1-9 魔王vsたらし2人組vsその娘たち
スマホからの投稿とパソコンからの投稿でもしかしたらいろいろと文字の表示変わってますかね?統一されていなかったら申し訳ないです確認する方法あったら教えてくれると助かります
「全く、子供相手にあんな魔法を使うだなんて君も少し大人気ないんじゃないかなあ?」
巨大な爆発の中から見事に生還した一人の男はずれた眼鏡のポジション直しをしながら悠然と魔王に軽口を叩き始めている。
「父さん!遅いわよ!女に構ってる暇があったらさっさと私を助けに来なさいよ!」
「いやあ、悪い悪い。今日の子はなかなか離してくれなくねえ。魔王が接近しているのは気配で感じていたんだよ?感じてはいたんだけどつい・・・ははははは。」
「あんたは娘と他の女どっちが大事なのよ!・・・全くもう。まあいいわ、久しぶりに私も思う存分魔力使えたし。」
「お前もまた随分と派手な魔法を使うようになったもんだ。娘の成長は嬉しいものだな、ははははは。」
「だったらもう少し娘に構いなさいよ!」
「ふっふっふ、親子揃って我の道を阻もうというのか、笑止!貴様らまとめて教会送りにしてやろうではないか!」
「あ、いたんだ。」
「あ、いたんだ。」
「魔王だよ俺!?」
父娘の会話に割り込もうとして軽くあしらわれるかわいそうな魔王なのであった。
「するとあの人がザイロンさんなんですか?」
「ああ、俺の昔からの相棒だ!あんななりだけど強えしモテるんだぜあいつ。」
あんななりなんて言ったから訂正しておくが、ザイロンさんもまたかなりのイケメンである。すらっと長身で眼鏡がよく似合う知的なイケメンである。イケメンはイケメンとしかつるまないのか。腹立たしい。
ちなみにそれは娘のサラにも遺伝しているのか、女性にしてはサラも長身な方ではある。ルックスもマイヤ姫ほどではないが、同じクラスにいたら確実に人気者になれるくらいには整った顔立ちをしている。王族もその護衛達も揃ってリア充ロードが保証されていて実に腹立たしい限りである。
「まあザイロン様には今も奥様がおられるのですけどね。」
「真昼間から堂々と不倫ですかそうですかあ!?」
真のリア充は不倫をしても許されてしまう力を備えているらしい。恐ろしい。
「お、ガルディン。こっちはとりあえず落ち着いたよ。あとはこの魔王とか名乗っている子をどうするかだね。」
「おう、ご苦労だったなザイロン。サラも足止めご苦労さん。」
「私は足止め扱いですか〜!?」
「魔王の足止めができるやつなんてこの国じゃほんの一握りだ。誇りに思っていいぞ。」
「あ、ありがとうございます!ガルディン様〜〜〜!」
こうやって部下を褒めているのを見るとなんやかんやでこの人も王様なんだなあって感じなくもない。いや、女にかまけて戦闘に遅刻とかありえないけど。
「こうやって女は落とすものなんだぞタツキ。覚えておけ。」
「聞きたくなかったよそのセリフ!」
そのわずかな感心すら、今の耳打ちで全て吹き飛んでしまった。部下の娘にまで手を出そうとするんじゃないよ。
* * *
「んで、今日は何の用なんだヘボりん?」
「そのあだ名で呼ぶな!今や我はこの世を脅かす魔王であるぞ!?」
「んで、今日は何の用なんだいヘボたん?」
「せめてヘージボルトと呼べ!お前たちが来ると調子が狂ってしょうがないな!」
どうやら魔王の本名はヘージボルトというらしい。
「お父様、どうやら本日はヘボさまは戦いに来た訳ではないと先ほどおっしゃっていましたわ。
「はい、このヘボ野郎は確かに「今日は戦う気分ではない」とかほざいてましたよ!」
「その呼び方を流行らせるんじゃねえ!・・・そうだ、今日は戦いに来たんじゃなかったんだ。おい、ガルディン!1週間経っても何の報告もねえからわざわざ例のブツをもらいに来てやったんだよ!」
「やっぱ覚えてるよなあ。ずるいよなあ。たまたま自分が勝ったときだけいつまで経っても覚えてるんだから。これだからモテないんだよお前。」
「うるさいなあ!そりゃあ賭けは賭けだろうが!その賭けに勝ったんだから敗者は素直にその代償を払ってもらわねえとなあ!?」
「あーはいはい、わかったよ。やればいいんだろやれば!」
そういって王様は何やら自分の衣服をもぞもぞし始めた。
「姫様、王様はいったい何してるんです?」
「私にもさっぱりですわ。」
そして数秒後。
「フハハハハ!これで今晩の夕食が買える!実に気分が良いぞ!」
「お、俺の今月分の遊び代が・・・。」
僕たちの目の前で魔王と王様は金銭の取引を始めていた。まあこの世界の通貨はよくわかんないけど、とりあえずまあまあな大金なんだろうということはなんとなく理解できた。
「お父様、いったい魔王様と何を・・・?」
「いやあ、実はな・・・」
* * *
「つまり王様は今まで女に使ってきたお金は・・・。」
「そう、こいつからいつも賭け事をやっては巻き上げてたってわけよ。」
「だから僕はいつもガルディンが勝ってくれるようにと色々と細工をしてたんだけど、あいにくこの前の勝負のときは妻に捕まってしまって勝負に参加できなかったんだよ。そしたらまさか派手に負けて帰って来るとはねえ・・・。」
「おい、裏で糸引いてやがったのかザイロン!ガルディンてめえ、王族は勝負強えからなんとか言ってたくせに、がっつりズルしてんじゃねえか!今までの賭け金全部返しやがれ!」
「そんなもん時効だ。てか結果を裏で操作するのもまた賭け事の醍醐味ってもんだろ?それに気づけなかったお前の未熟さを素直に悔やむんだな!はっはっはっはっは!」
「あんた男にはとことんゲスだな!?」
というよりほぼ毎回負け続けてたのにそれでも毎回賭け事に参加していた魔王の無能さにはほどほど呆れるばかりである。
一方で、沈黙を貫いていた二人の娘たちの方は、
「お父様、一回そこに座ってもらってもいいかしら?」
「父さん、ちょっとそこに直ってくれない?」
闇魔法にも負けない邪悪なオーラを纏って親を睨みつけていたのであった。
* * *
「いつか必ずマイヤちゃんはいただいていくからな!覚悟しろよお前ら!フハハハハ!」
そう言い残して足早に魔王は自分の領地に撤退した。というのも、
「少しはこの世界の王という自覚を持ってはいかがなのですか!お小遣いはそんなにあげていないはずなのにいったいどこからそんなお金が出てきているのかと思えば、人様のものを不当に奪うような真似をしていたなんて!娘として、王女として恥ずかしいことこの上ないですわ!」
「今日という今日はお母様に報告よ!いつもいつもお母様にご迷惑をかけているという自覚を持ったらどうなの!?人からお金を騙し取ってその金で女遊びだなんてお母様が知ったらどれだけお悲しみになるか・・・。ガルディン様もこれからは父さんを巻き込むのはやめてください!わかった!?」
「まあそう言うな、な?」
「そうだよサラ。俺たちは悪者から資金源を断つためにこうしているんだ。別に私利私欲のためでは・・・」
「反省してください!」
「反省しろ!」
「・・・はい。」
「・・・ごめんなさい。」
とまあ娘たちによる大説教タイムがもう1時間は続いているためである。女とは恐ろしいものである。
「ガルディン様〜、こちらにおいででしたか!魔王が現れたと聞いて慌てて駆けつけたのですが、どうやら一足遅かったようですな。面目次第もござらぬ。」
すると町の方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「おお、爺!助かったぞ!早くここから解放してくれ!
「義父どの!せ、戦闘は終わりました。早くここを去りましょう!さあ!」
「セイラス様、ちょうどよいところに。聞いてください!お父様ったら今度は・・・」
「お爺様!この女ったらし、今日という今日はもう許せませんよ!お爺様からも何か言ってやってください!実は・・・」
「・・・若!ザイロン!そのようなことを行なっていたのか!お主らには一回灸を据えてやらねばならんか!」
王様達の助け舟になるかと期待していた爺さんの登場は、娘たちの策略によってまんまと敵方にまわってしまったのであった。
魔王による単騎突撃は王様とその腹心の娘たちと爺による落雷で幕を閉じたのであった。
主人公の影がどんどん薄くなっていくー。




