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03-4

今回は、ほぼクシの独り言パートです

私はヤエからメールを受け取ると、凄まじく無駄な時間をつかってしまったので、急いで出掛ける準備をした。

まあ、部屋着からズボンに履き替えて上着を羽織るだけなのだが。


え、化粧?

水で顔はちゃんと洗った


髪のセット?

鏡を見たらちょっとハネてたので、軽く手ぐしはした


お出かけ道具?

財布はちゃんとズボンに入っている。持っていく物はちゃんと背中のリュックに入れた



と、きちんと準備をしてから玄関を出て鍵は閉めようとした時に、ふっとどこからか声が聞こえたような気がした。



『クシの女子力ってもう底辺を突き抜けて、男子力のレベルだよね』



おっと、リップを付け忘れるところだった。最近、乾燥してるもんな。


それにしても女子力とは何のことだ?

ちょっと前にヤエの家で見た雑誌に書いてあったような気がするが、まあ今は関係ないだろう。


さて、山ちゃんのところに向かう前にちょっと寄っていかないといけないところがあるので、そちらで用事を済ませてから駅へと向かった。


調べてみると、山ちゃん家の住所は私の家からは電車を使えばそれほど時間のかからないところだったのだ。とは言ってもさすがに30分以上はかかる。いちを山ちゃんには1時間後ぐらいにそちらに着くと連絡しておいた。


電車に揺られている時間は暇なので、これまでの状況を振り返ってみようとしたが、黄泉からの帰り道の話を思い出したので、振り返るのをやめた。振り返って黄泉の国に引きずり戻されてしまったら困るからね。


駅を出たところで一度、山ちゃんへ連絡をいれる。


いきなり家の前に着いたよ、ではさすがに大規模戦闘のフィールドモニターに抜擢された山ちゃんでも私の家からの時間は把握できていないだろうから驚かせてしまうであろう。


駅からはタクシーを使うことにした。


住所が分かっても初めてくる街なので道に迷ってしまう可能性もあったからだ。ただ私はあまり道に迷い方なので、ちょっとだけ時間を無駄になる程度なのだろうが


今までで迷子になったのは中学時代に行事で山登りをした時ぐらいか。あの時はヤエを先頭にして歩いていたら、なぜか滝が落ちてくる池に着いたのだった。


旅のしおりに描かれていた地図には、滝はおろか川すら載っていなかったのだが。そのあと私が先頭になって進んでいたら、あっさりと登山道とは反対側から目的地についてしまった。

目的地に辿り着くまでヤエ以外のクラスメイトはかなり不安がっていたが、ヤエだけは滝が観れてラッキーだったね!とはしゃぎながら歩いていた。

そのあとは当然、先生に怒られた。辿り着いた時に先頭を歩いていた私が地図を見ずに道を間違えたと誤解を受けながら



そんな昔のことを思い出していたら、どうやら今回の目的地についたらしくタクシーの運転手さんが「着きましたよ」と声をかけてきた。


お金を払い車を降りると、すぐそこに3階建のアパートがあった。建物の名前を確認すると、どうやらここが山ちゃんの住んでいるアパートらしい。


とりあえず着いたことを連絡してから、エントランスを抜け階段を上っていく。玄関の前に着いて表札をすると確かに山ちゃんの名前が書いてあった。ただ、いきなりインターフォンを鳴らすのもどうかと思い、再度到着したことを連絡してからドアをノックし、家主を呼ぶ


「山ちゃん、着いたよ!」


「キャ〜!!」


しかし、返事の代わりに悲鳴が聞こえた。


私はすぐさまドアノブに手をかけ玄関を開けようとしたが、鍵がかかっており扉は開かない。

どうしようもないので、私はインターフォンを押して山ちゃんに届くように声をかける。


それから少しして、インターフォン越しに声が返ってきた


「そ、その声は、もしかしてクシ先輩ですか?」


どうやら山ちゃんは無事のようだ


「それよりさっき悲鳴が聞こえたけど、何かあった!?大丈夫?」


「はい、何とか落ち着きました。今、玄関の鍵を開けますね」


「ちょい待ち。これカメラだよね?免許証見せるから、ちゃんと確認してね。女の子の一人暮らしなんだから、そんなに簡単に鍵開けちゃダメだよ!」


「あの、今までの行動から察するにクシ先輩本人以外考えられませんので、大丈夫です。とりあえず、話は中に入ってからお願いします」


「あー、確かに玄関前でインターフォン越しに立ち話もあれだね。山ちゃんにはいろいろ言わなきゃいけないことがあるからね」



ガチャ!


扉が開き、本人が顔を出す。

うん!確かにこの間、オフ会であった山ちゃんだ


ただ、部屋着のままで、その上にはんてんを着込み、顔にはマスク。額には熱冷まし用のシートを貼り、顔もやや火照ったように見えるような、青く見えるような。


うん、この姿の山ちゃんはこれはこれでカワイイ!!



しかし、こうして直接会ってようやく確信が持てた


「山ちゃん、あなたインフルエンザにかかってるでしょ!」


これが私がずっと気になっていた答え


山ちゃんはインフルエンザに罹っていながら、無茶して初めてのフィールドモニターをしようとしていたのだ。

それはさすがに無茶すぎる。私が参加しようがしなかろうが結果はほとんど変わらなかっただろう。

というか見た感じ、下手すると当日に山ちゃんが寝込んだままログインできなかったかもしれない。


フィールドモニターの運用が失敗したなら多分しばらくレイドには参加をしないようになるだろうし、万が一ログインできなかった場合なんて、迷惑かけた責任をとってギルドを抜けると言いかねない。


高山三佐は、冷静沈着、頭脳明晰、人一倍責任感が強く、期待には必ず応える。



だが、いま私の目の前にいるのは高山三佐ではない、どこにでもいる1人の少女なのだ。




え!?

二十歳過ぎているだろう女性を少女と呼ぶのはどうか、と言いたいの?



ほぉ〜、お前は私のかわいい後輩に文句があるのか

ちょっと向こうでお姉さんとお話ししようか

山ちゃんは何に驚いたのか


それより、このあたりの山ちゃんは何歳だ?



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