ボケしてたからすっかり忘れてたけど、あの復活設定嘘だったんかい!流石にSFが過ぎるとは思ったけどさ!
「私はいずれお父様の後を継いでこの国を治めないといけない立場なのですよ!?それなのに、今までこういう都合の悪い歴史を知らされてこなかったせいで、私は何度も恥をかきました!国民からの信頼も無くなりました!ーーー私がその嘘のせいでどれほどの苦しみを味わったか、苦しみを与えてしまったか!!!」
いつになく姫様がヒートアップしているけど大丈夫だろうか。長話を聞いていたせいで忘れがちだけど、まだ魔獣との戦闘が終わってから数時間しか経ってないんだ。姫様の体力だってほとんど回復していないに等しいはずだぞ。
「コウセキさんが王宮に来なくなった理由を知らなかったせいで、彼女に無神経な質問をしてしまいました!事件の真偽はともあれ、村の人たちにも無神経なことを言ってしまいました!この国のみんなが当たり前のように知っていることを私が知らなかったせいで、次の後継ぎは頼りにならないと呆れられてしまいました!・・・死者を生き返らせる方法があるなんていうでたらめを言ってしまったせいで、エンガ様を怒らせてしまいました!!!
どれもこれも全部、私に真実を隠し続けてきたお父様のせいで!!!!!」
姫様の王様への恨み言には、どれも実際にその時に経験した痛みが鮮明に感じられた。姫様の心に深く刻まれたその負の記憶の一つ一つが、怒りのエネルギーとなって今ようやく、この場で爆発したんだ。
だがそのエネルギーも最後のあの言葉で尽きたのか、姫様は途端に無言のまま椅子に座りなおした。その怒りの熱を真正面から受け止めることになった王様も、何も言えずにただ呆然とすることしかできていない。きっと娘のあんな顔を見たのなんて初めてだったんじゃないか。
ギャラリーの面々も、なかなかこの親子のこんなやり取りを見る機会はなかったんだろう。この会議を初めてすでに何度目かになるこの沈黙の時間を、唖然とした状態で見つめていた。
余所者の宗次は、『まあそりゃそうなるわな』って心の内で呟いているんだろうなあって感じの顔をしている。白い目で見るっていう表現がまさに今の宗次にしっくりくる感じ。
ここは僕がなんとかこの場を収めるしかないんだろうなあ。
だって、すっかり言いたいことを言い終えて座ったと思えば、勢い任せの発言をすでに後悔し始めているのか、姫様がさっきまでとは180度変わった弱々しい眼差しで僕の方を見つめてきているんだから。
はあ・・・。正直僕には荷が重過ぎる仕事ですよ、姫様?
でもそんな目で見られたらやるしかないよなあ。
まったく、今日は重い荷をたくさん背負わされる日だなあ。
「はあ・・・。今日はもうここらでお開きにしましょうか。いくつか聞きたいことはまだ残っていますけど、今のこの疲れきった頭ではすべきでない気がしますし。・・・何より王様がもうこれ以上話を続けられるとも思えないんで。」
* * *
みんなが賛同してくれたおかげで、第一回魔獣対策会議は解散の流れとなった。
お嬢と宗次は王様の計らいで王宮で夜を明かすことになり、ザイロンさんはシャミノさんがいないから家に残してきた子供たちの面倒を見ないといけないと言って家に帰っていった。
ザイロンさんを見送りに外へ出ると、すでに外は真っ暗になっていた。そんな暗闇の空を見て眠気に襲われたのか、猛烈な疲労感を漂わせた皆さんはそれぞれの部屋へと戻っていく運びになった。
お嬢にも宗次にもそれぞれ個室が与えられていたはずだったんだけど、さっきの一幕を見た後だったからお嬢が姫様と一晩を共にすると言って、姫様の部屋へと2人で向かっていった。
そのノリで、って言うとなんか変な感じになるけど、宗次も僕について来た。
前もって言っておくが、一緒に寝るっていうオチではないぞ。
「お前まで王様に用があるなんてな。」
「特段珍しいって話でもねえよ。お前が知らないだけで結構絡みあるんだぜ?」
僕らが向かっている先が共通しているだけだ。王様の部屋という目的地が。
正直、僕を襲っている疲労感も尋常ではない。なにせ初戦闘だったわけだし、その相手が規格外の化け物だったわけだし。身体中の魔力もからっからだし、本音を言うと今すぐにでもあのふかふかなベッドにこの身を委ねたい。
それでも僕が王様の部屋に向かっている理由。いくつかあるけど、その中でも一番の理由。
それは、今日の朝の話だ。
『―――じゃあ逆に聞くが、正当な理由を並べたら、それが人の命を見捨てる理由になるってお前は納得できるのかよ?』
僕はどうしてもあの問いかけの理由を知りたかった。
仮に本当に王様が姫様にあの村のことを言っていなかった理由がその約束とやらだったとしても、僕にあの村の背景を言わなかった理由が本当にあれなんだろうか?あそこまでの内容のものを些細と言うつもりはないけど、なんかそれだけじゃない気がするというか。
なんなら、僕がそれに納得しようがしまいがそんなのどうでもいいことじゃないか。親を殺された恨みがあるからあの村を滅ぼす。そう簡単に言ってしまえば済む話のはずだ。そこに僕の私情を挟む余地なんてどこにもない。
なんであそこまでして僕にも教えようとしなかったのがよくわからないんだよ。
つまり、もっと何か大事なことをあの人は隠している。そんな気がしてならないんだ。
「何急に考え込んでんのか知らねえけど、ほら、着いたぞ。言いたいことがあるならそこにいる本人に直接言えよ。」
おっと、そんなこと考えていたらいつの間にか着いてたのか。
・・・ってあれ?
「よう、来ると思ってたぜお前ら。」
なぜか部屋の入り口で腕を組んで王様が仁王立ちしている。てか本当に本人がそこにおったんかい。てっきり、そこって部屋の中のことを指してるって思ってたわ。
「いや、思うも何もあんたが俺をここに呼びたてたんでしょうが。」
「はっはっはっはっは!細けえことは気にすんじゃねえよ。それに、タツキに関しては本当に俺の読みの賜物だろうが。」
宗次が王様に呼ばれていた?それに僕がここに来るのも読んでいた?どういうことだ?
「口から出まかせもほどほどにしてくれ、王様。もともと俺が樹を一緒にここへ連れてくるっていう計画だったんじゃねえか。」
「え、そうなの?全然知らなかったんだけどそんなこと。」
「ほら、自主的に来たってことは俺のーーー」
「んなことより早く中に入れてくれ。ーーー他の人たちに聞かれたらまずいんだろ?」
いつも通りの王様の軽口にもブレずに、宗次がさっさと話を進めようとしている。
どういう流れなのかさっぱり掴めないけど、とりあえず王様が仁王立ちを解除して入り口をあけてくれた。まあ中に入れてくれるんだったら、ここはお言葉に甘えよう。
すでに何度目になるかわからないこの王様の部屋。すでに何度目になるかわからないこのソファーの座り心地体験。
でもよくよく考えたら、宗次と3人でこの部屋に入った試しはなかったかもしれない。そもそも宗次がこの王宮に足を踏み入れるのも久しぶりのことなのだ。
「ほら、さっさと本題に入りましょう。今日の事件に関してはあんたに聞かないといけないことが山ほどあるんだ。」
「前もって言っておくが、今日のギガントドレーギアに関しては俺も予想外の出来事だ。あの突然の襲撃は俺も初めてのことで混乱が極みを尽くしてる。」
そんなブランクを物ともせず、宗次はすでに今日何度目かになる場の仕切りを開始している。僕の中の宗次のイメージって、そんなに自分から話の主導権を握っていくような、積極的なタイプではなかったと思うんだが。
それこそ僕が常に一方的に話して、それに対し所々口を挟むみたいな。学校に行くのも、仕方ないからしぶしぶ行っていたって感じで、決して自分から意欲的に行くタイプでもなかったし。
だから、自分からこうやってズバズバと人に対してモノを言う今の宗次にどうも違和感があるというか。何がここまであいつを変えたのだろうか。
「初めて・・・?おいおい、冗談もほどほどにしてくれよ。あんたが初めての経験をするってのがどれだけ重大な意味を持つのかわかってんのか。俺や伊理夜が帰れる可能性が揺らいでんだぞ!」
「わぁーってる!だからわざわざこうしてタツキを呼んでこいって言ったんだろうが。ーーーことここに至っては俺も観念したってことだ。」
そして、だいたいこういう時は宗次が優勢なんだよな。キャラ相性みたいなやつでもあるんだろうか。僕は王様の住居の居候の身という立場だし、娘の彼氏という立場でもあるわけで、あの人には全く頭が上がらない存在っていう認識が刷り込まれているのが、常にからかわれ続ける原因なのだろうか。
・・・いや、間違いなく最初の出会いの時点でこの上下関係が決まっていたと思う、うん。
ところで観念するって何をだ?王様が宗次に観念しないといけないことなんかあるのか?初めての経験なんて誰にでもあることだろうに。
それにさっきの昔話をする前よりも重い覚悟を背負っている感がすごく出てるけど。目がマジなんだが。
「さあて、タツキ。結果的にお前はここに自主的に来たわけだが、本当は俺からもお前に大事な話があってここに呼び出すつもりだったんだ。」
「それもあれだけ散々自分の口から昔話をした後に呼び出すつもりだったんだから、相当重要なんでしょうね?」
話し疲れてるだろうに、まだその上で何か話すことがあるってか。この人もこの人で、そんなおしゃべりなキャラじゃなかったと思うんだけど。
「重要度で言えば最高級の話なんだけど、どうにも俺側からすると新鮮味がねえんだよな。何せ・・・、」
「御託はいいんでさっさと話を進めてくださいよ国王さん。そういうことしてるからこんな時間になっちゃってるんでしょうが。」
「今言おうとしてただろうが、少しは辛抱強く付き合うってことが出来ねえのか!ったくよ、一歩間違うだけでそんなめんどくせえ人間になんのかよてめえは!」
「今までどんな方法で俺とアプローチ取ってきてたのかは知りませんけど、とりあえずこの世界を生きる俺からすると、今のところあんたにあまりいい印象を持ってねえってことだけは言っときますよ。」
あんまり僕を蚊帳の外にしてほしいんだけど。そもそも宗次は今から王様がする話を知ってるってことでいいのか。なんで先に宗次がそれを知っているのかは知らないけどなんだか複雑な気分。け、決して嫉妬とかじゃないんだからね!?
「だから話ってなんですか?」
「ほれ見ろ、さっさと言わねえから怒っちまってるじゃねえか!」
「あんたがグズグズしてるからでしょうが!」
「お前が腰を折るからだろうが!ああもう、お前なんかもう2度と助けてやらねえからな!」
「実際助けたのはあんたじゃなかったでしょうが。今回はサラに助けてもらったんだ。あんたのおかげじゃない!」
「はあ!?お前があの日あの場所にタイムマシンに乗ってくるのを見越してサラたちを外に出したのは俺の采配だろうが!感謝しろ少しは!」
だーもう、さっきから2人で言い争ってばっかりで全く話が先に進まないじゃん!いい加減にこっちもイライラしてきたんだが?
「いいからさっさと話してくださいよ!勝手に2人で盛り上がられてもこっちはあんまりいい気分じゃないんですけど!」
「ほら、今まで何度も同じ話をしてきたんでしょう?早く言ったらどうですか?」
「うるっせえな!今回は今までと違って重みが違えんだよ!そりゃただ一回異世界に飛んできただけのお前には、実際に何度もこの世界をやり直してる俺の気持ちなんかわからねえだろうけどよ!」
「はあ!?タイムマシンが動いてる仕組みも作り方すらも知らないくせに、よくもまあそんなでかい口叩けましたね!一体誰のおかげで、タイムスリップなんていう有り得ない方法を使えたと思ってるんだ、ああ!?俺たちがタイムマシンを発明してなかったら、あんたがこうして何度も人生をやり直すことだってできなかっただろうが!」
「んなもん、俺がタイムスリップしてなかったらそもそもお前は誰にも助けられずに魔獣の餌になって人生終わってたんだからな!俺とタツキが出会ってなかったらお前の人生なんかとっくの昔に終わってたってこと忘れんじゃねえぞ!なあ、タツキ?お前からもなんか言ってやれ!!!」
・・・は?
すごく今更ですが、魔獣戦線という言葉。最初はいい感じのネーミングだなと思って使ってたんですが、最近になってとある有名ゲーム(現在アニメ化中)でも同じ言葉が使われていたということに気づきました。




